"PROJECT IM@S 2nd VISION"を振り返る④ アニメ「アイドルマスター」

今回は2011年放送のアニメ「アイドルマスター」、通称アニマスを振り返ってみる。アイマス2の状況から一転、アニマスは多くの人に支持され、10年以上経ってもなお語られる作品となった。

「3度目の正直」?

「9・18事件」で発表された内容は、全てが悪いものではなかった。新春ライブ「THE IDOLM@STER 2 765pro H@PPINESS NEW YE@R P@RTY !! 2011」の発表は、冷え切った会場からも拍手と歓声が湧いた。
そのライブで発表されたのが、3度目のアニメ化である。

初報PVでも「3度目の正直」という意味深なフレーズが登場するが、1度目は本シリーズでも触れた「XENOGLOSSIA」、2度目は2008年発売のLive For You!に同梱されたアニメである。
「XENOGLOSSIA」はまず声優が違うこと、「Live For You!」のアニメはキャストこそ同じだが、あくまでもOVAのため、オリジナルキャストでのTVアニメ化はやはり悲願であっただろう。
ちなみに、「Live For You!」同梱のアニメはニコニコで無料で視聴できる(ちゃんと公式で配信しているものです)。

「プロデューサー」の存在

アニマスの評価は語るまでもないが、1つ取り上げるならば「プロデューサー」の設定の妙だろうか。
これまでコミカライズ版ではプロデューサーのビジュアルが映っていたり、ドラマCDでは"泰P"はじめボイス付きだったりはしたが、基本的にプロデューサーはプレイヤーの投影であり、ビジュアルやCVは公式には存在しない。
1話ではカメラマン役として字幕となっていただけに、当時の私も「プロデューサーの一人称視点で物語が進む…?」なんて思っていたが、最終盤でそれがひっくり返った形となった。

プロデューサー像

シンデレラガールズ、SideM、(原作こそあれど)U149にミリオンライブ!と後続のアニメには必ずプロデューサーが登場する。アニメによって見た目も個性も違うプロデューサーだが、アニマスでは新卒で765プロに入社した新米プロデューサーという設定である。
1クール目では慣れない仕事に奔走する姿から、終盤になるにつれアイドル達から信頼されるまで…アイドルのみならず、プロデューサー自身の成長物語でもあると言えよう。

サイドストーリー

アニメ本編の公開に合わせ、アイドル同士のより深い会話を楽しめるサイドストーリー「No Make!」がなんと毎週3つのエピソードが公開されていた。
CS作品ではプロデューサー対アイドル、1対1のコミュニケーションが多かっただけに、アイドル同士の絡みというのは意外と貴重だったりした。

リアルタイムでの配信に留まらず、2015年の再放送でも「No Make+!」という形で新作ボイスドラマが公開された。ここでは毎話プロデューサーが登場するが、#1では入社前のプロデューサーについて描かれている。必見!と言いたいところだが、公式では(多分)現在どこにも配信されていない。なんで?

アニマスのその後

アニメ放送終了後の主な動きとしては、「まなマス」と呼ばれるコミカライズをはじめとして、2012年6月の7thライブ開催、同10月の「シャイニーフェスタ」同梱新作アニメ、そして2014年1月の劇場版公開などがある。
やはり大きなトピックとしては劇場版、通称「ムビマス」の公開である。アニマスの先を描いたこの作品は、ミリオンライブ!から7名のダンサーもメインで描いた作品となった。

コミカライズ展開

アニマス展開の影の功労者といえば、「まなマス」だろう。実はまなマス完結後の「朝焼けは黄金色」もアニマスのコミカライズであり、2022年3月の最終巻発売をもってアニマスの関連展開が完結したことになる。
アニマスそのままと言っても良い作画は親しみやすく、各話でアイドル個々人にフィーチャーした構成は、13名のアイドル達をもっと好きになる素晴らしいコミカライズだった。
個人的には5巻の「大人の真美」、「子供の亜美」を対比させた話が秀逸。
まなマスだけでも美奈子ばりの大盛りフルコースな訳だが、それに「朝焼けは黄金色」まで続くとなると最早情報の暴力。 これで終わらせるには勿体ないほどの名作である。

劇場版の動き

7thライブから半年余り経った後のライブ「MUSIC FESTIV@L OF WINTER!!」にて、劇場版の制作が発表された。この作品ではミリオンライブ!のアイドルがバックダンサーとして抜擢され、新たに先輩・後輩という関係が生まれた。グリマスでは先輩・後輩という区分けは無いので、明確に上下関係を描いたのはムビマスが初と思われる。
ストーリーは春香・可奈を軸に進められているが、"ダメダメ"だった雪歩の頼もしい姿や、伊織の志保に対する発言など、所々にアイドル達の成長が垣間見える。もぐもぐしている響はそのままでいてほしいが。
プロデューサー自身もハリウッド研修へ向けた準備を…というのはアイマス2を想起させるストーリーでもある。まさにアニマス時空の765プロはトゥルーエンドである。

劇場版の"続き"

アニメにおける765プロの物語は完結したが、エンドロールで映る渋谷凛に、後に再び描かれるJupiterの姿と、アニメにおけるアイマスの世界は続いている。何より劇場版で使用した合宿所は、シンデレラでもSideMでも登場するのだ。

来るミリオンライブ!のアニメや、あるかもしれないシャニマスのアニメでもこの"続き"が描かれるのか、期待したい。

おわりに

今回はアイドルマスターのアニメについて触れてきた。9・18事件の衝撃から一転、復活、躍進のきっかけとなったアニマスの功績は非常に大きい。
ストーリーはもちろんのこと、「READY!!」や「自分REST@RT」など、今なお色褪せない名曲も多い。件の影響でお騒がせしている曲もあるが、今後も歌い継いでもらいたいものだ。

次回はシンデレラガールズについて触れていきたい。

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