出揃ったahamo対抗料金
この記事は『「ahamoショック」ふたたび』の続きです
2024年10月25日にソフトバンクがようやく追従し、楽天を除くMNO各社の料金が出揃いました。
LINEMOのahamo対抗措置
ソフトバンクでは3ブランドのうち、オンライン専用の「LINEMO」がahamo対抗を担っています。
しかし「LINEMO」では2024年7月30日に新料金プラン「ベストプランV」を始めたばかり。当時のahamoの料金を強く意識した値付けになっていて、20GBで2,970円、通話5分定額込みという料金プランでした。そしてデータ使用量が20GBを越えると勝手に3,960円に値上がりして、30GBまで使えるようになっています。
この30GBまでの範囲では概ね、ahamo(+大盛りオプション)と同等または安価という建てつけでしたが、2024年10月のahamo増量がここに直撃、「ベスト」とは名ばかりの割高プランになってしまいました。
そこでソフトバンクでは間に合わせの対抗措置として、キャンペーンで「ベストプランV」の段階制料金を停止し、30GBまで2,970円で使えるようにしました。
そして2024年10月25日に追加対応があって、同キャンペーンの期間限定を廃し、次のプラン改定までずっとキャンペーンを適用することになりました。
これで、30GBまで2,970円で通話5分定額付きというahamoと同条件に落ち着きました。
ただし、ahamoは山間地などでも使いやすい全国のドコモのエリアで使え、基本データ容量を海外旅行時にも使えるメリットがあります。
一方、LINEMOには都市部で快適なソフトバンク回線を使え、着信転送や留守電を使え(ただし留守電パック220円/月の追加料金がかかる)、SIMカード交換手数料が無料のメリットがあります。
こうした違いはあるものの、間に合わせの対抗キャンペーンでahamoにようやく追いついた格好です。
ワイモバイルはUQモバイルに対抗
もうひとつ、姉妹ブランドの「Y!mobile」でも対抗措置が講じられました。
2024年11月より、「シンプル2 M/L」に限り「データ増量オプション」の料金据置(+550円)でデータ量が+5GB→+10GBに拡大されています。これにより、月間20GBの「シンプル2 M」に「増量オプション」を付けることで月々30GBまで使えるようになり、光セットなどの割引をフル適用した場合に限り月々2,915円になって、増量後のahamoに追いつきます。
ただしY!mobileの場合は光セットとPayPayカード割が外れると月額4,565円に跳ね上がり、しかも通話定額は別料金。ahamoには対抗できていませんが、ソフトバンクの中でahamo対抗の役割はオンライン専用のLINEMOが担っているので、Y!mobileはどちらかと言うとUQモバイルに対抗する意味合いが強そうです。
このほか、Y!mobileは新規契約で半年くらい安くなるキャンペーンがあり、店頭などでは短期間のキャンペーン適用中の料金が訴求されている場合がありますが、宣伝を真に受けて契約すると半年ほど後には値上がりすることになりかねないので注意しましょう。
MNOの中ではUQ・povoにお得感
このように、LINEMOとY!mobileがキャンペーンやオプションでギリギリ追いついたのに対し、UQモバイルは少し色を付けています。
UQモバイルでahamo対抗を担うのは「コミコミプラン+」ですが、月間30GBで3,278円、通話10分定額と着信転送・留守電が使えるメリットがあります。
でも、通話を使わない人には月額2,970円のahamoの方が割安。そこでUQでは終了日未定のキャンペーンで「データ10%増量特典」を提供。計33GBになって、データ単価は99.3円/GB。ahamoのデータ単価(99円/GB)と並びます。
さらにUQは10分まで無料通話できて、着信転送・留守電も使えるので安心ですね。
そして、UQモバイルは余らせたデータ容量を翌月まで繰り越して使えるのもメリットになります。ネットメディア等ではこのメリットを無視した記事が散見されますが、月額料金プランでは月間データ容量をフルに使えることはあまりなく、余らせている人が多いのが実態です。
その点、購入したデータ量を無理なく使い切れる povo 2.0 はお得ですし、翌月まで繰り越して使えるUQモバイル「コミコミプラン+」もahamoよりはお得になります。
そして、光セットと自社クレカ(PayPayカード)でガチガチに縛られることを前提とした料金設計のY!mobileに対し、LINEMO、povo、UQモバイル「コミコミプラン+」とahamoは縛り一切無し。
