見出し画像

Marseille, Marseille マルセイユの小径へようこそ

そんなマルセイユ暮らしで気に入っているのは、海だけでなく、坂道のからの眺めとつづく小径。

画像1

バスが時間通りに来なかったり、メトロは冷房設備もないままだからのせいもあるけれど、片道2kmぐらいの用事は、いつも徒歩で済ませてしまう。だから、毎日1万歩は軽い。2万歩・12kmと1日の記録が出て、遠足じゃないんだからとひとり可笑しくなることも時折。でも、この街で暮らすようになってから、本当によく歩く。そして、時折、深呼吸。

スローライフというには程遠い、時計と睨めっこな生活ながらも、四季折々の草やひなたの匂いを感じながらの、ヴァカンスシフトな暮らし。子育て・家庭を優先に、仕事は出来る範囲でこつこつと…ようやく子どもが手を離れて、仕事に加速をと始めて1年いい上り調子でいたのに、コロナの波紋で全てご破算になってしまった。

でも、景色は変わらない。美しさも、ほーっとさせてくれる空気も、自分がちゃんとそう感じられれば。


子どもが小さかった頃には、どこに出かけるにも、小さなおにぎりいくつかと水筒をかばんに入れていた。

コンビ二も(温度調整された)飲料の自動販売機もないフランス。その上、息子は、乳幼児期には小麦グルテンアレルギーだったので、パン屋さんは前を通るのも避けているぐらいだったし、スナックスタンドやピザの屋台で気軽に買い食いできなかったけれど、悲しいことだと感じさせたくなくて。そして、かわいそうだと(誰からも)思わせたくなくて。


「お店のパンやビスケットは痒くなってしまうけれど、おうちで作れば大丈夫」と手作りもよくしていたし、出かけるときには、おにぎりを用意するのが習慣になっていた。ちょっとマルシェに向かうのに坂道を上ったり降りたりするだけでも、子どもにとっては遠足みたいな道のりかもしれない。時には、帰り道で眠そうだったりさえする。空の高さも、聞こえる鳥のさえずりも家の中とは全く異なる大きな世界。


石の階段は、バギーの頃には傍らの平らになっている部分を通ればいいだけだったし、幅の狭い小径は、車が来ないので安心して手を繋いで歩けるので、大通りからちょっと高台に上がった住まいの暮らしは、ちょっと不便もあるけれど心地よかった。

子どもと手を繋いで、スニーカーを履いて。

画像3

塀越しの果樹や花の季節の移ろいを愉しみながら、幼稚園に通い、小学校に送り迎えし、海へと続く道を行き来する日々…

画像3

画像4

手を繋ぐことも、送り迎えもなくなったけれど、ふと立ち止まると空気は同じ。

変わらぬ風景、深呼吸時間。

…先週から、フランスでは、屋外でのマスクは法令ではなくなった。

気に入っていただけたら嬉しいです🍀