きものが気付かせてくれたもの
「きものに興味があるのなら、私が行っている所に行きませんか。」
若い職場の同僚が
着付けのレッスンにいかないかと誘ってくれました。
彼女は若いのにもかかわらず、
忘年会や歓送迎会には必ず着物で参加していて、
しかもとても上手に着こなしていました。
今まで着物を着たいという願望はありましたが、
敷居が高くてなかなか一歩がふみ出せなかったのですが、
これは絶好のチャンスだと思い着付けを始めました。
私は習字を習っていて、
展覧会の受付や反省会の時、
多くの先輩の方々が着物を着ているのをみて、
いつかは私も仲間入りがしたいと思っていました。
書の作品と着物が調和していて、日本文化の奥深さを感じたからです。
しかし、日常の忙しさに流されて、
着物を着るなどということは、知人の結婚式ぐらいで、
まさか自分が着付けに行って週1回は着物を着るなど、
思いもよりませんでした。
着物を着るようになって、母や祖母の着物を探してみました。
「これはあの時着ていたなあ」とか
「これは嫁入りの時に持ってきたものだ」などと
母との会話も弾み、また、祖母の思い出話も出てきました。
ただたんすの中に眠っていたものが、
息をふき返した感じがしました。
多少のはやりすたりはあるものの、
長い間、何代も着られる着物は、
日本人としての意識を目覚めさせてくれるものであり、
また、人と人との間を(うちの場合は親子ですが)縮めてくれる、
素敵なものだと思いました。
少しでも着る時間をふやして、
上手に着こなしたいと思っています。