親密さの境界線、どこで引く?
20代の頃の話です。
職場に、やたらと距離感の近い後輩がいました。
彼女は、まるで人と触れ合うのが好きでたまらないかのように、こちらのパーソナルスペースにズイッと入り込んでくる、可愛らしい年下の女性でした。
ある日、後輩はいつものように私の目の前までグッと近づき、「先輩!」と明るい声で話しかけてきました。
その瞬間、私は思わず本能的に「前へならえ」のポーズをとりながら、思い切ってこう叫んでしまいました。
「このくらい離れて話して!」
当時の私は必死でした。
けれど、その光景を思い返すと、ちょっと笑ってしまいます。
距離が近いほど親密さが増すという話をよく聞きますが、それも限度があります。
人にはそれぞれ心地よい距離感というのがあるのだから。
それが親しい友人や恋人なら心温まるものでも、職場で距離ゼロはさすがに戸惑うもの。
もちろん、彼女に悪気はなかったと思いますよ。
ただ、その頃の私は「近すぎるコミュニケーション」はまるで強すぎる愛に感じて、受け入れるのが怖かったのです。
それからしばらくして、私も人との距離感について考えるようになりました。物理的な距離もそうですが、心の距離感も人によって違いますよね。
近すぎると息苦しく、遠すぎると寂しく感じる。
自分の心地よい距離感を守っていきたいですね。