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脱炭素の先へ

少し遅くなりましたが、やっぱり年1回きりになってしまう、年明けのnoteです。

「1.5℃」をあきらめない

年明け早々、2024年の平均気温が産業革命前の水準から1.6℃上昇となったとのニュースが入ってきました。単年のこととはいえ、世界目標の1.5℃をこれほど早く超えてしまったことに、気持ちが塞いでしまいます。
でも、ダメだ、あきらめよう、という単純な話でもありません。1.5℃を超える温暖化は、異次元の地球環境の激変を招き、生活環境とインフラの破壊で社会が混乱し、多くの死が連なる、受け入れ難い状態に本格突入することを意味します。だから、簡単にあきらめられない。今よりずっと大きな努力が必要だと肝に銘じて行動することしかありません。覚悟を決め、昨年できなかったことを今年は動かす、そんな1年に。

政府方針が固まる

2024年度は、数年に一度の日本の気候変動やエネルギー政策の改定が行われており、2040年に向けた方針を定めた案が昨年末発表されました。2050年のカーボンニュートラルの実現に向けた方針を定める大事な決定になります。1月26日まで3つの計画がパブリックコメントにかけられ、2月頃に政府決定される予定です。

ですが、温室効果ガス排出削減目標や、再生可能エネルギーの導入目標の案は、とてもがっかりする内容です。すでに現実が1.5℃を超えるほどなのに、不十分と指摘されている目標案を「1.5℃目標に整合している」と説明していたり、化石燃料が温暖化の主原因なのに15年後も火力発電を4割も使い続けることにしたり。気候変動の危機に全く向き合えていないことを象徴しています。
意見を言える今、自分の意見を出すことも大切ですし、今後も、政府の言う通りにやっていればいい、ではなく、もっと大胆な対策が求められていると考えなければなりません。

計画について詳しくは、以下のインタビューや執筆記事をご覧ください。

参考
オルタナ インタビュー記事「揺れ動くGHG目標(4)」 2025/1/7
Japan Times 寄稿「Japan’s energy plans endanger real climate solutions」2025/1/13
東洋経済オンライン「脱炭素が空文化、エネルギー基本計画は課題山積」2025/1/17

Climate Integrateのあゆみ

2024年、Climate Integrateはまた一回り組織が大きくなりました。仲間が増えるごとに新しい風が注ぎ込まれ、活力になっています。この方がいなかったらどうなってたんだろう?と思うほど、仕事が回り出し、足早に一年が通り過ぎていきました。

この一年間、レポートインサイトの発表や、セミナー開催などをきっかけに、政策形成プロセスにも一部関わりながら、さまざまな分野の方々と対話をしました。また、豊岡や酒田、市川で足元から取り組みでさらに深い一歩を踏み出すことができました。それぞれが脱炭素化の前進につながるという実感をつかみ始めています。

こうしてClimate Integrateは、スタート時の属人的な組織から脱皮をしていくステージに入っています。組織としてどのように戦略やプランをたて、財政的に安定して運営していくのか、一人ひとりの健全なワークライフバランスを保ちながら高いミッションに向かっていく環境をどうつくるのか、などの新しいテーマにも向き合いながら、試行錯誤しています。

実践は、それぞれの現場の一歩から

2025年の脱炭素の動きはどうなることでしょう。議論らしい議論がないままに政府方針が固まっていくことには、悔しさもあります。トランプ政権誕生など国際情勢にも不安もあります。さまざまな厳しい状況に踏ん張らないとならないこともありそうです。

ですが、どういう道を歩んでいくのかを決めるのは、多くの場合、私たち次第です。脱炭素の経済やくらしへの移行は、全て足元から始まるからです。
例えば、火力発電への依存を減らしたいなら、私たちが選ばないようにすればいいのです。エネルギー会社は選べますし、企業や自治体、集合住宅や個人家庭それぞれの場所で再生可能エネルギーを増やし、利用していくこともできます。
また、地方自治体や企業では、大規模であれ小規模であれ、それぞれが実践の現場です。リーダーの立場にある方なら自身の明確な信念に基づいて、また、職員や社員なら組織の中から、関係者ならそのつながりから、一歩を踏み出すことができます。それに私たちは皆、どこかの国のどこかの地域に住む住民であり、さまざまな製品や商品、サービスを消費する顧客であり、社会を形づくる構成員です。とっかかりはどこにでも転がっています。

ブレークスルーを見据えて

2024年4月から1年間、信濃毎日新聞日曜版(第2火曜)に、大型コラムの連載を書かせていただいています。そのタイトル「脱炭素の先へ」には、脱炭素が目的ではなく、その先にある、守りたい自然と愛すべきものをつないでいく豊かな社会を実現したいという思いを表現しました。

昨年12月には、2024年クライメート・ブレークスルー賞に選ばれ、思い切ってチャレンジする大きな機会をいただきました。本当にありがたく思っています。今年も、チャレンジを恐れず、ブレークスルーを見据えながら、脱炭素の先に目線を合わせて、胸を躍らせていきたいと思います。

本年もどうぞよろしくお願いいたします。


CIの形
通常リモート、時々、対面

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