【保存版】告訴状を自作したい!元告訴担当刑事が「受理される告訴状」の書き方を教えます(ひな形付き)

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〜11月30日 23:30


【引用】ラッキーエース|写真AC

ほかのnote記事でもお伝えしていますが、犯罪事件の被害にあったのに警察官が被害届を受理してくれないというときの最終兵器が『告訴』です。

ところが、いざ告訴したいと警察署を訪ねても、

・告訴状はあるの?

・こんな告訴状はダメだよ

とけんもほろろに追い返されてしまう方はたくさんいます。

そこで、元告訴事件の専任捜査員だった私が「受理される告訴状」の書き方を伝授させていただきます。


実は私、足掛け5年間も同じ警察署で勤務して、告訴事件の専任捜査員として捜査に従事していました。

『告訴』いう手続きに触れた経験を持つ警察官はじつは非常にまれで、「受理したことも、事件に携わったこともない」という警察官が大多数です。

ほとんどの警察官が、告訴とは関わりをもたないまま退職していくものですから、足掛け5年の経験は相当に長く深いものだといえます。

おそらく、世の中に出回っているたくさんの書籍やウェブコンテンツに、ここで紹介する以上の情報は存在しません。

なお、本記事は「だいたい、告訴状なんか自作できるの?」という疑問にお応えする部分については無料でお読みいただけます。
知識だけでも…という方は遠慮なくノウハウを盗んでください。

告訴状のひな形部分については、大変申し訳ありませんが有料とさせていただきました。
自由にダウンロードしてご使用ください。


告訴状は自作できる!


「告訴状」と聞くと難しさばかりが先行しがちです。
しかし、いくつかのポイントを意識していれば十分に自作できます!

お金をかけてもいいなら、迷わず弁護・司法書士・行政書士の先生方にお願いするだけですが、安くても2~3万円程度、難しい内容になれば10万円以上はかかると覚悟しておかなければなりません。

私が知るなかの最高額は、告訴状の作成と提出代行で40万円でした。
しかも、この金額は「とんでもない高額!」とはいえない、どちらかといえば「提出代行まで含めると、相場としてはちょっとお高め」といった程度でしょう。

この記事にたどり着いている方の多くは、お金をだまし取られたり怪我の治療費を支払ったりしていてお金のダメージを受けているはずです。

「これ以上お金がかかるなんてたまらない!」
「犯人を罰するためにお金がかかるなんてふざけるな!」

あぁ、そんな声が聞こえてきそうですね…

そんなあなたにおすすめなのが「自作」です。


自作の告訴状、法的な問題はある?


告訴状といえば、やはり専門的な知識がある士業の先生方に作ってもらうというイメージが強いものです。
もしかすると「士業の先生が作ったものでなければ無効」くらいに考えている方がいるかもしれませんが、自作でも構いません。

告訴に関する規定は『刑事訴訟法』という法律に定められていますが、告訴の方法について明記している条文に「誰が作るのか?」という制限は設けられていないのです。

第二百四十一条
告訴又は告発は、書面又は口頭で検察官又は司法警察員にこれをしなければならない。
② 検察官又は司法警察員は、口頭による告訴又は告発を受けたときは調書を作らなければならない。

【引用】刑事訴訟法|e-gov法令検索

実際に、自作の告訴状をたびたび警察署に持ち込んでくる方もいました。

その方、当時90歳近くの男性でしたが、自分なりに法律を勉強していたようで「一応」は体裁が整っている告訴状を作っており、何度か受理に至ったこともあります。


自作でもちゃんと受理してもらえる?


