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お得で便利な povo 2.0

2024年5月に着信転送が解禁されて、通話機能も遜色なく使えるようになった povo 2.0。筆者は計5回線契約し、メインにサブにと活用しています。

正直こんなに使うようになるとは思いませんでしたが、ユーザー目線で実感している2024年 7月時点の povo 2.0 の魅力と課題を紹介したいと思います。


5回線目の povo 2.0

先日、「povoデリバリーセンター」からSIMカードが届きました。

SIMカードとeSIM両方ありますが、合わせて5回線目です:)。
au・UQ・povoを合わせて上限が5回線ですが、povoだけで上限目一杯になりました(笑)。

でも、5回線も何に使うんだ?って思いますよね、普通の人は。

筆者はAndroidスマートフォンを常時2台持っていて、作業用(動作確認等に使う)にiPhoneを1台、さらにタブレットとノートパソコンがあって、全てにpovoを入れたら5回線になりました:)。

デュアルSIMで圏外も通信障害も極小化

最近のスマートフォンはほぼデュアルSIM対応なので、筆者は必ず異なるキャリア(搬送波)を組み合わせて複数回線を入れています。例えばドコモ回線+au回線、ソフトバンク回線+楽天回線、といった具合に、キャリアが被らないように組み合わせます。こうすることで、山へ行った時や、通信障害があっても大抵乗り切れます:)。

povo 2.0 はau回線を使え、SIMカードeSIMの両方に対応していて、月額維持費が安いので、他社回線とデュアルSIMで組み合わせて使うのにぴったりです。ただしeSIM機種変更の度に面倒なeKYC(本人確認手続き)が必要なことと、eSIMからSIMカードに切り替えると3,850円もの費用がかかるのは玉に瑕。機種変更が多い人は手数料がかからないLINEMOの方が使いやすいかもしれません。

筆者は旧WILLCOM・EMOBILEの頃から使い続けていてメインはワイモバイル。都市部ではソフトバンク回線が使いやすいこともあり、また家族割で縛られていることもあって(苦笑)、ずっとメインで使い続けています。しかし以前はシェアプランを併用して全ての端末にワイモバイルを入れていたのですが、そのシェアプランが全て povo 2.0 に置き換わった格好です。

また、以前はahamoなどのドコモ系も活用していた時期がありましたが、元々ドコモ回線は都市部が弱かったところに、コロナ明けあたりから極端に使いにくくなってしまったため、ドコモ回線をデータ通信に使うのは諦め、維持費と通話料が安い日本通信SIMに切り替えて、ドコモ回線はほぼ通話用になっています。

そのためデータ通信にはpovoをよく使うようになりました。

加えて、前回の記事で紹介した株主優待の楽天モバイルもあるので、データ通信はYM、povo、楽天でほぼ賄っており、契約データ容量は余り気味。

もちろん光回線も引いていますが、スマートフォンに限ればWi-Fiは使わず、モバイルネットワークで賄えてしまいます。

格安SIMを組み合わせて快適な格安運用

気になる料金も、povoは月額ではないので比較が難しいですが、スマートフォンの6回線(3台×2回線)合わせて月平均7千円くらい。通話は日本通信SIMの70分通話パック(390円)でほぼ賄えますが、データ通信は6回線合わせて月々100GBくらい使っていると思います。

大手3キャリアのいわゆるメインブランドを契約している人だと、1回線で毎月7千円くらい払っている人が多そうですが、筆者は3台持ち・6回線で7千円くらいなので、異次元な感じかもしれません。

まあ楽天Gの株主優待回線は例外として、支払いがあるのは5回線ですが、それでも格安なのではと思います。

なお、タブレットとノートパソコンは普段Wi-Fi運用で、出張等の際に「データ使い放題(24時間)」などを購入する運用なので、除外しています。(これはこれで、使わない時は0円維持できるpovoならではのお得な運用なのですけどね。)

「#ギガ活」実質終了後の povo 2.0

povo 2.0 といえば、「 #ギガ活 」で賄って0円運用していた人もいたと思いますが、au PAY 方式が2024年6月までで打ち切られてしまい、現在は「#ギガ活」で賄うのは現実的でなくなりました。

「#ギガ活」が終わってpovo回線がお蔵入りしている人や、見切りをつけて解約してしまった人もいるでしょうか?

