母乳も枯れるほど
自宅に戻り、夕方主人が仕事から戻って来ました。
母が娘を抱っこして
主人に
「はい、お父ちゃんやで」と言って初めて娘を抱かせました。
すると主人はとても慌てた様子で
でも、一瞬とても照れくさそうな顔をして
「おそろしいよ、こんな小さい子、おそろしいよ」
と言って、一瞬抱っこしただけで母にすぐに渡してしまいました。
私は「なぜすぐ病院に来なかったの?」と聞きたかったのですが
なぜか言い出せませんでした。
おおよそ検討がついていましたし
聞いたところでまともに答えが返ってくるはずもないと思ったのです。
帰宅後すぐに箪笥の中の貯金通帳を出して見ました。
「出産費用に」と思い
給料の中から貯めていたお金がほぼ使われていました。
これが病院に来れなかった理由だったのだろうと思いました。
こんなことは新婚生活が始まってから一度や二度ではなかったのですが
まさか出産費用まで使われてしまうとは思ってもいませんでしたので
私はいよいよショックと不安で
退院した翌日から
入院中はあんなに張っていたお乳がピタッと出なくなってしまいました。
体と心がこんなにも繋がっていることを身を持って
知りたくもない形で実感したのです。