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9月2日:「見えない」自分と戦う。地元の人たちのおかげで拝める、バトゥール山頂からの景色と子どもたちの自然体験<バリ島が教えてくれた365個の幸せ>

バリ島にはハイキングやトレイルコースがたくさんある。その中でも、もっとも親しみがあるトレイルが、Mt Batur(バトゥール山)だろう。

ウブドから1時間、チャングーエリアからは2時間くらいにあり、初めてバリ島に来た観光客にも、訪問する候補としてあがってくる観光地、キンタマーニ高原にある。美しい湖との山の絶景を見ながらの食事が有名で、観光に行ったことがある人も多いはず。

標高は1,717 mだが、そもそもが高原にあるため、頂上までの登山道は短めのものもある。今回登ったのは、片道1時間半(大人で)くらいのコース。高尾山でいうと、もっとも登山客が多い、王院に参拝するための表参道コースをイメージしてもらえるといい。

バトゥール山は活火山だ。富士山と同じ成層火山で、2つの大きなカルデラを持つ。最近の大きな活動は、1804 年から 2005 年にかけてで、合計26 回噴火している。栗駒山や那須岳をイメージしてもらえるといい。

今回、4歳から11歳の子どもたちと、バトゥール山のサンセット&サンライズ登山キャンプをした。それはそれは、とても美しく、貴重な体験をしたので、この経験を記しておきたいと思う。

まっ昼間の3時ごろ、ガイドさん&ポーターさんと一緒に、登山口を出発。標高がすでに高いので、涼しいが、日光は強い。半袖、半ズボンとスパッツでちょうどいいくらいの気候だ。

最初の登山道は、砂けむりが立つくらいの乾燥した岩場だ。途中から、黒や赤い火山岩が増えてきて、たまにきらりと光る黒曜石のような石も見てとれる。最後は、岩がごろごろと落ちるほどの急な傾斜だった。

子どもたちは、2時間半かけて登り切った。特に4歳の子は、とても忍耐強く、最後まで自分の足で登ってくれた。みんなのことをとても誇らしく思う。

山頂では、もう夕陽自体は沈んでいた。気温は18度くらいで長袖を着ていないと寒い。キッチンスタッフが、小屋で温かいお茶やチョコレートドリンクをい淹れてくれた。

霧と白煙で、視界が悪い。どこからが道でどこからが崖なのか、全然見えない。そんな中、子どもたちが走り回ってはしゃいでいるであろう声と足音は聞こえる。あと、時々、本気で怒るガイドさんの声も。

長男が、小屋から離れてカルデラの道を歩いていったきり、帰ってこない。何をしてるのか不安になって見に行ったら、ガイドさんと白煙で遊んでいた。「1,2,3,マジックー!」といって、ある岩の割れ目に息を吹きかけると、白い煙がもくもくと出る。

白い煙は、水がマグマで温められてできた水蒸気だろう。それにしても、ガスだったらどうしよう、とわたしは心配が止まらない。そしてさらに、見えない、というのは恐怖を倍増させる。子どもたちがカルデラの中に落ちてしまわないか、水蒸気でやけどしないか、などなど、ほとほと心配した。勝手な不安な妄想が100倍くらいになる。自分が普段、いかに視覚だけに頼っているかがよくわかる。

心配をよそに、子どもたちとガイドさんは、暗くなるまでカルデラの周りで遊び尽くし、お腹をすかせて戻ってきた。そして、時間が経つにつれて霧は晴れ、綺麗な夕陽のグラデーション、バリ島の最高峰で聖なる山、アグン山、満点の星空を拝むことができた。

今回の登山では、荷物をもってくれるポーターさんとガイドさんを雇った。キッチンスタッフも山頂でごはんを作ってくれた。テントも寝袋も、設置や片付けをしなくて良い。至れり尽くせりのラグジュアリー(見た目は違うが)キャンプ登山だ。

希望者には、モトクロスバイクでの送り迎えもある。片道3500円くらいだ。バリの人はたくましい。観光客をここまでして迎え入れてくれる。

地元の人をしっかり頼ろう。そうすることで、私たちよそものは、こうやってバリ島の美しい大自然を体感させてもらえるのだ。

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バリ島に住んで6年の月日が経ちました。コロナ禍で観光経済が壊滅したり、過剰開発で環境が破壊されたりひどい渋滞が起こったり。そんな現状を目の当たりにしながらも、バリ島に暮らす人々は、いつも明るく笑顔で、とにかく幸せそう。

なんでだろう?と探っているうちに、バリ島に根付く「トリ・ヒタ・カラナ」という哲学に辿り着きました。「神と人」「人と人」「人と自然」の調和を重視することで、人々は幸せに過ごし喜びを感じることができるという考え方です。

その哲学がしっかり根付いているバリ島の日常にこそ、幸せのヒントたちが落ちています。ここに住まわせてもらっている議事録もかねて、バリ島が教えてくれた365個の幸せを綴っていこうと思います。