どうしたら着物 の縫い方を伝えられるだろう? 六(6) 日本の素晴らしい手仕事
おはようございます
着物推しの紅です。
和裁サークルで教えていると勉強になります。
コロナ下でご高齢の先生が活動を控えていらっしゃるので、紅が代稽古をさせていただいています。
〈 今までどうやっていたの? の巻 〉
長机を挟んで斜めに向かい合って座る。
机の上には印付け台と呼ばれる和裁の道具が広げられている。
それぞれくけ台を準備して縫い始める。
「先週の宿題できました?」
と紅が尋ねると
「わからなくなっちゃいました」
印付け台の上に縫いかけの浴衣を置いてもらう。
袖口をくけるところが上手くいかないと。
解いて少し後戻りしてやり直す。
教えていると見えてくるのは
その部分だけやり直してもダメなんだな〜
・和裁には急所と呼ばれる部分がある
急所ができないと先に進めない。
急所を理解して再現できないと綺麗な仕立てができない上に機能も劣る。
だから急所は和裁士の試験に出るとのこと。
先生が
「試験に出るわよ」
と文字通りよく言っていらした。
(ちなみに紅たちは試験を受けるようなレベルではない)
・袖口を綺麗にくけるためには
袖の丸みを作る時点でかけるアイロンを袖下のきせ、袖口下のきせ、袖口を割る、表に返して縫いどまりが平行になっているかの確認・・・
と流れるような一連の手順を踏まないとできないんだと。
・教えているとわかる不思議
紅一人で浴衣を縫うときにはわざわざ考えてもみなかった。
一年くらいの間、浴衣を縫っていない紅がどうして教えられるのか?
紅自身にもちょっとわからない。
最近アニメの
「3月のライオン」を見ている。
主人公が将棋の駒の動きを語るときの独白を
和裁にも当てはめてみたらいいのかもしれない。
先週教えた
・虫留め
「わからなくなっちゃった」
と言うから
もう一度やってみた。
もう片方もやってみようとなって一人で試行錯誤していたので、
もう一人の方に
おくみの付け方と衿の印付けについて説明していた。
虫留めができたというので確認すると10分前にやったことを
「知らなかった」
今後、
いえ、
すでに
高齢社会は始まっていて、いろんな場面でこういうことが頻発するようになるんだろう。
もっともっとおおらかになろうと思った。
忘れるなんて当たり前のこと。
せっかくやったけど解いてもらって
もう一度教えてあげた。
「さっきも説明したでしょ」
というと
「聞いてません」
そうかそうか・・・
今だけに生きるのは素晴らしい!
虫留めは綺麗に仕上がった。
次世代の人に和裁を教えたいという気持ちは
着物の縫い方を教えたいということではないんだなと思う。
着物を縫うだけならミシンでも縫えるし、急所だって見様見真似の結果オーライならいくらでも着用できる着物らしいものが出来上がる。
でも
和裁って単に着物の形を縫うことではない。
長年着物を着続けてきた
・日本人という民族の知恵の集大成が詰まっているように感じるから。
一枚の布を活かし切るために考え抜かれた技術。
資本主義とは馴染みが悪い。
和裁は無駄にハサミを入れない。
着物として着られなくなっても一枚の布に戻し、リメイクする。
長襦袢になったり、布団皮になったり、子どものものに縫い直されたり・・・
捨てるところはない。
この文化は
失ってはいけないもののような気がするから。
でも
紅のところに熱心に通ってくれるサークルメンバーは和裁を始めて10年選手。
まだ泳ぎ方がわからなくてもがいている感じ。
でもそれでも縫い続けようという意志に頭が下がる。
和裁はまさにこれがないと続かないもの。
紅の後輩たちなのだけど、わからないままに頑張っている。
・じゃあ紅はいつそこを抜け出したのか?
・どうして抜け出せたのか?
それを考えてみるのは今後の指導法に有効なのではないかと思う。
今日の写真は酒蔵で
見えない上部に杉玉があります。
これも文化。 紅