筆者も「#ギガ活」(au PAY 方式)を時々使っていたので、終わってしまったのは残念に思いますが、筆者の中で終わったのは au PAY の方で(残高使い切って休眠状態です(苦笑))、povo回線はバリバリ活躍中です。

povoは通信品質が高くてデータ単価が安いから、「#ギガ活」が終わってもお得なのです。

ただ、先行き不安感は出てしまったかもしれませんね。

通信品質

モバイル通信サービスですから、まずは何といっても通信品質。筆者は4キャリアを適材適所に使い分けていますが、povoは大抵どこへ行っても使いやすいです。

ドコモ「瞬速5G」の失敗

ドコモ回線は山間地などのルーラルエリアでは強いのですが、4Gから5Gへの移行期に「瞬速5G」 (5G n79) の展開で躓いて、都市部で酷い使い勝手になってしまいました。
https://kimagurenote.net/kn/ahamo#営業施策にインフラが追いついていない?

ドコモの失敗には2つあると思っていて、ひとつは 5G n79 を中心に展開したこと。n79は日本と中国でしか使われていない超ローカルバンドなので、グローバルメーカーを中心に非対応機種が多い。ドコモはもちろん自社で販売する端末は全て n79 に対応しましたが、MVNOではn79非対応の海外メーカーが売れ筋です。

MVNOのシェアは大きくはないものの、ドコモ回線ユーザーの14%くらいがMVNOユーザーですから(2024年3月末現在)、無視できない規模感です。

総務省公表資料(2024年度第4四半期(3月末)時点)より引用

また、MNO各社の端末廉売の煽りを受けたMVNOの経営は厳しく、ドコモ子会社(当時)の OCN モバイル ONE ですら2023年になってもまだ4G端末を発売していたありさまです。

しかも、ドコモは自社のユーザーにも積極的に機種変更を促す施策を取ってはいないように見えます。対照的にソフトバンクでは、格安ブランドのワイモバイルでも頻繁に機種変更セールが実施され、古い機種を使っている人には型落ちの5G機種が廉価に提供されています。このような取り組みでユーザー端末も4Gから5Gへの更新を進め、4Gの混雑を緩和する効果があるでしょう。

ワイモバイルは直営オンラインストアで型落ち機種を機種変更向けに特売している(一例)

こうした積み重ねの結果、ドコモ回線では4Gが逼迫し、都市部での通信麻痺にまで至ったように感じられます。実際、混雑している場所(コミケ会場など)でも対応機種の少ない 5G n79 / n257 に対応している端末を使っている人だけ快適に使える場面もあったようです。ドコモがMVNOユーザーでも使いやすい 5G n78 をもっと展開していれば、そしてドコモが古い4G機種を使っているユーザーに機種変更を促していれば、また違った結果になったのではと思います。

もうひとつ、IPv6対応の遅れなど、ドコモは基礎的ネットワークにも問題がありました。元々ドコモ回線は遅延が大きかったので、おそらくspモードなどのドコモ独特のネットワーク構成が足を引っ張っていたのだと思います。これはIIJmioなどのドコモ回線を使うIPv6対応のMVNOと使い比べてみるとわかりますが、回線(POI)が空いている時間帯であれば、spモードよりもIIJmioなどの方が早くて快適でした。

MNO4社の中では、先駆けて2018年までにIPv6対応を果たしたソフトバンクと、元々IPv6 Readyで整備が始まった楽天は際立って低遅延でしたが、IPv6対応が遅れたドコモのネットワークは鈍重な期間が長く続きました。
https://www.janog.gr.jp/meeting/janog39/application/files/8714/8515/7522/janog39-mip6-final-01.pdf

2022年にようやくドコモもIPv6ベースのネットワークに切り替わり、以降幾分改善しました。
https://kimagurenote.net/kn/Ahamo#IPv6シングルスタック接続試験

2024年に入るとドコモ回線の品質問題もだいぶ改善しましたが、競合他社はもっと先へ進んでいますので、最悪期を脱したものの、追いつけてもいない状況だと思います。

2024年6月に交代したドコモの新社長はエリア対策に「桁が違うレベルで」投資して通信品質を改善するとしていますが、5G開始時期(2020年~2023年頃)の約4年間の失敗を取り戻すのは大変だろうと思います。

一方、ドコモはかつて全国津々浦々のJR駅をエリア化したこともありましたが、その頃のインフラが今に活きていて、ドコモ回線は山間部などでも使えるエリアの広さが魅力。そして通話はVoLTEで優先接続されるので、データ通信の使い勝手が悪い都市部でも、通話はほぼ普通にできます。

