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子どもに風速などの速さの感覚を身に付けさせるには

春一番シーズン、台風シーズン、木枯らしシーズンになると意識したいのが風速です。しかし、子どもに「10mの風だよ」と言っても、それが強いのか弱いのか、風速をイメージさせることは難しいです。風速などの速さをどう伝えていくとよいのかを考えます。

風速は単なる数字

春一番や木枯らし1号の基準になる風速は風力階級5以上、つまり8m/秒以上です。台風は風力階級8以上、つまり17.2m/秒以上です。

子どもにとって、風速8mも17mも、ただの数字でしかありません。それは、速さで表現される数字が抽象的でイメージできないからです。

よくあるのが、風速を時速に変換して伝える方法がありますが、算数や数学が得意な子なら別ですが、変換の計算を理解できない子、理解できても暗算できない子はとても多いです。また、親の車に乗る子ならば、時速の感覚がありますが、車を持たない家庭が増えている中、時速では十分に速さのイメージができない子も多くなってきています。

数字そのものは抽象的でイメージしにくいものです。そこで、具体化する必要があります。

具体物でイメージして速さの数字に慣れさせる

そこで、おすすめなのが、具体物を使うことです。例えば、園児に1、2、3と数字だけを教えてもそれは、数字の読み方を覚えただけで、数的な概念をもつことにつながりません。指折りしながら数字を数えたり、階段を1段、2段・・・と数えることで、数的な概念を伴い数字を捉えられるようになります。

では、速さをどう捉えさせたらよいのでしょうか。常に風速計を持ち運んだり、自転車に速度計をつけたりして、数値を見ることができるようにすれば、速さの感覚は身につくでしょう。しかし、それは現実的ではありません。

そこで、乗り物のサイズを生かして伝えます。

例えば、大型バスの全長はおよそ10mなので、
風速10m/秒は、1秒間に大型バスが1台通過
風速20m/秒は、1秒間に大型バスが2台通過
風速30m/秒は、1秒間に大型バスが3台通過

あるいは、園児用の自転車の全長はおよそ1mなので、
風速1m/秒は、1秒間に自転車が1台通過
風速5m/秒は、1秒間に自転車が5台通過
風速10m/秒は、1秒間に自転車が10台通過

風速8mは、園児用の自転車を8台並べたときに、8台先にある葉っぱが、1秒で自分の場所にやってくることになります。

風速17.2mは、大雑把に20mと考えると、大型バス2台分となり、大型バス2台先にある看板が、1秒で自分のところに飛んでくることになります。立っていることも困難な風です。

1秒間など時間を固定して、乗り物などの具体物を使い長さを捉えさせます。そうすることで、経験したことのない速さもイメージしやすくなります。慣れてくると、数字を聞いただけで、その速さをイメージできるようになります。

日頃から速さを意識した会話をすることも大切

もう一つ大切なことは、つかんだ速さの感覚を使うことです。生活の中で使わないとせっかく掴みかけたイメージも消えていってしまいます。「子どもに単位の感覚を」でも書きましたが、意識して大人が使うことも大切です。これくらいの速さがこれくらいの数値になるんだと、速さのイメージを数値に置き換えることも、速さの感覚を身に付けることにつながります。


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