もちろん、法律に「一般の素人が作成した告訴状は無効」といった乱暴な規定は存在しません。

自作の告訴状でも、要件さえ整っていればちゃんと受理されます。

もし受理を渋られたり、検討の時間を経たうえで不受理になってしまったりした場合は、なにか理由があるはずです。

色々と勘繰るよりも、まずはその点を究明して解消することに努めてください。


自作のうえで必ずおさえるべきポイント


告訴状の書き方に決まりはないので、どのようなかたちでも「告訴状の体裁」さえ整っていれば問題はありません。

言い換えれば、告訴状としての体裁が整っていない書類は告訴状とは呼べないので、自作の際もその点に注意する必要があります。

告訴状を自作するうえで必ずおさえるべきポイントは3点です。


①罪名をしぼる


告訴状を作成する際は、罪名をしぼってください。
できれば1つだけに、多くても2つ~3つが限界だと考えましょう。

人と人の間でトラブルが起きると「あんなことをされた、そういえばこんなこともあった!」と次々に恨みがこみあげてくるものです。
そんなこんなでweb検索すると、どうやら相手の行為はさまざまな犯罪にあたることがわかりました。

こんな状況だと、できるだけ相手を厳しく罰してほしいと考えて、告訴状に思いつくかぎりたくさんの罪名を書いてしまいがちです。

たしかに、法律上は1つの告訴状で追及できる犯罪の数に制限はありませんが、罪名が複数にわたるとそれだけ受理検討に時間がかかってしまいます。

それぞれの犯罪が成立するのか、その裏付けはあるのか、裏付けを得るためには誰から話をきいてどこから資料を取り寄せるのかなど、ひとつひとつの犯罪について確認していくので、時間がかかるのは当然です。

それに、複数の罪名のなかに成立が危ぶまれるものがあると、事件全体に悪影響を及ぼしてしまいます。

警察側も、なにか「ウラ」がある訳アリなのかもしれないという観点に立って注意深く告訴の受理を検討しなければなりません。
これは「犯罪捜査規範」という法律に定められた義務です。

(告訴事件および告発事件の捜査)
第67条 告訴または告発があつた事件については、特にすみやかに捜査を行うように努めるとともに、次に掲げる事項に注意しなければならない。
(1) ぶ告、中傷を目的とする虚偽または著しい誇張によるものでないかどうか。
(2) 当該事件の犯罪事実以外の犯罪がないかどうか。

【引用】犯罪捜査規範|e-gov法令検索

もし複数の罪名にわたる犯罪行為があっても、告訴状のメインは最も悪質でとくに刑事責任を追及したい1つの罪名にしぼり、ほかの犯罪については事情聴取の際に述べておくにとどめておいたほうが受理の可能性が高まります。

この点は、ひな形のなかで書き方をお伝えしていきましょう。


②犯罪事実を明らかにする


告訴受理の可否を左右するのは「犯罪事実」です。
この点は少し難しく感じるかもしれません。

犯罪事実とは「法律によって定められた犯罪に該当する客観的な事実」という意味です。
少し難しい言い回しですが、誰が、いつ、どこで、誰に対して、どういった行為をはたらき、どんな結果が発生したのか、といった点を一文で端的に説明すると考えればいいでしょう。

犯罪事実が明らかになっていないと、どのような行為をどの罪名で告訴するのかがわかりません。
なんとなく「アイツが悪い!」という感情の問題ではなく「これこれこうだからアイツが悪い!」と具体的かつ論理的に指摘する、という解釈です。

犯罪事実は、ある犯罪が成立するための条件である「構成要件」を理解・整理していないと作れないし、不明の部分をどう扱えばいいのかも刑事実務を経験していないとわかりにくいでしょう。

実は、犯罪事実の作成は、警察官もいろいろと頭を悩ませるポイントです。
一応はセオリーがあるのですが、人によって美学のようなものがあって、おそろしくシンプルに書き上げる人がいれば、罪名によっては「これでもか!」というくらい難しく書く人もいます。

下に挙げたのは、犯罪事実の例です。
ご覧のとおり、句点までめちゃくちゃ長い文章になっていて「よって」「もって」と難しい言い回しも多用されており、これを考えるだけで吐き気を催しそうになります。

【引用】犯罪事実記載例集|東京法令出版

とはいえ、たいていの警察官は、過去に先輩・上司が作成したものや、図書の斡旋で「犯罪事実記載例集」みたいな参考書を購入して例文をなぞっているので「現役刑事でも例文を参考にする」と考えれば難しく考える必要はないでしょう。

