亡き母の、「そら、美味しかろ!」
明日は、おっかさん(84歳)の四十九日法要を迎える。
改めて、「あーー、こんなことしておけばよかった。」などと回想する。
おっかさんは、入院する数日前に「國夫が作るチャンポンを食べたい!」と言った。一瞬悩んだが、素直に「ハイ」と言わず、「来週ね!」と言った。
お酒のあてになる天ぷらを、カミさんに作ってもらおうという目論見があったからだ。
気になりつつも、その一週間後の定休日を予定して、告げていた。
しかし、その日は緩和ケア病棟で迎えることとなった。
大好きなおっかさんが、よく言ってくれた言葉がある。
「そら、美味しかろ!」ザ・熊本弁だ。
標準語に直すと、「それは美味しい味がするであろう」という意味である。
おっかさんは田舎の山あいで育ったので海の物が珍しく、特に鯛の刺身が好物だった。新モノのエンドウ豆の豆ご飯、お団子、季節の野菜、果物などなど、何でも「おっかさん、○○ば買ってきたよ!」というと、必ずと言っていいほど「そら、美味しかろ!」って言ってくれた。
昨日、近くの物産館で「山桃」を見つけた。
「そら美味しかろ。」ふと、おっかさんの顔が浮かんだ。
一袋買って、お供えした。
もうすぐ60歳になる僕も、初めて食したl
表面にプチプチがあるので、見た目は「山いちご」とも言えそうだ。
口に含んでみると、甘みよりも酸味が広がってくる。
真ん中に一つ入っているタネも意外に大きい。
こういった田舎風なモノに出会ったので、おっかさんに尋ねたくなった。
「こら、初めち食ぶんね。割と美味しかたい。」と言うか、それとも「昔は、よー食べよったもんね。」と答えてくれるだろうか?
「昔は、よー食べよったもんね〜。」の後のウンチクを、聴きたくなった。
2つ3つ、山桃を口に含んだ。
追伸;
写真のマメ皿は李朝、果物は山桃である。