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【オーダー制作日記】喪服リメイクのキモチ

着物のリメイクオーダーを受けています。

リメイクオーダーの多くは、亡くなった方の着物です。所有者がいないと「着物にハサミを入れる」という決断がし易いですよね。

先日、叔母から喪服一式を預かりました。
・袷の喪服と帯
・絽の喪服と帯
・羽織
・雨コート
喪服の着物のフルコース。

叔母自身の着物で、叔母は生きてます。この着物を用意した叔母のお母さんもお元気です。

亡くなった方のお着物じゃなくて、この存命パターン(もっと良い表現がある気はする)のリメイクも、多数ではないけどあるなぁと気づき、着物を受け取りながら、叔母から聞いたこと、感じたことを残しておきます。

喪服の帯のバッグ

【叔母から聞いたこと】
結婚前、お母さんと呉服屋数軒に行った。
「うわっ」と思う金額をお母さんが支払っていた。

「田舎へ嫁ぐから。着物を見にくる人もいるだろうから」と、叔母本人が選んでいない(知らない)着物も箪笥に数枚入っていた。

夏の喪服を(半ば強引な周りの勧めで)1度だけ葬式に着たものの、それ以外は着ていない。

自分には娘がいないから、自分で使ってあげないと申し訳ない。

訪問着等は残しても、喪服は着ないだろうから、買ってくれたお母さんにも聞いてリメイクすることにした。

私が
「ワンピース2枚、バッグ2つ、日傘、スカート、ジレ。総額は15万は越えるよ?」と言うと


「いいの。もっともっとすごい金額で誂えてもらっているから。それをずっと着てなかったから。知穂ちゃん(←私)お願い、使えるものにして」
と言われました。



喪服リメイクワンピース


【感じたこと】

「故人の着物」の場合は、弔うとか、見守ってもらうとか、「お偲びなリメイク」になります。(温かい)

一方で、今回のように「自分の着物」のリメイクは、とにかく使う、使って後ろめたさを無くす、買ってくれた親に見せるためとか、「感謝のリメイク」になります。(優しい)

似ているようで、根幹の気持ちが違うなぁと。

ただ、どちらも、親や祖母、祖父など、自分のルーツの人たちに「あなたを大切に思ってます」というメッセージだけは共通してますね。

どちらも「気持ち」を形にしたくてリメイクしてる。故人を忘れたくない「気持ち」、自分にお金をかけてくれたお母さんの「気持ち」に対して、わざわざ時間やお金を使ってる。
きっとね。

だから割く手間や、金額の数字の大小じゃないんだなぁと、改めて感じました。


今回の喪服リメイクを通して、叔母はきっと「あの時買ってくれたものを着て、あなたの娘はちゃんと幸せです」って、お母さんに見せてお返ししたいのかな。
ちょっと大袈裟か(笑)

いや〜、数十年を経ても、娘にそう思わせる輿入れ準備の母って、すごい。
これも着物のパワーかしら。

兎にも角にも、
今回も頑張って素敵にリメイクするね。
叔母のためにも。
お母さんのためにも。


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