アドリブ演奏 最短5ステップ ②
ステップ1では「アドリブ は コード(和音)が大事」とお話ししました。(まだ見てない人は見てみてね)
ステップ2 テンション!!
「テンション上げてこー!!!」って意味じゃないんですが、そう思った人、好きです❤︎
ステップ1のコード説明表で、気になった人もいたのではないでしょうか。
ステップ2は、これについて説明します。
テンション・ノート
早くも結論を言ってしまうと、テンションこそ「アドリブってカッコイイ」「アドリブって不思議」って思わせてしまう『音の魔法』です。みんなも魔法使いになりましょう。
ノートは「音符」を表します。じゃあテンションって???
直訳は「緊張 ( Tension ) 」
この表の黄色で囲んだ音。つまりテンションとは四和音( 7thコード ) より上に重なる『第9音、第11音、第13音』の事。それらに♯や♭も付くので、ひとつのコードに対して『最大7つの音』しかありません。
ん???
フリーズした人、大丈夫です。私もかつてそうでした。コーヒーでも飲んで一度落ち着きましょう。
① テンションを知る
ステップ1で、もしかしたら気になっていた人もいたかもしれません。
「Cadd9って、Cにレの音がくっついてるだけ。レはドから数えたら2番目なのに、なんで9なの?」
私も小さい頃から音楽やってましたが、9とか聞いた事ありませんでした。7thまでは分かります。
何故なら、ひとつのスケールには「ドレミファソラシ」の7音しかなくて、曲は基本的に「そのkey(調)のスケールから音を選んでフレーズになっている」と思っていたからです。7つだけじゃいとしたら、半音も足して計12音。あれ、じゃあ13音って何???
フリーーーーーーーーーズ。。。
「アドリブ はコードが大事」
そう。この言葉を思い出しましょう!
アドリブ を考える時には、まずスケールでなくコードに着目します。
コードは「1,3,5,7,9,11,13」と、一音飛ばしで重なっていくものと覚えます。音名で言うと「ド,ミ,ソ,シ,レ,ファ,ラ」。この重なっていく順番の7音で考える事が重要なんです。
「ド,ミ,ソ,シ,レ,ファ,ラ」「1,3,5,7,9,11,13」
大事なので何度も出します。
上記で表した通り、テンション・ノートは「9,11,13」=「レ,ファ,ラ」 = テンション となります。
② テンションがかっこ良く聴こえる理由はタイミングと「変身魔法のスパイス」
「テンションの意識の仕方はわかったよ。でもレファラって、結局はスケール内の音じゃん。別に特別かっこ良くなんてなくない?」
ステップ1で「コードを鳴らした上で、そのコードのアルペジオを使ってフレーズ作り」という課題を出しました。
コードの音にそった音でフレーズを作るので、経過音を足してもハズレる事なくフレーズが出来たのではないでしょうか。
では、今回は経過させるのではなく、拍が強いタイミング(表拍) で このテンション・ノートを使ってみてください。
コードが鳴るタイミングで一緒にテンションを鳴らすと、どうでしょう。これまでの三和音の世界観にパァーッと光が差し込むのが感じられますか。
経過音ではなく、あえて主張出来るタイミングにテンションを用いて、コードとのハーモニーを楽しんでください。
では、更にそこへ魔法のスパイスを足しましょう。
ステップ1の表にある通り、テンションには♯と♭を足して計7音あります。この、♯と♭により変化 (Altered) したものを「オルタード・テンション」、そのままのものを「ナチュラル・テンション」と呼びます。
♩ナチュラル・テンション
9th, 11th, 13th (レ,ファ,ラ)
♩オルタード・テンション
♭9th, ♯9th, ♯11th, ♭13th
(♭レ, ♯レ, ♯ファ, ♭ラ)
※♭11thは= 3rd (ミ)、♯13thは=♭7th なので使いません。
三和音の音楽に耳が慣れ親しんでいる人にとっては、四和音やナチュラル・テンションだけでも充分新鮮な響きに聴こえます。
(私は「ブラジルのボサノヴァっぽい」って感想をよく聞きます)
ここに、さらなる魔法のスパイスとなるオルタード・テンションを足してみましょう。
コードと一緒に鳴らすと、、、、
いかがでしょう。独特な緊張感やパァッと豪華な響きになるのがたまりませんっ❤︎ まさにスパイシー!!
C7を土台に、まずはひとつずつ鳴らしてみましょう♪
もちろん、CM7やCm7でも同じ感じで、まずは鳴らしてみましょう♫
③ アヴォイドノートと ◯7 最強説
上記の表で音を鳴らして、気付いた人もいるでしょうか。
C7(11) この構成音を整理してみましょう。
「ド, ミ, ソ, ♭シ, ファ」
実は、3rd(ミ) と11th(ファ) が半音でぶつかっているんです。他のコードで試した時にも、きっと半音でぶつかってしまう音が何ヶ所か出てきましたよね?
テンション自体、元々コードに含まれない音 (非協和和音)なのですが、鳴らすと綺麗に響きます。
しかし、完全に不協和音になってしまう音もあるんです。それが、構成音が半音でぶつかっている時なんです。
C7に対しての11thのように、こうして半音でぶつかるから使いたく無い音を『アヴォイドノート』( Avoid =避ける )と言います。
ただ、C7にアヴォイドノートは11thのみ。
他のコードと違い、◯7というコードでは11th以外の全ての音が使えてしまう!
