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バイオリン演奏のピッチを強化する方法



はじめに

ピッチのことを「音程」と表現することが多いですが、ここでは敢えてピッチを使わせていただきます。
本来、「音程」とは2音以上の隔たり(距離)を指すものであり、皆さんが思う音のズレを指摘するものではありません。
なんだか偏屈に聞こえるかもしれませんが、音楽指導者としてなるべく正しい表現と、情報を発信していきたいと考えております(^^)v

1.スケール

スケールとは

音階のことです。バイオリンでスケールと言われれば、ほとんどの方が「カールフレッシュ」を思い浮かべることでしょう。
音楽高校や音楽大学の入試では必須、入学後の試験でも必須です。


中学生から使っているカールフレッシュ。もうボロボロですが、書き込み含めて宝物♬

スケールは上級者やプロでなくとも、ある程度のスキルを身につけたバイオリニストはやって損はないと思います。
全ての調の音階、半音階、和音をつかった音階を網羅しているのが、カールフレッシュというスケール教本なのです。


こんな感じ。音階、半音階、3度、6度、8度、10度、フラジョレットの練習です。

スケールで音色を感じ取ろう

バイオリンは純正律に近い楽器ですので、調によって雰囲気が変わります。
それは倍音が織りなす音色が異なるからだと考えます。

抽象的な表現ですが、私的には♯3つのイ長調はキラキラしているイメージ。
♭5つの変ニ長調は曇った柔らかさがあるイメージです。

これが平均律であるピアノでは出せない音色の違いです。
是非スケールを通して調によって異なる雰囲気を味わいましょう。

大げさに言うと、音色が統一されている=ピッチも合っているということになります。曲を奏でていて、悪い意味で他の音とは色が違う音が出ているときは、音色=ピッチが合っていません。

2.録音

録音技術の進化を使おう

私が学生の時はMDが主流で(消えちゃったけど(笑))、練習だけでなく、レッスンもMDで録音、後で聞きなおすという作業もしていました。

予め申し上げておきますと、レコーディングスタジオにあるようなコンデンサマイクでない限り、完璧な録音は不可能です。
しかし、綺麗な録音でないからこそ、刺さるほど自分の拙さが出ます。

今ではスマホでも簡単に録音できますよね。
自分の音を客観的に聞く機会は、自分で作り出さない限り、訪れません。
最初は、録音した音に心がくじけそうになるかもしれませんが、それも現実として淡々と受け止めて、自分の練習材料にしましょう。

ただ、ピッチの確認はできても、音色の詳細までは録音しきれません。
録音データよりも、自分の音には倍音が鳴っていることを忘れないでください。データより絶対良い響きのはずですので(*^^*)

コンデンサマイク一式を買うのも一手

最近ではネットショッピングで気軽にDTM機材を購入できます。
DTM作曲家になりたいというわけでなければ、2万円以内で録音から再生までできる一式が揃えられると思います。

マイクで録音してPCなどのソフトで聴く場合、オーディオインターフェースが必要になります。
あと、マイクにつけるノイズカットフィルターがあれば文句なしですね。


奥は吸音材です。手前がフィルターで、全方位型のコンデンサマイクです。

自分で聴いて参考にするだけであれば、聴くためのソフトは無料のDAWソフトで十分だと思います。
録音したものを加工して販売、Youtubeで流すなど、誰かに商品として聴いてもらうのであれば、有料のDAWソフトが必要になるでしょう。

DAWソフトのお話はここでは割愛しますね。
(語り出したら止まらない(笑))

3.和声学を修める

音大生全楽器専攻の必須科目「和声」

ここでいう和声は「ドイツ和声学」のことです。
クラシック音楽の構成を骨組みから知っていく科目になります。

音大生にとっては悪夢の本?(笑)

ロマン派までのクラシック音楽のほとんどが、このドイツ和声学のルールに則って作曲されています。
ですから、和声学を知るということは、曲を知るということ。
ルールを知っていれば、要となる音の存在や、フレーズに気づくことができますので、ピッチを整えるのにも役立ちます。
ですので、音楽大学に行くと、全学生が必修科目となるのです。

できればソプラノ課題まで履修すると◎

和声学は【バス課題】から始めます。
基本的に、4声和音を作っていくのですが、4つのうちの、バス=一番下の音の指定があり、上3つの音を自分で作るのが【バス課題】

右ページの課題部分。青字が最初から与えられているバス音です

バス課題を家に例えると、基礎があって、その上にどういう建物を建てるかを考える感じです。

バス課題に慣れてくると、次はソプラノ課題になります。
こちらはバス課題の反対で、最高音(ソプラノ)が指定されており、下3つの音を自分で作るという課題です。

これがすんごくムズイ( ;∀;)

またまた家に例えると、2階までできていて、基礎はもう見えないんだけれども、「さて、基礎はどうなっていると思う?」と聞かれている感じww


動くメロディに対して、それを支える下の音を見つけていきます

私は和声学や対位法が大好きで、作曲家の先生に師事したほどです。
奥が深く、知れば知るほど実技にも活かされていくのが楽しくて♪

ただ、全音大生必修なのはおそらくバス課題まで、という学校が多いのではないでしょうか。ソプラノ課題までいってもさわりだけで終わってしまう。

それは勿体ない!!!

座学のなかでも、実技レッスンに近い和声学
是非履修できる最後の科目まで取りましょう。

和声学は音大生でなければ学ぶのが難しいのが現状

和声学を個人レッスンで教えている先生は多くありません。
基本的に作曲科を卒業された方が、和声学を教えることが多いのですが、和声学を教えられる作曲家の先生は、大体音楽大学専任の講師です。

ピアノやリトミックのように気軽に学べる環境ではありません。

ただ、私はバイオリンの生徒にも、ピアノの生徒にも、本人が望めば、和声学の基本を教えています。
それほど私は和声学は生徒を助け、曲を知る手立てとして有効だと考えているからです。しかし、演奏家で和声学を教えることができる方も多くありません。実際、私は作曲家に師事したという異色の経歴が助けてくれていますが、そうでもしない限り、「人に教える」のは不可能だったと思います。

今回は上級者編でした

今回はピッチを正しくとらえる方法、その訓練法を書かせていただきましたが、これはちょっと上級者編だと思います。

バイオリンには指を抑える目印がありません。
習いたての生徒には、数か所シールで目印を作りますが、いつかは目印をはずして、自分でピッチを探し、それが合っているのかどうか判別できるようにならなければなりません。

チューナーを使うのも一手だと考えますが、あくまでも機械ですので、ピタッとハマることはありません。あまりあてにしていると、チューナーに振り回される練習になりますので、ほどほどに・・・。

次回はビギナー向けの記事を書きます

バイオリンをやってみたい
独学で始めたけれど、何をすればいい?
お勧めの教本は?

こんな感じの項目に応えられる記事を書きたいと思っています。
別連載の記事を挟みますので、少し時間がかかると思いますが、待っていただけると嬉しいです(*^^*)

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