ただし、ahamoはdカード払いにすると月々1GB増量される特典が提供されています(dカードGOLDにすると5GB増量されますが、11,000円ものカード年会費が別途発生します)。
未対抗の楽天モバイル
MNOの中で唯一、楽天モバイルは対抗できていません。対抗不要と考えているのか、様子を見ているのか、対抗できずにいるのかは知りませんが:)。
楽天モバイルは月額3,278円で使い放題という特長がある半面、依然としてエリアに難があります。楽天回線の基地局は増強されてはいるものの、ユーザーとデータ通信量も増えているため、エリアの難が深まっています。
楽天回線は都市部では比較的良好と言われますが、使い放題をアテにして加入しているユーザーが多いことから、最寄りの基地局が超ヘビーユーザーに占拠されていることも多く、そうなると目も当てられません。楽天のエリアはスカスカで都市部にも電波の弱い場所が多いですが、電波状況の良い場所にいる人が優先的に使うことになるので、電波の弱い場所にいる人に混雑のしわ寄せが向かうことになります。
筆者の生活圏でもSB・au回線が5Gですこぶる快適に使えるのに対し、楽天回線は電波が弱い場所が多く、元々楽天モバイルは使い勝手が悪かったのですが、この頃は毎週末になるとヘビーユーザーに占拠されてまともに通信できなくなります。
MVNOは平日の昼休み時間帯に速度低下が見られ、これを理由にMVNOを避ける人もいますが、今の楽天モバイルは混雑による速度低下があちこちで慢性的に起きていて、場所も時間帯も読めない運次第ですから、まるでアテになりません。MVNOを避けている人は楽天も避けるのが無難でしょう。
筆者は株主優待の無料SIMを使っているので文句はないものの、元々弱い楽天回線がヘビーユーザーに占拠されて、近頃はタダでも使えないレベルに成り下がってしまいました(;_;)。せっかくタダで30GB使えるのに、近頃はほとんど使っ(え)ていません…
また、観光地などでは普通に圏外になります。例えば世界一登山客が多いと言われる高尾山ですら圏外。多くのハイカーで賑わう奥日光・戦場ヶ原のバス乗換拠点「赤沼」でも圏外。地下鉄でも回線が細すぎてしばしば通信不能に陥ります。楽天ユーザーは地下鉄や観光地などで困るので、デュアルSIM機能を使ってpovoなどを入れておくことをお勧めします。
無料通話の「Rakuten Link」も音質が悪い、電話番号が通知されないことがある、広告が大量に出るなど、使い勝手も悪化しています。最近はAIだなどと言い出して、また余計な機能が加わるようです。猫も杓子もAIの時代ではありますが、無料通話アプリとしては非常に使いにくい物になり果てており、筆者は利用を諦めました。
それでもUQ「コミコミプラン+」と同じ料金でデータ使い放題になって一応無料通話も付いてくるので、運よく楽天回線を快適に使える場所にいて、たくさん使う人にはお得ですが、30GBも使わないよという人はUQ等に移る方が広いエリアで安心して使えるかもしれません。
楽天は3段階料金の20GBまで2,178円ですが、この範囲を拡大するとARPU下落に直結するので経営上も厳しいでしょうから、ahamoの増量には直接対抗しないかもしれません(※)。
※「出揃った」という見出しにしたのは、楽天は今回対抗してこないかな、と思ったからです。ユーザー目線では予想が外れるといいですが(笑)。
すると、20GB以上30GBまでのユーザーには楽天はお得感がなくなりました。お得になる場合でも、楽天回線は場所によって快適とストレスが極端に分かれるので、楽天モバイルは試してみて使いづらかったら他所に移るつもりで試してみるのが良いと思います。
また、楽天は本業の「楽天市場」との相乗効果を狙っていて、楽天モバイルに加入していると楽天市場での買い物にポイント還元が加算(SPU)されます。
Androidで Google play 課金が毎月一定程度ある人は、毎月2,000円をキャリア決済し、あとは「楽天市場」で「Google Play ギフトコード」を買うと10%前後の楽天ポイント還元を受けられるので、楽天回線は使わずに放置していてもお得になる人もいるかもしれません。
iPhoneユーザーは2%Pほど目減りしますが、「Apple Gift Card」を買うと楽天ポイント還元を受けられます。iPhoneを定期的に買い替える人はいわゆる「Apple貯金」にも便利です。
このように楽天市場で毎月一定程度買い物している人には、楽天モバイルの現行料金でもお得感が得られるかもしれません。
で、ahamoは?
