コロナよ、むしろ、ありがとう
美しい光景を見た。
ステージ中央に向かいながら客席を見る。
照明に反射する白いマスクたち。
お客さん全員が着用しているそのマスクが、闇に浮かぶ蛍のようだよ。と227のたまちゃんが言った。
その彼女は、このコンサートを実施するか否かギリギリまで悩み、開催を決意しての前日は心ない誹謗中傷で短期間でびっくりするほど痩せてしまっていた。
精神的にも追い詰められているようだった。
相方ゆきちゃんも、一睡もできなかったらしい。
そして午前中からぶっ通しで自分たちと私を含め、ゲストたちとのリハーサル。
しかし。
昨日の彼女たちの演奏は凄まじかった。
ゾクゾクした。
もちろん、演奏に加わった3曲は思いっきり楽しんだし、その場にいられることにとてつもない幸せを感じた。
そして、お客さんたちの熱気!!!!
心から楽しんでくれているのがわかるし、演奏している方も勇気づけられた。
そしてゲストの方々のこれもまた素晴らしいパフォーマンスと楽屋でのリラックスした楽しい時間。
スタッフの方々の、の思いやり。
今日、ここにいてよかった。
この想いを共有できてよかった。
正直自分自身も1ヶ月のアジアツアーや色々な仕事のキャンセルが続き、その事後処理や連絡など演奏以外のところでのストレスが重なり、ひどい口内炎が治らずに食事もまともに食べられなかった。
今日、ここにいて、本当に良かった。
コロナよ、むしろ、ありがとう。
ギリギリの状況の時、どう転ぶかは自分次第なのだ。
この状況は、震災の時とよく似ていると思う。
もちろん自分の身は自分で守るしかないし、被害を拡大するような行動は慎むべきだ。
でもだからといって、怖がるばかりだったり過剰な自衛手段を取るのはどうなんだろう、とも思う。
キャンセルが出たとはいえたくさんのお客様が来てくれた、昨日の渋谷、マウントレーニアホールでの227バースデイコンサート。
終演後、涙が出た。
みなさんのサポートは、音楽活動を続けるため、生きていくために、大切に使っていきます。そして私も、誰かの小さな心の支えになれますように。