「カッコイイ❤︎」と思わせる仕掛けをたっくさん仕掛けられる、まさに◯7は最強ポイントなんです!!
**補足**
アヴォイドノートは、あくまで「避けた方がいーかもねー」って意味で、「使用厳禁」ではありません。アヴォイドを主張的に使用したり長くのばしたりすると不協和に聴こえるけれど、一瞬なら気にならないものが多いのも事実。「オススメは出来ないけど、使いたければどうぞご自由に」ってものです。
④ 適当はダメ
ステップ1でも話したように、アドリブは「コードの中で何の音を選ぶのかが大事」とお話ししました。
「どれ使ってもいいか」と、考えなしにテンションをやたらめったら並べるだけでは、フレーズはカッコ良くなりません。
いくつかのテンションを同時に鳴らす事は可能です。( ◯M7(9,♯11) 等) 更に華かさがupします!
でも、9thを2つ同時に鳴らしたり、同じテンションの半音で同時に使う、等はオススメ出来ません。
あえて「音をぶつける」という目的があるなら良いですが、そうでない場合は単純に濁って聴こえてしまいます。
ファッションやお料理と同じで、その音の使いどころを選ぶ、あなたの抜き差しのセンスが出るのがアドリブです。
とは言え「急にセンスって言われても〜」ってならずとも大丈夫!「セオリーはこんな感じ」ってものがあります。
♩ ◯M7コード
9th, ♯11th, 13th
♩ ◯m7 コード
9th, 11th, 13th
♩ ◯7 コード
♭9th, 9th, ♯9th, ♯11th, 13th, ♭13th
ざっくりこんな感じ。
これを参考に、フレーズを作ってみてください。
**補足**
「このコードではこの音は絶対使っちゃダメ!」なんてのは、個人的には無いと思ってます。
意図があって使っているもの、あえてその不協和音を美しいと思う人もいる (私もそう) ので、まず最初はセオリー通りに音を選択してフレーズを作り、慣れっこになってきたら好きに演奏してみて、その過程の中で自分のお気に入りを見つけていくのが面白いと思います。
⑤ テンションコードの表記と、テンションを加える時は主音に要注意
テンションノートを含んだコードネームは、ほぼ Jazzの楽譜でしかお目にかかる事はなさそうなので、ザックリ簡単に書きますね。
基本的に「四和音 (7thコード ) にくっつく」と覚えてください。
◯m7(9) 、◯7(♭13) 、◯M7(9,♯11)
7thコードを書いて( )にテンションノートを書くのが覚えやすいし、わかりやすいと思います。
人によっては、◯9や◯13と簡単に書く場合もあるので、構成音がパッと見でわかれば良いです。
この ◯13 という表記は、原則として「9thや11thも含まれる」という事になるのですが、この場合 11thは3rdの音と半音でぶつかる (アヴォイドノート) ので省きます。
(どうしても11thを使いたい場合は、♯11thに変える)
また、何度も出てきてますが「テンションを加える際は、スケールではなくコードで考える」
こちらをご覧ください。
上が C Major scale、下が C minor scaleにおける9thのテンションコードです。
C Majorコードの『Em9』に注目してください。スケール内には無い♯ファが用いられています。何故でしょう?
これは、主音の「ミ」を1とするE Major scaleの2番目( = 9th) の音は「ファ」ではなく「♯ファ」だからです。
同様に、C minorコードの『G9』も「♭ラ」ではなく「ラ」となります。
このように、テンションはスケールにない音が出てくるので「コードで考える」というのを忘れないでください。
**補足**
C minor scaleにおけるドミナント( Ⅴ7 )は 、Harmonic minor scaleを用いるのが一般的な為、ここではGm9でなくG9としています。
(ドミナント(Ⅴ7)の説明はステップ3のお楽しみ )
ステップ2 まとめ
今日はここまで。お疲れ様でした。
♩ テンション・ノートは、四和音 (7thコード) に重なる「9th, 11th, 13th」のナチュラル・テンションと、♯や♭で変身した「♭9th, ♯ 9th, ♯11th, ♭13th 」のオルタード・テンションの計7音。
♩ テンションは、どのコードにも加える事が出来るが、コードにより構成音の中で半音でぶつかる音( アヴォイド・ノート ) は避ける。
◯7コードは、11thさえ避ければ何でも出来ちゃう腕の見せどころ!
♩ テンションを含むコードネームの表記は、基本的に「7thコード + ( ) 」で記し、テンション・ノートの選択はそのコードの主音( Root )により判断する。(曲のkey (スケール内の音) だけに捉われない)
テンションは、丁寧に説明しようとすると長々つらつらと文字ばかりで埋まってしまうので、用途だけを簡単にまとめました。
難しいと言われるテンションですが、最初からゆっくりと、ひとつひとつのコードに対して丁寧に音を選んでいってあげると良いです。
その中から、自分のお気に入りの響きを見つけたらメモしてストックしていきましょう♪
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きみちゃん先生です。最後まで読んで頂き、どうもありがとうございました!!
自由な音楽人生を楽しむ仲間を、もっともっと増やしたいっ!
「アドリブしたいのに出来ない」「楽譜に書いてる事しか出来ない」「アドリブ は出来る人に任せておこう」と逃げてた学生時代。
自分の経験から「やって良かったな」という方法をご紹介して参ります。
音大卒業生はもちろん、在校生や講師の皆さん、楽器経験者さんや音楽好きさんにもフォローやリアクションを頂けると大変励みになります。
今後とも、どうぞよろしくお願いします♪
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