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教育心理学メモ 3 - 情動

 人間関係における争いは多くの場合、感情のコントロールができないことで発生、または深刻化します。
 反対に、何か問題が発生しても、感情を上手くコントロールして冷静に対処できると、問題が解決する上に人間関係の改善も望めます。

 今回から次回にかけて、人間が感情のコントロールをどのように身につけるのかについてお話しします。


情動の3つの機能

 まず、心理学では感情とは継続的なもので、明確な対象のない「気分」も含まれるので、比較的急激で一時的に発生する感情を情動と呼んでいます。

 情動には、大きく分けて3つの機能があります。

1.身体的状態を変化させて、状況に対処しやすくする機能

 これによって危機的な状況での生存確率が高まります。
 例えば、恐怖を感じると瞳孔が拡大やアドレナリンの放出、集中力の向上、鼓動の加速、筋肉への血液の集中などの身体的変化が見られ、適切な判断による瞬時の行動ができるようになります。

2.コミュニケーションの道具

 情動は身体的変化や表情として表れることで、他者に状況を伝える機能を持ちます。
 他者に状況が伝わることで、その人が自分を助けてくれる可能性と、その人自身が身を守ることができる可能性が高まります。

3.学習を促す

 情動と状況がセットになった情報は、状況のみの情報よりも記憶されやすくなります。
 危険だった行動、嬉しいことがあった場所、罪悪感を感じた状況などを記憶することで、繰り返しを防いだり、良いことを繰り返したりできるようにするためです。



情動の発達

 生まれたばかりの赤ちゃんでも、満足、興味、苦痛の3つの情動に応じた表情を示すことが分かっています。
 そして生後6か月程度までに、喜び、驚き、悲しみ、嫌悪、怒り、恐れという6つの情動を獲得します。これら6つは一次的情動と呼ばれています。
 さらに1歳半を過ぎる頃には自己意識を獲得し、それに関わる照れ、羨望、共感といった情動の表出が見られます。
 自己評価の基準や規則を獲得する2~3歳頃には、誇りや恥、罪悪感などの情動(二次的情動)も獲得され、以降さらに多様な情動が備わっていきます。

 ただし、こどもは成長に伴って、実際の情動と異なる表出をするようにもなります。
 情動の調節ができるようになるのです。




情動調節の発達

 情動の発達に伴って、情動の調整・コントロールも発達していきます。
 強い情動を表出し続けるのは、身体的にも社会的にもよくないからです。

 ただ、情動を調節するのは本人だけではありません。
 特に幼い頃は、養育者がなだめたり環境変えたりして感情のコントロールに介在します。
 環境が情動調節に影響することもあります。
 例えば、お葬式など静かにしておくべきシチュエーションです。(参考にしている本では、「電車の中」が例として挙げられていましたが、こどもが電車の中で泣いていたら、優しく見守ってあげましょう。)

 情動調節を繰り返すと、幾つものパターンができていきます。
 赤ちゃんの情動が表出すると、養育者が状況を確認して、対処するとうステップが何度も繰り返され、そこにパターンが生まれ記憶されていくのです。
 その中で赤ちゃんは、自分の情動の表出がどのような意味を持つのか、どのような結果に繋がるのかを学んでいきます。
 そして、自分の指を吸ったり、意図的に他者に働きかけたりと、自律的に情動調節をするようになります。

 このように、自律的に情動調節ができるようになるのは、自分の情動を養育者の助けで調節するというパターンを次第に記憶していくからだそうです。

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