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祖母と私

子供の頃、祖母はよく私に服を作ってくれた。
祖母の選ぶ生地はどこか古臭く、
子供ながらにありがた迷惑と感じることも多かった。

だが大人になり、
その祖母も亡くなった今、
「古臭い」は「レトロで可愛い」に変化し、
かつて祖母が選んだテイストの服を、
私も好んで着るようになったことに気付く。

古着屋で流行に流されないアンティークな柄や様々な色の服、
小物を組み合わせファッションを楽しむようになった。

そして、その好みは着物への興味にも向かっていく。

着物においての色や柄の組み合わせは洋服の概念と異なるから、
元々色柄の遊びが好きな私にとっては無限の楽しみだ。

少しのぞく八掛の色や長襦袢の柄、
半襟のアクセント、帯留めの遊びも。

樹木希林さんも、長襦袢で遊ぶと言っていた。

きちんと自分でら着れるようになろうと通い始めた着付け教室で、
古い着物をお直ししたら着られるかもしれないと聞いた私は、
初めて母のたんすを探してみた。

その中に、見つけた。
私好みの、レトロで可愛い紬。

母に聞くと、やはり祖母のもので、
母は一度も袖を通していないという。

母を超えて、私は祖母と好みが共通しているのだ。

早速お直しにもっていったが、
残念ながら寸法が足りず、
私が着られるようにお直しすることはできなかった。
でも、がっかりしている私に先生が提案してくださったのが、
帯へのリメイクだった。

そして、たくさんの花と竹の柄、
渋めでありつつもカラフルな着物はコーディネートの主役になれる、
私のお気に入りの帯に生まれ変わった。

着物文化を通して、
形を変えながらもこうして好きなものを
祖母と共有できる喜びを私は感じている。

なお、余り布で母には御朱印帳ポーチを作ってあげた。
みんなでお揃いになるように。