ポテチ
Prime Videoに「ポテチ」あるじゃ〜んということで観ました。
「ポテチ」は伊坂幸太郎の小説を映画化した作品です。
僕は読書家ではありません。
そんな自分が学生時代、唯一夢中になった作家が伊坂幸太郎です。
いくつか映画化された作品を観てきましたが、「ポテチ」は群を抜いてお気に入りです。
もともとが短編小説ということもあり、映画の尺は68分。
気軽に楽しめるのも良いです。
原作の記憶ももはや曖昧ですが、セリフ等かなり忠実に映像化している印象があります。
実写で俳優さんが喋るなら、もっとナチュラルな言い方に直しそうなものも、たぶんそのままです。
それゆえに全体的にシュールな雰囲気が漂っていて、それはそれで良いです。
尺を見れば分かることですが、原作に無いシーンの追加はほとんどありません。
追加シーンも笑えたのでアリです。
キャスティングも良いです。
濱田岳の毒っ気の無さがお気に入りです。
大森南朋の存在感が凄いです。
というか「ポテチ」ってこんなに黒澤、出突っ張りな作品だったんだなと思いました。
ファンの間では黒澤、かなりの人気キャラだと勝手に想像してますが(そもそも登場作多いし。原作者も気に入ってるのかな)、あの抜け目の無い感じ、良いですね。
ただ、「ポテチ」が映像化されることによって、黒澤にだいぶ「人間らしさ」を感じました。
「人の気持ちが分からない」から一歩踏み出してる。
映画化されたことによって生まれた新しい魅力だと思います。
原作未読の人のリアクションがちょっと気になりました。
伊坂幸太郎作品をいくつか読んだ人なら、セリフやシーンのひとつひとつ、何気ないワードが伏線なのではないかということを考えると思います。
「ポテチ」は短編ということもあり、物語に織り込まれた仕掛けは割と分かりやすいです。
ただ、全体的なオフビート感やテンポの良さによって、そのへん上手く隠れているような気もします。
終盤は泣けます。
想像以上に泣きました。
よくよく考えると登場人物の大半がろくでもない人間ばかりですが、最後の方はもうそんなの関係なく涙が出ます。
野球場でのシーンは映像化の恩恵を最も受けていると思います。
主題歌は斉藤和義の「今夜、リンゴの木の下で」。
個人的にはpupaやくるりの「奇跡」でお馴染み、高田漣のペダルスティールが光りまくってる名曲です。