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好きな物☆ポケット

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この人の文章は、かっこよくってズルイ☆裏山 C! なんじゃコレ、素敵じゃないか! そんな風に おもったものを。お気に入りをぽんぽんいれていく「おもちゃ箱のような 宝箱☆」をかねて…
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#眠れない夜に

君は舟であり、盾であり、風だった

影のように寄り添う君は いつもそばにいるのに、 僕は顔を上げるたびに目をそらしてしまう。 見えないふりをして、 繕う笑顔を武器にして、 「邪魔だ」と君を見ようともしなかった。 それでも君はずっとそばにいて、 ひっそりとそこにいて、 僕が進むたびに足跡を埋めてくれた。 悲しみの波が押し寄せた夜、 君は小さな舟になり、 僕を静かな岸へ運んでくれた。 怒りに身を焦がした昼、 君は盾となり、 僕を守ってくれた。 孤独に泣いた朝、 君は静かに寄り添い、 涙を拭く風となった。

時が意味をなくしても

もし、僕が不死身になったら それは「時間が意味をなくすとき」だろう。 陽は昇り、沈む。 風は頬を撫で、花を散らす。 世界の針は進んでも 僕の針は止まり、無限の時間を ただ手のひらに余らせる。 愛する人の涙も、 震える声で誓う言葉も、 「さよなら」の儚い響きさえも、 僕にとって、通り雨のように 過ぎ去ってしまうのだろうか。 君が微笑むたびに胸を打つその感覚も、 君の瞳に映る世界の輝きも、 いずれ薄れていくのだろうか。 僕は怖い。 終わりなき時間の中で、 すべてを失い続け

詩 「その人」

その人を その人たらしめる その人らしきものは その人が どんなことを しているか よりも その人が どのように それをするか に宿る その人が どこにいて なにをして どんな外見で どんな家に住んで どんな人生だったかを いくら聞かされたとしても その人を みつけることはできない その人が どのように それを感じ どのような 考えを歩いたか その答えは その人だけが 知っていて その答えの 外側だけが その人をみつける 手がかりになる その人は そのようにし

詩 「毛玉とり」

毛玉とりを 手に入れたその日から 私の毛玉に対する価値観は 日に日に変わっていった 冬物の衣服なんかから いつまにか誕生する毛玉は なかなか厄介なものであった ガムテープや 通称「コロコロ」では 簡単には取ることができず かといって手でむしり取るのも キリがなく、時間もかかるし キレイに取れないものである ひとつ言っておくが 毛玉ができたからといって 生活に支障があるわけではないし 毛玉に有害な成分が含まれている なんてこともなかろう ただ、毛玉だらけの服で 人と会っ

詩 「命を舐めるな」

国家よ大人よ人間よ 命の誕生は 国家のためなんかではなく 親の人生設計のためでもなく 生まれてくる子のためでもない 命は何かのためにあるものではない どんな理屈や意味をも超えた 独立した肉体と心の出現なのだ それがどれほど孤独で重いものか 生まれたことがあるならわかるよな 勘違いするなよ大人 命に責任を取れる者などいない 命はどうしようもないほど どうすることもできないのだ だからせめて無条件の愛を持て すでに生まれた命を 全人類は全力で肯定しろ それが肯定できなか

詩 「私の偏見集」

1. 私は三人兄弟の真ん中で 上に姉、下に弟がいます。 そして血液型がB型です。 この兄弟構成と血液型が 私とまったく同じ人は もれなく素晴らしい人間です。 私の人生経験上、彼らは皆、 私にとって「いい奴」だったので このような偏見が出来上がり 見ず知らずのいい奴らにも いつも心でオイッスしています。 2. コーヒーとかお茶を飲んだあとの はあぁぁ、の溜め息音がデカい奴は 人を見下す癖がありそう。 3. うれしそうな顔して 夢中でお菓子ポリポリ食べてる人は たぶん悪い人じ

詩 「note」

今日もぼくは noteの重い扉を開け いつものように ここに来た noteというのは この図書館の名前で 今きみがいるところ さあ ここへどうぞ ぼくの隣の席でいいかな ぼくの今日のノートは noteについて書くつもり 「note」 noteには 何万 何百万もの 椅子とテーブルと本棚があり 人々は毎日ここにやって来ては 作業をしたりノートを読んだりする ここにいる人たちの大半は ノートの作者であり読者でもあるのだ ノートを読んでいて 気に入った作者や作品には

詩 「死にたい国」

ようこそ 死にたい国へ ここは究極の安全地帯 人間にはひとつくらい そういう場所が必要です だからわたしはここに 死にたい国をつくることにした 死にたい人が 死にたいまま 生きられるように この国の門は開かれている 幸福の国では わたしに居場所はなく わたしの死にたいこころは 修正されるべきものとして扱われ 楽に息をすることすらできなかった 死にたい国では いまここにある わたしがすでに持っているこころを 愛することからはじめたいのです 人のこころにルールはない

童話 「眠れない夜に」

眠れない夜に おじいさんは 絵本を開きました おじいさんは 眠れない夜があると きまってこの絵本を開くのでした むかしむかし おじいさんがまだ ほんの子どもだったころ おかあさんが読んで聞かせてくれた本 ぼろぼろの本は 今ではバラバラになって もう本とはよべないかもしれないけれど おじいさんはページをそっとめくります めくる手はしわくちゃで 震えを止めることができません その夜 おじいさんは この絵本の23ページの世界で 永遠に暮らすことができたら どんなに素敵だろう

詩 「うんこ名言風」

1. うんこをしたくて うんこをするのではありません うんこをせずにはいられないから うんこをするのです それが私にとっての うんこというものですね ええ、はい。 2. 人生の困難に直面し 一歩も動けなくなったとき その高い壁を越えるためには 何はともあれ、まずは うんこをすることです 身軽になることはもちろん 何よりスッキリしますからね 3. 美しい女性にむかって 「あなたような人でも  うんこをするのでしょうか?」 と質問したら 「いいえ。私のお尻からは  お花が出て

詩 「SEIYU」

2024年6月某日 近所のSEIYUにて 商品をカゴいっぱいに入れ 私はレジカウンターへと進んだ もちろんマイバスケット持参である これはエコのためにそうするのではなく 会計後に自分の袋詰めセンスが問われる 例のあの難儀な袋詰めが面倒だから 私はマイバスケット派なのである 怠惰の結果がエコになり 怠け者が地球を救えてしまうから 地球人はやめられない それはそうと マイバスケット派には 各スーパーにお気に入りの店員がいる なぜなら 会計係のその人が 店のカゴからマイ

詩 「人と人」

人は人に みせていいものしか みせることができない 人は人を みたいようにしか みることができない 人が人を みるときのようには 人は自分を みることができない 人と人は みせあうたびに みまちがい すれちがう 人と人が ほんとうに みせあったのは みえないものを そっとしておく みえない やさしさ