【Microsoft Teams】ツールの社内展開・定着化の失敗事例と解決策
※本件は個人の見解であり、所属する組織の公式見解ではありません。予めご了承ください。
はじめまして。
日本マイクロソフトのカスタマーサクセスマネージャーとして、お客様に対して Microsoft 365、Microsoft Teams、Power Platform、Microsoft Vivaを最大限に活用していただくことでの業務変革の実現を支援してきました。
※業務変革例:従業員エンゲージメント向上、業務プロセス改革、コミュニケーション変革、市民開発者育成など
今回は新しいツールの導入・展開時によくみられる失敗要因を「ヒト」「コト」「モノ」の3つの要因に分解し、事前に考慮すべき点をまとめています。
またツールの導入・展開は、IT部門だけではなく経営層から現場の従業員の方までが一体となって進めるべき理由を記載していますので、今後同様の計画を考えている方、今現在計画を進めている方は是非参考にしていただければと考えています。
ツールの定着化が上手くいかないケースは多数存在する
昨今、Microsoft TeamsやSlackなどのチャットツールは社内コミュニケーションにはなくてはならないものとして使われていますが、定着化までの過程ではなかなか浸透がしない、いわゆる失敗事例も多くありました。
今回は数多くのお客様に対してTeamsの利用推進活動を行ってきた実績から、Teamsを例にして新しくツールを社内に展開する際の展開計画から遅れた要因の例をご紹介します。
※あくまで一例であり、全てのケースに当てはまるわけではありません。
また、情報システム部門などのIT部向けの方寄りの話となっておりますのでご容赦ください。
「ヒト」「コト」「モノ」での要因の一例
まず、失敗に陥る要因例「ヒト」「コト」「モノ」の3つのカテゴリで分けてみます。
■ヒト
・トップダウンでの指示が出ない
・部門連携ができていない
・新しい環境への理解不足
■コト
・展開計画不足
・サポート過多
■モノ
・帯域不足
・PCスペック不足
それらを時系列に対して必要なタイミング別で整理してみます。
各カテゴリに対して、簡単な説明と項目による影響と解決策を記載します。
※「モノ」は今回の記事では割愛します。
失敗要因:「ヒト」
トップダウンの会社経営を行っている場合は、経営者の声が現場を含む全社に届きやすく浸透もしやすくなります。
また、全社で使うようなツールは全社で一斉に使えることが望ましく、Teamsのようなツールの場合は、段階的な展開であってもコミュニケーションを取ることができる最低限の機能(チャットやオンライン会議)だけでも先行して全社展開することがスピード感を高めるポイントです。
また、アンバサダーといういわゆる社内推進制度を設けることも有効であり、こちらは別の機会に触れたいと思います。
失敗要因:「コト」
展開計画はツール自体の計画だけでなく、実際に使う現場の従業員の目線での習熟を意識した計画の策定も必要です。
トレーニングに関しては、特定の部署が先導して自前で社内向けにトレーニングを行うケースもありますが、YouTubeはもちろん以下のような動画コンテンツも多く公開されていますのでご活用ください。
しかしながら、現場では新しいツールの導入に対して心理的な抵抗を感じたり、変化に対してネガティブな反応を示す抵抗勢力が少なからず現れます。
その抵抗勢力に対しては、テクノロジーと人の心理的側面からアプローチして変革を組織全体に波及させる手法である「チェンジマネジメント」が有効です。
また、ツール類の展開時はマニュアルなどの運用面をキッチリと整備してから展開を進める会社もいますが、全社展開されるようなツールは基本的にSaaSであることが多く、日々機能更新が行われるためマニュアルも数ヶ月経つと全く役に立たない、なんてことはざらにあります。
運用面を考慮して展開を行う場合は、ある程度の線引きをして日々更新が行われることをメリットとして社内に訴求していくとよいかと思います。
まとめ
あくまで一例ですが、新しいツールの導入・展開にあたっては「ヒト」「コト」「モノ」のいずれか一つを考えるだけでは定着化まで時間を要するのが実態です。
且つ、情報システム部門などのIT部だけで進めるプロジェクトではなく経営層から現場まで一体となって進める必要があることを、本記事を通して少しでも深めていただけたなら幸いです。