【虎に翼】亡くなった人との思い出
◉朝ドラを観てハッとした
珍しく、朝ドラを全話観てます(*^^*)
主人公の素敵なところも人間臭いところも、丁寧に描かれているな~と思いながら、楽しんでいますが7/17と7/18放送分で思ったことを少し。
◎母と主人公寅子が重なった
主人公の夫は戦病死しており、娘は赤ん坊だったため覚えていない。
私も物心つくまえに父を亡くしました。
父がいない生活が当たり前だったので、寂しいと思ったことはありません。
劇中で気になったのは、主人公は夫の話を現在進行形で話しているんですよね。つまり、まだ「死」を受け入れられていない。
でも、娘は存在も覚えていない人だから、過去形で父のことを尋ねる。
思えば、母はあまり父のことを語りませんでした。
今ではよく話してくれるので、母も父の死を本当の意味で受け入れるのに時間がかかったのではないか、と気づきました。
◎私には父との思い出がほとんどない
私は主人公の娘ちゃんの気持ちがよくわかります。
知りたいんですよね。自分の父親のこと。
アイデンティティでもありますし、写真でしか知らない父を知るには、知っている人から聞くしかない。
でも、なんとなくお母さんには聞きづらい。
別にタブーではないし、聞いても叱られないだろうけど、私は聞けなかったです。なんか、母が泣いてしまう気がして、聞けなかった。
刑事事件で亡くなっているのも、その感覚を後押ししていたと思います。
◉私たちが忘れなければ父は生きている
◎30年以上経った今も父の話題が尽きない
私が成人したころから、お酒の力も手伝って、兄と姉から父の話をちらほら聞く機会ができました。
私が物心ついたときには、父は「仏壇」だったので、どこか聖人君子みたいに勘違いしていたのだと、この時に気づきました(笑)
父のお酒の失敗談
夫婦喧嘩ではなくて父が一方的に怒られていた(父は母が大好き)
仕事のやりがいは家族の笑顔だった
毎週末は子ども全員を連れだして、母一人の時間を作っていた
などなど、笑える話から、昭和の時代には似つかわしくないほどのフェミニズムを持った人だったのだな、とか、色々。
今では母も気軽に話してくれます。
そして呟くんです。
生きていたら二人で旅行してみたかったな
できないとわかっていても。割り切れない思いはありますよね。
◎私のなかの「父」はみんなの思い出からできている
私は父との思い出はありません。
というか、覚えていません。
ですから、私のなかの父は私オリジナルではなく、父を知っている人が作ってくれている、現在進行形の父であり、思い出です。
私は兄妹のなかでも年が離れているので、すごく可愛がってくれたそうです。そして、お決まりの「嫁にはやらない」宣言もしていたようで(笑)
嫁ぎましたけどねww
ですから、結婚式では父がよく鼻歌で歌っていたという「ユーモレスク」を演奏し、母への感謝の手紙の代わりにしました。
(花嫁が演奏するという前代未聞の披露宴(笑))
父vs夫 見てみたかったな~
◉私たちのなかで生き続ける父
虎に翼を観て、思いのままに書いてみましたが、なんかスッキリしてます。
親を早くに亡くした子どもの気持ちを、ドラマが丁寧に描いてくれていたこと。夫を早くに亡くした妻の気持ちも丁寧に描いてくれていたこと。
ドラマが私のなかのモヤモヤを晴らしてくれた気がします。
大切な人を亡くした後、受け入れるのはとても難しいことです。
母も何度か話しながら、泣いたこともあります。
それだけ父のことを想っていたのだと思いますし、3人を育てるうえで泣いている暇がなかったのだと思います。
ただ、私たち子どもが父の話をしている間は、まだ父は生きていると感じます。私たちのそばで笑ってくれているような。
そして、父の失敗談を話しているときは、止めているような(笑)
人はいつか必ず死にますが、私はひとりでもいいから誰かに覚えていてもらえたら幸せだな~と思います。