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今年の京都に夏は来るか

 長刀鉾のちまき。本来なら、宵々山の日くらいから鉾町にて売り出されるもの。今年は例の感染症拡大を防ぐべく、「密」禁止。ということで、祇園祭は神社での神事を最小限で行うことに・・・鉾建ても、山鉾巡行も、宵山もなし。もちろん歩行者天国もなし。むー。

 私が祇園祭をゆっくりと楽しむようになったのは、大学の・・・学部を卒業して院生をやっていた時くらいだったかな。京都市内の大学に通っていたけど、どうも人混みが凄そうで避けていた。そもそも試験の直前期でそれどころじゃなかったというのもあったし。他大学に行って、京都市内で就職した中高時代の友人に誘われて行ったのが最初。確かに人は多いんだけど、平日のお昼間なら身動きできないほどではないし、最も注目される長刀鉾の周辺を離れてしまえばそこまでの混雑ではないってことがわかった。

 なんというか、笛や鉦のお囃子が聞こえる中で、市街地に点在する山や鉾をゆったりと見て歩くうちに、このお祭りを好きになった。翌年以降も、友人と予定が合わなくても一人で鉾を見て歩いてから大学の研究室に向かうくらいには、魅了されていた。

 さて。鉾を見て回っていると、しょっちゅう雷雨に見舞われる。突然曇り出し、ゴロゴロと聴こえてきて・・・ざーっ。梅雨の雨というよりも夕立といった感じで、これ巡行大丈夫なのかなー、なんて祇園祭グッズを売っている女性とかと立ち話をしたっけね。だけど、経験豊富なおじさま方が言うには、夕立が来るようになったということは梅雨の終わりが近づいている証拠。巡行の日にはカラッと晴れるよ、そしたら夏だと。だといいですね~ってみんなで言ってたんだけど、本当に巡行の日は晴れて。

 祇園祭が終われば、正確には山鉾巡行が終われば京都の夏がやってくる。・・・ん?今年はないんだった。風物詩のようなものがない年、へんな感じ。本当に夏になるのかな、とか考えてしまう。もちろん、人の生活がガラリと変わって、でも、季節は巡る。その時が来れば花は咲くし、暑くもなるし寒くもなる。あたふたしているのは人間だけかぁ。

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