裁判所の判例データベースをみれば「起訴事実」が記載されています。
同じ罪名から過去の事件をピックアップすれば、わざわざ書店で犯罪事実の本を買わなくても済むので、参考にしてください。

裁判所|裁判例検索

③「処罰」を求める


告訴は「犯人の処罰を求める手続き」という点で、被害届とは明確に異なります。

被害届は、犯罪捜査規範第61条1項を根拠とした「犯罪による被害の届出」、あるいはその書類を指します。
犯罪捜査規範は警察による捜査の基本を定めた法律なので、被害届は警察内で運用する書類だと考えてください。

一方の告訴は、刑事訴訟法第230条に関連する手続きで、厳格な刑事手続きのひとつです。
警察内で運用する被害届とは「被害者からの申告」という点で共通していても、手続きの重みとしてまったく異なります。

少し余談をはさみましょう。

ここで挙げた説明は「告訴と被害届 違い」といったキーワードで検索するとどのサイトでも解説している定番のものです。
そして、必ずといっていいほど「告訴は捜査義務があるが、被害届には捜査義務がない、だから被害届ではほったらかしにされる可能性がある」という解説へとつながります。

この手の解説は見飽きてしまいましたが、半分正解・半分間違いです。

この解説は、刑事訴訟法第242条の規定に従ったものだと理解できます。

司法警察員は、告訴又は告発を受けたときは、速やかにこれに関する書類及び証拠物を検察官に送付しなければならない。

【引用】刑事訴訟法|e-gov法令検索

たしかに、ひとたび受理すればすみやかに捜査を遂げて検察官に送付・送致する義務を負うのが告訴です。
一方で、被害届には送付・送致の義務が法律によって縛られていないので「別に受理しても捜査しなくていい」などと曲解されていますが、そんな自由が許されているわけではありません。

送付・送致の義務がなくても、犯罪被害が生じて被害者から捜査の要請があるのに「どうせ被害届だからほったらかしでもOK」なんてバカなことをすれば、警察が存在する意味はないでしょう。
それに、やるべきことをやらなかったために損害が生じたという意味で「不作為」として訴えられてしまう可能性もあります。

もちろん、そんな目に遭いたくないので、警察は被害届で受理した事件もちゃんと捜査します。

なかには、誰が犯人なのかもわからないまま捜査も進まず時効が成立する事件もあるし、たとえば「いつのものかわらからないが、車にキズが入っている」という器物損壊事件などでは被害者の保険請求に必要だからという理由で本当に犯罪被害なのかはっきりしない場合でも被害届を受理することもあるのは事実です。

こういった裁量の利く運用が可能なのも被害届の利点なので、単純な考えで被害届を悪者扱いするのはよくないな、と感じる次第です。


では本題に戻ります。

告訴は、被害届のように「私が犯罪被害に遭いました」と申告するものではなく、犯罪被害に遭ったので「犯人を厳しく処罰してほしい」と求める手続きです。

そういう意味で、被害届よりも格段に重い意味をもっています。

被害に遭ったというだけでなく、犯人を名指しして「アイツが犯人だ!だから罰してくれ」と求めるということは、被害者にとってもリスクがゼロではありません。

なんらかの誤りがあれば賠償請求を受けるという反撃の危険があるので、被害者自身にも確信と覚悟が必要です。

形式的には、告訴状に「犯人を厳しく処罰してほしい」という趣旨の一文を加えることで足る話ですが「アイツが犯人だ!」と名指しする重みがあることは重々承知しておいてください。

ただぼんやりと「アイツだろう」「アイツしかいない」「アイツが怪しい」といった程度での告訴はおすすめできません。

形式的におさえておきたいポイント


告訴状に形式的な決まりはありませんが、受理に至れば警察から検察官へと送付・送致され、起訴されれば刑事裁判へと発展する重要な書類なので、形式的なポイントもおさえておきましょう。


作成は文書作成ソフトで!


