便利な定額サービスを全部やめてみた

月々1000円も払わずに、何万曲も聴けたり本が読み放題だったり映画も見放題、頼んだ荷物がその日のうちに届いてくれる世の中だ。

信じられないほどの便利を、全部やめてみた。

厳選した一枚のアルバムを購入する。

大好きなミニシアターに月に一度だけ、行く。

自分の足で買い物に行く。

図書館の検索予約システムをフルに活用する。
読み返したい本のみ購入。

なんの問題もないばかりか、こういう生活を始めてから頭の中がすっきりしてきた。

私の小さな脳のメモリーには必要のなかった便利なサービス。
便利と共に情報の混乱も引き受けていたみたいだ。

そして定額とは、一定のラインまでの情報しか入ってこず、それをいくら貪ったとしてもその上に行くことはできないということなのだ。

人間は強い想いさえあれば何にでも、何処にでもアクセスできると信じている。
去年リリースしたブエノスアイレス録音のアルバムに収録した「5月18日」を再録音した。
偉大なるマエストロ、アニバル・トロイロの命日に捧げた曲。
この曲をきっかけに奇跡的なツアーが実現し、地球の反対側からやってきたトロイロのバンドネオンはその音色を時空を超え、この日本で響かせたのだ。

逢いたい人には、逢いにいけばいい。

何年かかるとしても。