中古(USED)着物は「裄」が大変!という話と裄の長さの話。

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 中古(USED)着物で、自分のサイズを探している時に大変なことは「身長」「横幅」だと思いますが、さらに「裄」も大変です。

 今回はそんな「裄」について書いていきたいと思います。

 まず、裄とは袖から首の後ろの部分までの長さのことを指すのは着物を着ている方は知っていると思います。

 ここが短い、長いでかなり印象が変わりますし、礼装の場合は短いのは好まれません。

 しかしながら、実は中古で着物を探した場合、身長は大丈夫でも「裄」が短いってことが多々あるんですね。

1 中古着物は裄が短い。

 中古着物って、ある程度の身丈以上の着物になると、身丈にたいして裄が短い傾向が強くなります。
 まず、その理由の一つに流通している着物の大半が「昭和中期から昭和後期、もしくは平成5年ぐらいまで」のものが多いからです。

 そもそも、着物の反物の「幅(巾)」はある程度の時期まで「36.5cm」が基準だったんです。
 でも長さは12mのまま。
 現在は39cmなどもありますが、36.5cm時代がかなり長かったんです。
 36.5cmの反物で着物を仕立てる場合、どうしても仕立てる際の裄が現代からすれば短くなります。
 それと、その時代の「感覚」も関係します。
 裄って短いほうが色々作業がしやすいんですね。
 で、礼装であっても昔の写真を見ると、裄が短い方が多いんですね。
 これは当時のほうが「着物を着ていても作業する割合が多いため短めになっている」のと「あまり気にしていなかった」という2点があります。

 今は、結婚式などは式場がすべて行ってくれますし、着物を着た女性が行動する割合が少ないので、裄は長くても邪魔になりませんが。

 で、36.5cm巾のものでも、12mの長さあるわけですから、ある程度の身長には対応した着物を縫うことができます。
 ですが、基本、腕の長さって、身長と比例して長くなる傾向が多いんです。
 なので、36.5cmの反物で身長高めの着物を縫うとその身長に対して裄が短めになってしまうわけです。

2 短い裄の解決法は?

 中古で、気に入った着物を見つけても裄が短いから・・・って場合は多いと思います。
 そんな時は「裄出し」をお願いしましょう。
 安いところだと3000~4000円程度でしてくれます。
 え?でも買いたい着物は3000円なんですよ・・・ってこともあると思いますが、こう考えましょう。

 そもそも着物を「3000円」で買う事自体が「破格」です。
 まあ、今でそのぐらいでも売っていますが、そもそも、今の中古が流通している状態が終われば、もうその金額では着物は買えなくなります。

 だって、もう作ることが少ないんですから。
 そして新しく作るとなると、高額でしか作れません。
 ※安く作れるところもありますが、それはまだ昔の在庫の反物が出回っているからです。しかし、反物も今は沢山生産しませんから、新たなものは年々値段が上がっています。そして、新しい反物はやっぱり高いです。

 となると、3000円で着物を買う事が「破格」で、そういった着物ももともとはウールで8万~20万、絹で15万~って感じで当時の方が購入しているものですから、それに追加で裄出し代を追加してもいいじゃないですか。

 と考えてください(*´ω`*)。

3 裄出しの注意点

 まず、裄を出せない着物もあります。
 すでに巾をいっぱい出しているので、それ以上は出せないってことです。
 この判別は少し難しいかもしれませんが、とりあえず、袖の継ぎ目(片側と袖側の間にある縫い目部分)を触ってみると、中にどのくらい縫いこまれているかわかります。
 縫い代などを含めだいたい1~1.5cmは縫込みを残さないといけませんので、それ以上、縫いこんであれば、出すこともできます。

 あと、出した際に「スジ」が出ます。
 縫い跡や、色の変色がわかるわけです。
 中に縫いこんである部分は、外の面した部分と比べ、ヤケ(黄色っぽく変色していく)ていませんので、境界線みたいに見えてしまうわけです。
 なので「スジ消し」というのをしてもらって、スジをわからなくしてもらう必要があります。
 (なお、だいたい分からなくなるものもあれば、どうしても少し残ってしまうものなど、それらはやってみないとわかりません。またスジ消しはサービスしてくれるところが大半ですが、別途料金を請求される場合がありますので注意してください)。

 と、こんなところでしょうか?
 あと、裄について「身長が165程度で裄が72cmと言われた」というお客さんがいたりしますが、その方がやせ型であるなら、そのような場合でも69cmの裄があれば大丈夫な場合がほとんどです。

 すごく「ピンッ」と腕を伸ばしたら、明らかに短い気がしますが、そもそも、着物を着ている段階で、そんなに腕をこれみよがしに伸ばすことはありません。

 なので、まあ痩せている・・というより普通体型の方の場合なら手を測って72cmであっても69cmあれば問題ないですし、仮に72cmにしてしまうと、様々な所作を行う場合、逆に長すぎてやりにくいです。

 ただ、太っている方の場合は、予想よりも裄を食いやすいため、測った長さのー1cmぐらいが理想にはなります。

 それと、カジュアルな着物の場合は、少々裄が短くても問題ありません。
 長いとアクティブに見えないってだけです。
 礼装の時ぐらいですね。裄をしっかり見た方がよいのは。
 ※とはいえ、カジュアルな着物であってもあまりに短いのは見苦しいので-5cm程度を目安にしたほうが良いかもしれませんね。


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