告訴状を自作する際は、必ず文書作成ソフトを使用してください。
これは「手書きじゃダメよ」といっているのではなく、自分自身の手間を省くためです。

基本的に、告訴は即日一発で受理されることはほとんどありません。
受理検討として告訴状の草案を預かり、検討のうえで受理・不受理を通知します。

受理に至った場合でも修正を求められたり、不受理になったときに再チャレンジを目指して推敲したりといった場合を想定して、文書作成ソフトを使用したほうが利口です。

ソフトの指定はないので、Wordでも、Googleドキュメントでも、一太郎でも、なんでも構いません。
パソコンがなければモバイル版でもいいので、かならず文書作成ソフトを使用してください。


用紙サイズ・フォント・ポイントは捜査書類にあわせる


この点もとくに決まりはありませんが、もし受理に至れば、告訴状は捜査書類の束のなかでも一番上のほうにくる重要書類なので、体裁はできるだけ捜査書類に寄せたほうが無難です。

用紙はA4タテの横書きで、左側の綴じ代を少し広めにとっておきましょう。
複数枚にわたるときは割印をするので、上にも余白を空けてください。
別の用紙サイズだと無効になるというわけではありませんが、あえて小さくしたり、大きくしたりといった理由もないので、ごく一般的な体裁にまとめたほうがいいでしょう。

フォントもとくに決まりはありませんが、明朝体がベターです。
ゴシック体・ポップ体などは重要書類としての威厳がガタ落ちになるので避けてください。

ただの「お知らせ」みたいな書類だとタイトルを別のフォントにしたり、太文字・斜め文字にしたりといった処理もアリですが、告訴状では避けましょう。
強調部分として下線や赤文字にする必要もありません。
すべて黒一色でOKです。
網掛けなども見にくくなるので使用しないでください。

文字ポイントはとくに制限がありません。
警察が作成する捜査書類を含めてほとんどの公文書規定が12~14ptとしていますが、のポイントにあわせます。
無理に1枚でおさめる必要はない…というか、丁寧に作ると1枚でおさまることなんてほとんどないので、ポイントを調整してコンパクトにするといった工夫は不要です。

とにかく装飾は必要ないので、シンプルイズベスト!を心がけてください。


どうしても自作が難しい場合は?


さて、ここまでは告訴状を自作するうえでおぼえておきたいポイントを紹介しました。

ここまでの解説で「自分でも書けそうだ」と感じていただけるといいのですが、難易度は決して低くはないのでなかなかそうもいかないはずです。

もしいま告訴を検討していて、弁護士など士業の先生方に依頼する意向がないなら、ひな形を含めて本記事をご購入いただけるとお役に立てるでしょう。

noteの記事としては価格が高めかもしれませんが、士業の先生方にお願いすれば数万円、数十万円の出費になることを考えると安いはずです。

ただし、3つのポイントのうち、

①の「罪名をしぼる」という点で罪名をしぼりきれない=事件の筋読みが難しいと感じている方
②の「犯罪事実を明らかにする」という点で判明しない事項が多い方

は、自作をおすすめしません。
どのように対応するのがベストなのかのアドバイスを含めて、法律事務所で弁護士に相談したほうがいいでしょう。

弁護士相談はおおむね30分あたり5000円の相談料がかかりますが、事務所によってはその後の依頼があれば無料だったり、初回30分に限り無料だったりといったサービスも用意してくれているので、よく下調べして少しでも負担を軽くしてください。

また、警察署に行って自分自身で説明するのが苦手だと感じるなら、お金をかけてでも士業の先生方に依頼したほうが得策かもしれません。
法律の規定があるので、報酬をもらって本人の代わりに告訴できるのは士業者だけです。

ちょっと弁の立つ家族・友人・知人などに依頼するのもアリといえばアリですが、それではわざわざ告訴に踏み切る目的を達成できないかもしれないと考えると、賢い選択とはいえないでしょう。

もう一度いいます。
本書を有料で購入して役立てることができるのは、告訴状を自作し、自分自身で警察署に乗り込んで告訴という刑事手続きを進められる方だけです。

本記事が犯罪被害に苦しんでいる方の一助になれれば幸いです。


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11月24日 04:30 〜 11月30日 23:30

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