【着物キャラ紹介】願いは着物に宿る。「どろろ」百鬼丸(と、着物に込められた想いを受け継ぐこと)
こんにちは、飯綱です。
今回紹介するキャラクターは…。
「どろろ」より、百鬼丸です!
百鬼丸の着物
「どろろ」は、手塚治虫作品の一つで、百鬼丸はその主人公の一人です。
「どろろ」は、戦国時代が舞台の漫画ですので、登場人物は皆着物を着ています。
百鬼丸はこんな感じです。
百鬼丸の着物姿を見て、まず気づいた点は…
襦袢を着ていないということです。
調べてみると、この時代の庶民は襦袢を着ずに、素肌に着物を着ていたそうですね。夏はいいですけど、冬は半端なく寒そうです。
あと、着流しで丈が短めですね!
この時代、庶民は小袖と袴の着用が一般的だったそう。
短い着流しは百鬼丸がアウトローであることの表現かと思いますが、それだけではなく妖怪退治をしている彼はこの服装が動きやすいのかもしれません。
錨(いかり)の柄の意味は?
さらに、彼の着物の一番の特徴として、錨(いかり)の柄が入っています。
私はそれまで錨柄というものを見たことがなかったので、とても気になりました。
一体どんな意味合いがあるのでしょうか?
調べたところ、あるサイトにこのような記載がありました。
どれも百鬼丸にピッタリの意味ばかりだったので、びっくりしました。
この着物は、百鬼丸が育ての父親である医者の寿海から渡されたものです。
着物の柄の意味を考えても、息子である百鬼丸の身を案じているのが伝わってきます。
そう考えると、親の愛のこもった素敵な着物に見えてきました。
というか、百鬼丸はこの着物と一緒に名前をもらったんですよね。
さぞかし嬉しかったはずです。
まるで、生まれ変わったような気分だったのではないでしょうか。
着物とともに受け継ぐもの
話は変わりますが、私の普段着ている着物の中に、父からもらった米沢織の着物があります。私が着物を着始めたときに、自分は全く着る機会がないからと譲ってくれました。
父が結婚祝いとして義父(私の母の父)からもらったもので、素人目でもわかるくらい、大変良い着物です。
この着物を着ると、まるで自分が立派な人間になったような、高揚した不思議な気持ちになります。
まだまだ着物に着られてる感は否めないのですが…。
ただ、この着物を着るようになって一つ、気づいたことがあります。
この着物には、今は亡き祖父の願いや理想が込められているのではないか…と。
祖父は父に、この着物が似合うような立派な男になってほしかったのでしょう。
うちの父は私達一家を養うために、一軒家を建ててすぐ、十年以上単身赴任で各地を飛び回る生活をしていました。
息子の私が言うのはなんですが、とても私には真似できない、立派な人だと思っています。
その父が本来着るはずの着物を私が着ることになるとは、なんだか分不相応に思います。
早く私もこの着物に相応しい男になりたいものです。
…このように、着物はその気になれば何代も受け継いで着ることのできる衣服です。
面白いのは、受け継ぐのは着物以外の「こうあってほしい」という先代の理想や願いも含まれるということです。
百鬼丸は、作中通して寿海からもらった錨柄の着物を着続けました。
どんなに恐ろしい敵が現れても立ち向かい、自分の生まれに苦悩しつつも、己を見失うことはありませんでした。
百鬼丸本人の実力でもあるのですが、私はそれだけではないと思います。
父親の息子に対する、こうあってほしいという願いが、百鬼丸を守ったのではないでしょうか。
残念ながらこの作品は打ち切りとなってしまい、百鬼丸の旅がどのような結末を迎えたのかは描かれておりません。
しかし、百鬼丸の最後の後ろ姿を見て思うのです。
父親が着物に込めた願いは、叶えられたと。
この先、古着を購入する際は、その着物の過去に思いを馳せるのも悪くないかもしれませんね。
ここまでお読みくださり、ありがとうございました!