見出し画像

被災高齢者に起こりうるリスクと言語聴覚士の活動 〜生活不活発病〜

4)生活不活発病

 避難所では、活動制限が起きやすい。床生活による立ち上がりの困難さ、トイレが十分に使えない、トイレの場所が遠い、自宅と違い仕事がない、やることがない、他にも周囲の人への遠慮から静かに過ごすといった理由により、これまで行っていたADL動作が行いづらくなることが少なくない。

 避難所生活が長引けば、それが原因となり被災前に介護サービスが必要なかった高齢者が生活不活発病を発症して要介護・要支援状態となるリスクがある。さらに低栄養や被災によるストレス、不安がフレイルの発症や進行を誘発する可能性がある。中央防災会議「地方都市における地震防災のあり方に関する専門調査会」は発災直後から行政と医療、保健、福祉の専門家や団体が連携して、早期に防止策を講ずる必要があると報告している。福祉避難所の高齢者に話を聞くと、ほとんどの高齢者で被災前と比較して活動量の低下を認めた。そこのため体操の実施や生活不活発病の説明をして、早期介入を図る必要がある。
 また、理学療法士や作業療法士と連携して活動制限がある方への対応や避難所で体操などを取り入れることも効果的である。


いただいたサポートは、社会の役に立てるような活動をするために役立たせていただきます。目標は高齢者の憩いの場作り。