繰り上がりのある一桁の足し算を身に着けさせたい
繰り上がりのある一桁の足し算をさせるときに、さくらんぼ計算というものがあります。ネットで「さくらんぼ計算」と検索するとたくさん出てきます。ただし、親として何も考えずに子どもに「さくらんぼ計算」をさせればよいというものではありません。
では、ざっくり「さくらんぼ計算」がどいうものかを説明します。
8+6を計算するとき、6の下に2と4をぶら下げるように書きます。このぶら下げた2が、8と合わさり10となります。10を作るために、6をさくらんぼにして、分割する考え方がさくらんぼ計算です。
では、6+7は、どうなんでしょうか。この場合、7を分割するのがよいのでしょうか。6を分割するのがよいのでしょうか。どちらもよいと思いますが、6を5と1、7を5と2に分割するのもよいのではないでしょうか。つまり、5と5で10を作り、残った数で足し算をする考え方です。名付けてダブルさくらんぼ計算です。
足し算は子どもの実態に合わせて、行う必要があります。
まず、7+3、8+2など、10をつくることが苦手な子には、10づくりに取り組ませたり、先ほどのダブルさくらんぼ計算をしたりするのがおすすめです。大人にとっては10を基本とした考え方が分かりやすいかもしれませんが、意外に子どもは5を基本とした方が扱いやすく感じるものです。引き算の場合も同様です。ダブルさくらんぼ計算に自信をもち、かつ10づくりの成果が上がって来たときに、「さくらんぼを1つにしても計算できるかな」と声をかけ、さくらんぼを1つにしていきます。なお、ダブルさくらんぼ計算でも難しい場合は、さくらんぼを横に並べずに縦に並べるのもおすすめです。5が並ぶことにより視覚的にとらえやすくなります。上段に10をつくり、下段に3をつくることになります。
次に、こだわりが強い子など、とにかく型にハマったやり方の方がよい子には、さくらんぼは後ろと固定した方がよいです。
そして、後ろ固定に慣れてきた場合やいくつかのパターンにすぐ慣れる子には、自分で好きな方にさくらんぼをつくらせるとよいです。自由度があったほうが楽しく学べます。また、「どうして前にさくらんぼをつくったのかな」と問い掛けることも大切です。
最後に、さくらんぼ計算に慣れ、自信がついたときには、さくらんぼ計算の考え方をいかしながらも、さくらんぼを鉛筆で書かずに計算させることも大切です。
さくらんぼ計算には、次のようなよさもあります。
例えば、800+600では、100円玉8枚と6枚の足し算として考えると、さくらんぼ計算ができます。大きな数字に移行しやすいです。
また、800m+600mでは、600mを200mと400mに分けることで、1000mと400mにたどり着きます。すると、「1kmと400mだから1km400mだ」となります。1400mを1km400mに変換することは、数字に慣れていない子どもにとって、難易度が上がります。さくらんぼ計算の考え方を上手に利用すると、子どもが考えやすくなります。