ただし通話機能が制限されているahamoはダメですが、MVNOのドコモ回線は「転送でんわ」や「番号通知お願いサービス」などの通話機能も使えるので、「日本通信SIM」などの格安SIMは通話用やバックアップ用にはぴったりです。

都市部でもそこそこ快適に使えるau回線

対照的にpovoのau回線は、5G展開期に「生活動線」を掲げて、鉄道沿線や中心市街地などを優先整備してきました。

駅前や中心市街地などの需要の大きい所を優先整備するのは当たり前のように思いますが、実態は必ずしもそうなっておらず、他社(ドコモと楽天)は机上の空論で整備しやすい所から手当たり次第に整備していったようなところがあり、需要と供給の乖離が見られましたし、エリアマップに色が付いているのに5Gが使えない場所も多く見られました。

例えばJR秋葉原駅付近では、au回線とSB回線は概ね5Gらしい通信品質ですが、ドコモはピクトだけ5Gの「なんちゃって5G」状態、楽天は4Gがぎりぎりつながっている(が遅くて使いにくい)状態です。

5G展開期にauとSBは、多くの人が集まる都市部の駅前などを優先整備してきた(JR秋葉原駅)

au回線は5G展開期に人が集まる場所から優先的に整備され、混雑する都市部の駅前でも概ね5Gらしい通信体験を得られます。近郊の住宅地などでも、エリアマップとのギャップがそこまで大きくなかったのも良かったと思います。

また、au回線の5Gは n77・n78 というグローバルバンドなので、衛星干渉で整備に苦労した側面はあるものの、MVNOなどで売れ筋の海外メーカー製端末でも5Gを使える利点があります。

auの基礎的なネットワークは、SB・楽天よりやや遅延が大きいものの、ドコモは別次元の遅さでしたし、IPv6対応もドコモよりは早く進んだこともあり、au回線は都市部でもそこそこ快適に使えていました。

そして満を持して(?)、関東地方では2024年6月に au 5G n77・n78 (Sub-6) エリアがぐっと拡がったことで、いわゆる通信速度が向上するとともに、遅延も改善しました。

少なくとも筆者の行動範囲では、ドコモの自称「瞬速5G」は相変わらずエリアが狭すぎてお話しになりませんが、au回線は5Gエリアが点から面になった実感があります。
https://kimagurenote.net/kn/povo_2.0#2024年6月の5Gエリア拡大

郊外でも使えるau回線

でも都市部での使い勝手は、依然としてソフトバンク(SB)回線が優位だと思います。5Gエリアはau回線も遜色ないレベルですが、都市部のSB回線は低遅延なぶん優位です。

楽天回線も電波さえ良ければ低遅延なのですが、楽天回線は都市部で電波の良し悪しが極端に表れ、しかも混雑しがちで、電波の悪い場所にいる人が一方的にしわ寄せを食らう傾向があって、当たり外れが大きい。

また楽天は地下鉄で非常に使い勝手が悪いですが(2024年6月頃から少しずつ改善中)、SBとauは地下鉄でも概ね快適に使えます(通勤時間帯には混雑で遅くなることもあります)。

全4キャリアを使い分けている筆者の感覚では、都市部での使いやすさは SB > au >> 楽天 >> ドコモだと思っています。

ところが、ソフトバンク回線は郊外に出ると弱くなるきらいがあります。

東武特急リバティ会津・けごん号

例えば東武日光線の特急「けごん」「きぬ」「リバティ会津」に乗っていると、浅草・北千住から栗橋(埼玉県)あたりまでは概ね快適ですが、県境をまたいで群馬・栃木県に入るとアンテナピクトが立っていてもデータが流れない区間が出てきます。
https://kimagurenote.net/kn/ワイモバイル#エリア・品質

SB回線は都市部では旧WILLCOM・EMOBILEが整備したエリアも重畳してすこぶる快適に使えますが、郊外に出ると Band 8(プラチナバンド)に頼ったエリア整備がされていて、使い勝手が極端に悪くなるのです。

povo(au回線)はそんなことなく、郊外でも人が普通に住んでいる場所では概ね快適に通信できています。

筆者が訪ね歩いた範囲での平均的な山間地での使いやすさは ドコモ≒au >> SB > 楽天という感じでしょうか。

よって、都市部に生活圏がある人は普段はSB回線が快適ですが、デュアルSIM機能を使って povo 2.0 も入れておき、特急列車に乗って出かけるような場面ではpovoに切り替えるのがおすすめです。

尾瀬や山奥の一軒宿でも使える!

