主人のことについて②
父親としての役割や
一家の大黒柱としての役割は
全く期待できなかった夫でしたが
長女の子供が生まれた時から
別人のように孫の面倒を見始めたのです。
主人はよく
「女の子はすぐビービー泣いてあかん」と言っていました。
実際長女はよく泣く子でしたので、そう思ったのでしょうか。
しかし孫は男の子だったこともあってか
そんなことは全く言わず
泣けばすぐ抱っこしあやしていました。
「男の子はええなあ。男の子はかっこいい」と嬉しそうに言っては
自らすすんでおんぶ紐で孫を背負い
何時間でもあちこち散歩に出掛けていました。
少し大きくなると庭でサッカーをしたりボール投げをしたり
動物園に連れて行ったり、映画に連れて行ったり・・・
それはそれは、自分の子供にやったことのないことを全てやっていました。
さらに
私がいない時は、自分で孫にご飯も作って食べさせてくれていました。
今でも孫は
「おじいちゃんの大根と人参の煮物が一番美味しかった」
と話すほどです。
主人は78歳で亡くなりましたが
亡くなったお葬式の前日
高校生と中学生の男の子の孫が二人
180センチもあるような大きな男の子が二人並んで
棺の前で近所じゅうに響き渡るような大声で大泣きしたのには驚かされました。
主人の愛情はしっかり孫たちに伝わっていたようでした。
そんな孫への姿も見せてくれた主人でしたが
私にとっては、とにかく何一つ希望を叶えてもらえない夫でした。
私が口やかましく文句を言うと
「やいやい言うな。明日は明日の風が吹くわい」
といつも言ってスーッとどこかへ行ってしまいました。
お金がなくて困り果てている時も
「無いものは無いで、しゃあない(仕方ない)」
と一言いったら終わりでした。
いつも明日どころか、明後日、明々後日の方を向いて
ひょうひょうと暮らし
私を全く相手にしていないように見えました。
でも、不思議と亡くなってみると
いろんな良い面も思い出されて
今では毎日、主人の写真に向かって話しかけている私です。