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君とテポドン

蝉時雨、夕立の乾いた匂い。海辺の町に、夏の風物詩である花火大会が迫っていた。高校生の私と親友のミナは、その熱気とは裏腹に、どこか憂鬱な気持ちを抱えていた。

夏休みは退屈で、将来への漠然とした不安が心を覆っていた。そんなある日、ミナは私の手を引っ張り、こう言った。「ねえ、あのテポドンを見に行かない?」

テポドンとは、町の沖合に浮かぶ小さな島にある廃墟となった灯台のことだった。その奇妙な形状から、地元ではそう呼ばれていた。私はミナの誘いに乗り、未知への好奇心と不安を抱きながら、テポドンへと向かう。

夕暮れ迫る海岸線。燃え盛る夕陽は海を茜色に染め、波の音が耳を打つ。テポドンは、その幻想的な光の中で、まるで異形の存在のように浮かんでいた。

朽ちかけた木橋を渡り、灯台に近づく。苔むした石壁、ひび割れた窓ガラス。廃墟特有の静寂が、私たちを包み込む。

扉を開けると、薄暗い室内に埃が舞い、かすかに潮の香りが漂ってくる。唯一の光源は、薄暗い灯台内部を照らす小さなランプだった。

その光に導かれるように、私たちは奥へと進む。そして、一人の老人の姿を目にする。

彼は、灯台の中で一人、絵筆を握りしめていた。白い髭を蓄えたその顔には、深い皺が刻まれていた。

私たちは驚きと好奇心で声を失った。老人は、私たちを温かい笑顔で迎え入れると、こう語り始めた。

「私はこの灯台の灯台守。毎晩、灯火を灯し、人々に希望を与えているのです。」

老人の言葉は、静かに、しかし力強く響いた。彼の人生経験から紡ぎ出される言葉は、私たちに深い感銘を与えた。

灯台には、老人が描いた絵画や、書きかけの物語が数多く置かれていた。それらは、彼の夢と希望を具現化したものであり、見る者に深い感動を与えた。

夜が更け、灯台から外に出ると、満天の星空が広がっていた。花火大会の音色が聞こえ、空が色とりどりに彩られる。

私たちは、老人の言葉と灯台に込められた想いを胸に、新たな一歩を踏み出すことを決意した。

テポドンとの出会いは、私たちに忘れられない夏の幻影となった。それは、夢と希望を追い求め、人生を切り開く勇気を与えてくれた。

しかし、数日後、私たちは衝撃的なニュースを知る。

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