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『ねじれた家、建てちゃいました。』を読んでみて。
アトリエ・ワンの塚本さんが監理設計を手がけた「スウェー・ハウス」に住む施主が執筆した『ねじれた家、建てちゃいました。』。この作品は、設計事務所との家づくりのプロセスを、イラストを交えながらリアルに描いたコミック・ドキュメントです。
建築家と施主、それぞれの視点
住宅を建築するという行為は、一見シンプルなようでいて、実は複雑なプロセスの連続です。本書では、建築家の視点と施主の視点が交錯しながら、家が形になっていく過程が描かれています。建築の専門家ではない施主が、建築家との対話を重ねることで、次第に「建築とは何か」を深く理解していく。その様子が、ユーモラスでありながらもリアリティをもって伝わってきます。
建築業界に携わる者にとっての示唆
この本は、単なる家づくりの記録ではありません。建築を発注する側と設計する側、それぞれの思考や葛藤が細かく描かれており、建築業界に携わる者にとって、多くの示唆を与えてくれる一冊です。建築に対する視点が広がるだけでなく、施主と建築家の関係性についても新たな気づきをもたらします。
「建築」とは何かを再考する
家を建てるという行為は、単なるモノづくりではなく、価値観やライフスタイルを形にするプロセスでもあります。本書では、設計の初期段階から施工、そして完成後の住まい方までが細かく描かれており、建築がどのように人の暮らしに影響を与えるのかが浮き彫りになります。
建築を考えるすべての人にとって、貴重な一冊。設計事務所とともに家づくりを考えている人にも、建築家を目指す人にも、ぜひ手に取ってほしい作品です。
出典:
『ねじれた家、建てちゃいました。』
著者: 橋本愛子 永井大介
発行者:石川順一
発行所:株式会社平凡社
2012年5月25日 初版第1刷発行