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夏の光と冬の光。季節と建築の関係

建築において、光のデザインはとても重要な要素のひとつです。特に、日本のように四季がはっきりしている地域では、夏至と冬至の太陽の高度の違いによって、室内に入り込む光の角度が大きく変わります。これが、居住空間のデザイン性と快適さにどのような影響を与えるのかを考えてみたいと思います。

夏の光は高く鋭角に差し込む

夏至の頃、太陽の高度は最も高くなります。そのため、夏の光は真上から鋭角に室内へと入り込む特徴があります。下の写真は、夏場の午後2時頃の光です。ハイサイド窓から入り込む光は鋭角に筋となって入り込みます。午後3以降になると坪庭の壁が西日を遮ってくれる温熱環境に配慮した設計となっています。

夏の午後の光

光の入れ方でインテリア空間を幻想的に演出してくれるのです。光の入り方も建築デザインに取り入れることが設計事務所の注文住宅の魅力となります。

冬の光は低い角度で奥まで届く

一方、冬至の頃の太陽は低い位置を通るため、光は浅い角度で室内へと差し込みます。下の写真は時計を見ていただいても分かる通り、冬場の正午の光の入り方です。夏場の光とは異なり室内の奥にまで光が入ってくることがわかります。低い高度から入り込んだ太陽の光は、床に反射してスケルトン階段の踏み板の間を抜けインテリアを演出しています。

冬の正午の光

この特徴を活かせば、冬場でも十分な採光を確保し、日中の暖房負荷を軽減することができます。特に、南向きの大きな窓やハイサイドライト(高窓)を設けることで、冬の低い太陽光を積極的に室内へ取り入れることが可能になります。さらに、床や壁に蓄熱性の高い素材を用いることで、昼間に吸収した熱を夜間にゆっくり放出し、より効率的に室内の温度を維持することができます。

光と住まいのバランス

建築において、光の設計は単なる明るさの確保だけでなく、住宅デザインにおいても大切な要素となります。また、快適な温熱環境をつくるための重要な要素でもあります。夏と冬の光の特性を理解し、それぞれに適した設計を行うことで、室内の明るさはもとより、インテリアのデザイン要素や温熱環境のコントロールの全てを考慮して設計デザインすることが大切となります。

冬の午後1時頃の光はダイニングまで届く


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