医療支援活動への参加
医療支援活動への参加にあたっては、まず医療機関や事業所に勤務している場合には各自勤務先の規定に従うことが第一である。特に発災急性期には、余震や二次災害の可能性もある。そのため、医療支援活動への参加にあたっては、勤務先や家族の理解を得た上での参加が望ましい。
1)支援活動参加の心構え
(1)食事・宿泊
基本的に支援活動には食事や宿泊場所は用意されない。事前に準備をして参加する必要がある。病院やチームからの派遣でない限り、食費・交通費・宿泊費も自己負担である。特に発災直後は物資を調達することは難しい。参加予定日程相当の飲料・食糧等は事前に準備してから参加する。
(2)交通手段
交通手段は事前に道路状況、交通情報を確認した上で参加する。また、交通手段は自分で確保することが一般的である。その際の交通費は自己負担がほとんどである。
(3)危険予測
余震情報、天気予報などを考慮して、危険があることは十分に理解したうえで参加すべきである。
(4)ボランティア保険
団体に所属して活動に参加している場合には、団体が介入していることが多い。しかし、個人で参加する場合には、注意が必要である。
参加にあたっては、支援先に迷惑をかけず、自己完結に努めることが大前提である。
↓写真
寝袋は各自持参。災害支援チームの事務所。ここで寝泊りしていました。
2)支援団体
言語聴覚士が支援活動への参加を検討した場合、いくつかの方法がある。まずは先の項目で紹介しているDMATやJRATについて触れる。
DMATは、大前提として災害拠点病院に勤務しなければならない。その上で、定められた研修制度に基づき、既定の研修を修了した後にDMAT隊員となる。
JRATは、現状では各県の体制によって異なる。病院単位で派遣される場合や所属が違うも者同士でマッチングが組まれることもある。宮崎の例を挙げる。宮崎JRATでは、歯科医師会・歯科衛生士・JRATに所属する言語聴覚士により口腔機能支援チームで活動した報告もある。参加を希望する場合には、各県のJRATの状況を把握する必要がある。
3)ボランティア団体
(1)全国訪問ボランティアナースの会 キャンナス
全国訪問ボランティアナースの会という名称だが、言語聴覚士にも登録は可能である。全国に各地にあるため、各自近いキャンナス事務所に問い合わせを行い事前に登録を行う1)。医療支援参加にあたっては、各事務所の代表と相談のもとで行う。
(2)予備自衛官補
予備自衛官補の普段は社会人や学生としてそれぞれの職業に従事しながら、一方では自衛官として必要とされる練度を維持するために訓練に応じるものである。試験に合格後、教育訓練を受講して予備自衛官としての資質を養うとともに、予備自衛官として必要な基礎的知識及び技能を修得するために実施する。防衛招集、国民保護等招集および災害招集がある2)。募集要項には、技能公募という医師・薬剤師・看護師・理学療法士等の専門職が応募できるものがあるが、今のところ言語聴覚士は対象ではなく一般公募での参加となる。
これらの災害支援への参加にあたっては、災害支援の経験がなくとも、これまでの臨床経験やボランティア経験等があることで活躍できると言える。これまでのキャリアを生かす場になるのではないだろうか。
また、臨床経験が浅い若手においても、これまでに活動してきた言語聴覚士の報告を知り、どのような問題が生じやすいのかを理解して被災地に入ることで現地での適応が早く行えるのではないかと考える。
第4章 参考資料
1)全国訪問ボランティアナースの会 https://nurse.jp/ 2017年6月19日参照
2)陸上自衛隊 http://www.mod.go.jp/gsdf/index.html 2017年7月2日参照
3)関西学院大学災害復興制度研究所 災害ボランティアハンドブック 関西学院大学出版会 2016
↓写真
被災者のためにピザのキッチンカーが来ていました。当たり前ですが、ボランティアは絶対に並べません。正直なところ・・ピザーラ・・食べたかったです。笑
いただいたサポートは、社会の役に立てるような活動をするために役立たせていただきます。目標は高齢者の憩いの場作り。