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ドイツ・ザールラント州議会選挙: CDU、Linkeが大敗、SPDが単独過半数獲得へ。

3月27日に行われたドイツ西部ザールラントの州議会選挙の開票結果(最終投票率61.4%)は、キリスト教民主同盟(CDU)が2017年に行われた前回選挙時の得票から12.2%を失い28.5%の得票率で第2党に転落、それに対して、社会民主党(SPD)が前回比13.9%上昇し43.5%を得票する大勝となった。また、ザールラントが事実上発祥の地でもある伝統政党Linke(左派党)が10.3%を失い、得票率2.6%と選挙法による足切りライン5%を割り込み、議席ゼロとなる歴史的大敗となった。

ドイツ連邦レベルにおいて、SPDと組んで連立政権入りしている緑の党と独自由民主党(FDP)も、今回のザールラント州議会選挙では得票率がそれぞれ4.9%、4.8%と振るわず、5%の足切りラインにより議席ゼロに終わった。足切りラインを割った政党の分の議席は、足切りラインを越えた政党へ上乗せされ配分されるため、開票結果に基づく全51議席の配分は、SPDが第1党で単独過半数となる29議席(前回から12議席増)、CDUが第2党に転落し19議席(前回から5議席減)、極右政党AfDが第3党で3議席(前回と議席数同じ)となった。

この結果、SPDは単独での州政権を成立させて州首相もSPDから出るということになり、1999年以来の3代にわたるCDUからの州首相にとって代わることになる。

ザールラント州は、ドイツ連邦内にある16の州のうち最小の面積で、フランスのロレーヌ地方と国境を接しており、第1次、第2次世界大戦でこの地域の石炭資源の支配を狙うフランスの影に常に翻弄されてきた。そうした背景から、住民の政治意識が非常に高く、今後のドイツ政治の潮流を見るうえでザールラントで起きることには注目する必要がある。特筆すべきは、昨年まで連邦レベルでメルケル政権与党であったCDUに対し、ザールラント州で有権者が非常に厳しい評価を下したということだ。CDUは、メルケル氏退任後の党運営刷新に全力を挙げているが、新しい人材と方向性を未だ見いだせず、過去との決別が出来ずにいる。そのことに対する有権者の不満の表れであろう。

Linkeは旧西ドイツ地域でシュレーダー政権時のSPDから元党首でありザールラント出身の著名政治家オスカー・ラフォンテーヌ氏が率いる党内左派が分離してできた政党だが、旧東独地域での支持も広く集めていたのが特徴だ。昨年の連邦議会選挙で、SPD、緑の党から持ち掛けられた連立構想に乗ってしまい、その結果、権力志向を嫌うコアな支持層の離反を招き、急速に凋落した。このままLinkeの凋落が続くと、旧東独地域の支持者の多くが極右政党AfDに流れる傾向が強まることが予想され、今後のドイツ政治における懸念材料となるだろう。

(Text written by Kimihiko Adachi)

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