絶望と恥ずかしさとの中で
この向かって左側の白いカーデガンを着ている少女が
私の高校の同級生「美佐代さん」です。
美佐代さんのお家は
隣の村にあって
その当時も小作人(お手伝いの人)を何人も抱える大百姓さんのうちで
お爺さんは教育長をしているような立派なお家の娘さんでした。
ただ、美佐代さんが生まれてすぐにお父さんが亡くなって
お母さんは大阪に働きに行っていて
お爺さんとお婆さんとお兄さんと暮らしているとのことでした。
高校で同級生となり
仲良くなって、よく学校の帰りに私の家に寄って遊んでおりました。
その美佐代さんがどこで聞きつけたのか
この縁談の破談を知っていたのか、偶然なのか
「うちの兄の嫁さんになってくれへんやろか?」と言ってきたのです。
いくら絶望の淵にいたからと言っても
すぐには返事ができませんでした。
すると
なんの返事もしないうちに
美佐代さんのお母さんとその従姉妹のおばさんが
私の実家に「樽入れ」・・・
つまり結納を持って押しかけてきたのです。
私はその日も
仕事に出ておりました。
帰ってくると
父が真っ赤な顔をして怒りながら
「お前が自分で嫁に行くと返事をしたんか!!!」
と怒鳴ってきました。
なんのことかわからないまま家に上がると
立派な結納が客間に並んでいました。
私はびっくりして
「私はそんな返事はしていない!こんなん知らんわ!」と
言いました。
今の時代なら
こんなこと考えられませんよね。
この恐ろしいほどの流れは何だったんでしょうね。
つづく
キミちゃんより
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?