責任も日陰で休んでら
よく通る道でペンキの塗り替えやってて、ペンキ屋のオッちゃんがその上のオッサンにいびられていた。「こっちじゃね〜」とか「なんでだよ!」とか「持って来んなよ」とか、んなこた〜仕事の上である事だから通りすがりのもんが何か感じ得たとて勝手なわけで。
また通った時にオッサンが自販機で水を買って一本だけケツポケットに入れて戻って行って、その一本をオッちゃんにあげてくれたら俺は生き延びれると思って見ていたわけで、おっさんはす〜とおっちゃんの後ろから近づいてペンキ塗ってる壁のところ指差してなんか言ってた…。
ま〜どうせまたいびったんだと思う、そんでそのまま自分は日陰の場所のペンキ塗るところに戻っていった。
オッサンは太っててオッちゃんは真っ黒で顔色も悪くて痩せてる、ただの見た目の話さ。
寝ちまっただいごろうを抱っこしてそんな風景を立ち見して、趣味のわり〜奴なのはいうまでもないけど、あの2人のどちらも自分の父親だったらって思った。
いびったおっさんが親父だったら…いびられたおっちゃんが親父だったら…どちらにしても切なくなるこたあ間違いない。
責任なんてもんはその辺に転がってる、転げ落ちて何が責任だよってきっと笑ってる…ナイーブぶってるってこっちを見てバカにしてる。
真っ黒に焼けたオッチャンが階段のところに500ml缶の三ツ矢サイダー置いてた。
日陰でタバコ吸ってた。
責任は隣で横んなって寝てた。
いびったオッサンは日陰でペンキ塗ってた。背中が無駄に広かった。嫌いになりたかったけどそこまで感じ入ることもできなかった。その周りには責任は見当たらなくって自分の横を歩いてた。
だいごろうが俺とあの2人を重ねるだろ、捌いてくれよな、出てってもいいんだぜ、責任はちゃんと連れて行けよ、三ツ矢サイダーだけ買ってタバコでも吸え…。
だいごろうに何か飲ませないと…ひどい暑さだ。
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