他社がこぞって追従してくるくらいだから結局ahamoがお得?と思いきや、ahamoはドコモ回線の通信品質低下に引きずられることと、着信転送が塞がれていることに要注意。
とりわけ後者は、データ通信しか使わない人はともかく、通話する人には痛い。自社の留守電も無ければ「スマート留守電」などの他社留守電サービスも使えません。迷惑電話が跋扈している昨今、留守電を常用している人は要注意です。
肝心のデータ通信も、ドコモ回線の品質低下が広範囲で改善するまでは様子を見る方がいいように思います。ドコモも改善に取り組んではいますが、今はまだ局所的な改善に留まっているので、筆者の行動範囲でもau・SB回線が5G化してすこぶる快適なのに対し、ドコモ回線は二昔前の3Gの頃のような使い勝手でストレスが溜まります…
一方で、ahamoには海外でもそのまま使える利点があります。楽天は海外で2GBまでしか使えませんが、ahamoは毎月30GBまで海外で使えるので(※)、海外出張が多い人には嬉しいでしょう。
※ただし海外での利用は最長15日まで(歴月が変わるとリセット)の制限があるので、旅行や短期出張向け。単身赴任や留学の人は現地SIMを契約しましょう。
SIM再発行手数料
機種変更する時にかかることのあるSIM再発行手数料。同じ機種を使い続けているうちはかかりませんが、たまには機種変更もするでしょうし、ある日突然端末が故障することだってあります(;_;)。
そんなときに、LINEMOはSIM再発行手数料が完全無料なのが地味に嬉しい。
他社もeSIMの再発行は無料(ただし終了日未定のキャンペーン扱い)ですが、SIMカードへの変更は有料。しかも3,850円もするので(ahamoはオンライン手続きで1,100円)、月額料金1~2ヶ月分くらい吹き飛んでしまいます(;_;)。
SIMカードの再発行はカードとその輸送に費用がかかるので有料なのは致し方ないけれど、オンライン手続きで3,850円は高いなぁと思いますね。 > povoさん
ちなみに格安MVNOの日本通信SIMの場合、eSIMの再発行(機種変更)でも1,100円もの手数料がかかります。頻繁にする手続きではないとはいえ、気になりますね。SIMカードは3,300円ですが、SIMカード同士の機種変更ならば再発行不要で差し替えて使えますので、日本通信SIMはSIMカードで使うのがおすすめです。
通話定額の対象範囲にも要注意
最後に、細かい話で恐縮ですが、通話機能をよく使う人に注意してほしいことがあります。
ahamoは着信転送と留守電が塞がれていることは前述しましたが、他社の通話5分定額・10分定額が付いている他社プランを使っている場合にも注意点があります。
ソフトバンク系は着信転送(留守電)にかかる通話料が定額対象外になるんです。さらにLINEMO「ベストプランV」は着信転送に月額220円の追加負担があります。全く使えないahamoよりはマシですが、通話着信が多く、留守電を多用している人には地味に痛い負担になります(;_;)。
筆者もこれが理由で、通話用の電話番号を日本通信SIMに移しました。「合理的みんなのプラン」は20GBまで使えて、70分無料通話も付いてきます。着信転送が使えるので「スマート留守電」などの他社サービスも使えますし、転送通話料も無料通話の対象になるので、通話料の負担がなくなりました。ただし都市部でのドコモ回線の使い勝手が悪すぎるので、データ通信にはpovoなどを使い、日本通信SIMは通話と山などへ出かけた時用の予備回線にしていますが…
UQモバイルの「コミコミプラン+」も、10分定額で着信転送(留守電)の通話料を賄えるのでお得です。
よって現時点では、データ通信には povo 2.0、オンライン手続きが苦手or月額料金がいい人にはUQモバイル「コミコミプラン+」、通話&非常用回線には日本通信SIMが、個人的にはお勧めです。
(この記事は『きまぐれ手記』の該当記事を再構成したものです)