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ウクライナ情勢: アメリカ・NATOとロシアの交渉状況、アメリカ連邦議会上院での対露経済制裁の検討状況について。

極度に緊張が高まるウクライナ情勢をめぐり、明日21日ジュネーブにおいてアメリカ・ブリンケン国務長官とロシア・ラブロフ外相の会談が行われる予定だ。

ロシアは昨年12月にアメリカ・NATOに対してヨーロッパ全域の安全保障枠組みを大幅に見直す提案を行い、これに対する文書での回答をアメリカとNATOに対して求めその期限を今週中としてきた。しかしアメリカ側は、明日の会談では文書の提示は行わない意向をすでに明らかにしている。

ブリンケン国務長官はロシア側に対して、ウクライナに侵攻した場合にアメリカが同盟国と協調し厳格な対露経済制裁を科す用意があること、および、東ウクライナ紛争地域の安定化に関し従来のミンスク合意の履行にもとづく外交による解決を促す、というこれまでと同じ姿勢を維持するものと思われる。

ロシアとの交渉が行き詰まりの様相をみせる中、今週月曜日にアメリカ連邦議会上院の超党派7名から構成される議員団がウクライナを訪問し、ゼレンスキー大統領と会談を行っている。会談では主に、ウクライナに対する追加の武器供与及び対露制裁措置の内容について話し合われた。席上でゼレンスキー大統領側から、ロシアへの経済制裁は侵攻の事後ではなく事前の発動でないと抑止効果が期待できないこと、また、ドイツによる運転認可が棚上げされているロシア天然ガスパイプライン・ノルドストリーム2に対する事前制裁が抑止効果としては最も有効と考えている、との意見表明があった。

現在アメリカ連邦議会上院では、ロシアに対する経済制裁の内容について最終的な詰めが行われているが、制裁の発動方法に関して民主党と共和党で意見が分かれている。上院全体としては、制裁内容の取りまとめはあくまでも超党派で行うことで調整が進められているが、民主党側は制裁発動に関する裁量をホワイトハウスに持たせたい考えなのに対し、共和党側は議会が制裁発動の裁量を握りホワイトハウスにその履行を義務付けるという形式を考えている。

民主党の考え方で時間軸をみると、制裁発動時期はホワイトハウスの意向に従うことになるので、侵攻の事後ということになる。したがって、ゼレンスキー大統領の見解は、議会の裁量で事前の制裁発動も可能になる共和党の考え方と親和性があるといえる。しかし現在上院では、マジョリティーを握る民主党の考え方を中心に院内の調整が行なわれている。アメリカ議会は今週末から来月下旬まで散会となるため、明日21日までに上院としての対露制裁案が纏められるものと思われる。

(Text written by Kimihiko Adachi)

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