そして、ここがau回線最大の特徴というか醍醐味というか。

2019年以降、尾瀬ではauのみ使えた(2022年にドコモもエリア化)

毎年多くの登山客で賑わう尾瀬は、一部エリアで電気は来ていますが、電話は通じません。そんな場所でau回線は他社に先駆けて2019年までにエリア化2022年にドコモが追従しましたが、ソフトバンクは使えません(過去にエリア化を試みたことはあるようです)。

奥羽本線 峠駅

例えば筆者がたまに湯治に訪れる山形県の米沢八湯。中でも人里離れた山奥にある奥羽本線の峠駅には3キャリア基地局があるのですが、駅から離れて山奥に入ると人里皆無で電話も電気も通じていません。

そんな山奥の秘境にある一軒宿、滑川温泉(福島屋旅館)と姥湯温泉(桝形屋)は他のキャリアは全て圏外ですが、au回線のみ入ります。温泉宿が持っている水力発電から電気の供給を受けて、中継局が立っているんです。

電話も電気も来ていない山奥の温泉一軒宿に設置されたau回線の基地局(中継局)

さらに2023年秋には、黒部峡谷鉄道本線の全区間をエリア化してしまいました。今までも旅客駅(黒薙、鐘釣、欅平)には3キャリアの基地局があったのですが、auは鉄道トンネル内も含めてエリア化してしまいました。

筆者も黒薙温泉によく湯治に訪れるので、基地局を整備している様子は見ていたのですが、豪雪地帯の険しい谷あいにあって、光ケーブルが届いている駅付近からトンネル内に向けて電波を飛ばす形でエリア化されているので、独特の基地局設備が見られます。

黒部峡谷鉄道 黒薙駅に設置されたauの基地局 谷の向こうのトンネル内に電波を飛ばしている

その翌年に能登半島地震で鐘釣駅手前の橋梁に被害が出て区間不通になってしまいましたが、例年多くの観光客で賑わう場所なので、全線再開後は多くの観光客に利用されることでしょう。

データトッピングをお得に買える

2023年以降の povo 2.0 は、とにかく「期間限定お試しトッピング」が毎週のようにたくさん登場しました。これを見て疲れてしまった人もいるかもしれませんが、筆者は楽しかったですね。ほぼ毎週データトッピングが発売されるので、商品が入れ替わる度に『きまぐれ手記』の更新が大変でした(笑)。
https://kimagurenote.net/kn/Povo_2.0#データトッピングとデータ単価

povo 2.0 のデータトッピング例 期間限定お試しトッピングがお得だが、分かりにくさも

povoにはお得なデータトッピングが多いんですが、データ単価を計算して比較するなどしないといけないので、比較しづらい分かりにくさがあります。そこはKDDIも自覚しているのか、近頃はトッピング画面に「30日あたり 20GB 2700円」などの表示が(すごく小さな字で)追加されました。

着信転送が使えるようになった今、この分かりにくさがpovo最大の弱点かもしれませんね。

例えば、半年や1年分など一括で購入できる長期データトッピングは、最初にまとめて支払うので金額の高さが目立ってしまいますが、均せばむしろお得になります。

歴月に縛られない(足りなくなったらいつでも買い足せるし、使いきれて無駄がない)のはpovoの魅力なのですが、お得さを比較しづらいのが弱点になっている感じです。

筆者は「povo 2.0」のまとめ記事をコツコツ書いていたおかげで、データ単価を見てセール商品のお得度を吟味できます。ゲームの攻略サイトのようですが(笑)、povoをお得に使うときに役立つ情報だと思います。

筆者のサイトではpovoのデータトッピングのお得度データ単価で比較できるようにしています

このように攻略サイトを見ながらお得なトッピングを探して購入する仕組みは、スーパーや家電量販店などでセールを見て回るような、買い物を楽しめる感覚に近いかもしれません。楽しめる人には楽しめるし、逆にあまりに頻繁に変わると疲れてしまう、という人もいたかもしれません。

とはいえ、povoの定常トッピングもデータ単価は比較的安く、十分にEDLPです。無理にお得なトッピングを追い求める必要はありませんが、工夫次第でお得に使えるというのは、povo 2.0 ならではの魅力なので、できれば活用してほしいと思います。

お得で便利

このように、通信品質が高く、しかもお得に使えることが、povo 2.0 の魅力だと思います。

さて、「お得で便利」という題にしましたが、今日はここまでにして、後半の「便利」はまたの機会に書きたいと思います。

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