
幸せ運ぶといわれているCOLOMBIER コロンビエーは、知る人ぞ知る南仏伝統菓子
Colombierコロンビエーは、年に1度、祭日にいただく南仏伝統のケーキ
Pentescostesペンテコステという新約聖書のエピソードで精霊たちが降臨してきたといわれる日のデザートにいただく特別なこのお菓子、レシピはそう知られていない。
信仰する宗教によっては口にしない家庭もあるかもしれないけれど、クリスマスのビュッシュ・ド・ノエルや、1月のガレット・デ・ロワのように、行事を祝うだけでなく楽しい空気感に包まれるためのお菓子。幸運と平和を運んできてくれると言われているから。
といっても、全国的に知られているものではなくて、南仏、それもプロヴァンス地方に限られている習慣のようで、パリでは見かけない。だから、夫もその家族も知らなかったもののひとつ(そういうものを見つけては得意気に披露するのは、わりと楽しい)。
表面には砕いたアーモンドがちりばめられ、マジパン細工のたすきリボンみたいな飾りが施され、Colombierと書かれているのでひと目でわかる。中身はスポンジ生地にキルシュ風味のオレンジやメロンの砂糖漬け(コンフィ)がざくざく入っている。
切ると、こんな感じ
果物の砂糖漬け(コンフィ)は特にプロヴァンス地方の名物のひとつ。
南仏ではガレット・デ・ロワと並んでブリオッシュタイプにコンフィをちりばめたGâteauガトーが伝統なのは、TRIP'Sトリップスの記事でも紹介した通り。➡︎https://trip-s.world/galette-des-rois
Gâteauガトーがパリではそう知られていないのと同じように、Colombierコロンビエーも、まだまだ全国区ではないものの、南仏ではよく知られている存在。ここマルセイユでも、色は様々に、パン屋さんやケーキ屋さんの店頭に並んでいる。ただし、直前から当日まで。
この頃はフランスでも甘み抑え目のケーキが増えてきたとはいえ、伝統行事のお菓子のレシピは昔のまま。砂糖漬けの果物入りだから、とてもとても甘い。
それでもやっぱり、売れている。店で取り置きしておいて貰っていたのを、前日お昼に受け取りにいったら、もうショーケースの中にはひとつも残っていなかったこともある。(追加を急遽作っていると言った)
非常事態宣言下2年目には早々に売り切れた
今から4年前、折りしもその前夜、ロンドンでまたテロが起きた年。しかも、同時多発で。
コロナ禍以前に、フランスでは非常事態宣言下で町中に兵士が警戒体制をとっている時期が2年目に入っていた。そんな中での家族や友人との結びつき、子育ては、旬や行事により敏感になっていたからかも…
そんな話を店先でひとしきり話しこんでから、抱えて帰って来たColombierコロンビエー。
このお菓子が作られ始めたのは19世紀からだそうで、だから、幸運を願ってだけでなく平和を運ぶとも言われているのかもと、ふと思った…
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