Keychron JISキーボードでJISカナ入力
前回の記事「キーボードは文具」の続きです。日々キーボードを打ちまくっているカナ入力な筆者が久々にメカニカルキーボードを買ってみたので、それまでの紆余曲折を書いてみたいと思います。
使いやすいコンパクトキーボードを探して
筆者は時々気分でキーボードを変えていますが、ここ数年はメンブレン式やパンタグラフ式(内部メンブレン)の比較的安価なキーボードをいろいろと試していました。
一般的な高さのコンパクトキーボードでは、サンワサプライ SKB-KG3BKN2 が使いやすかったですね。打鍵音は大きめですが、コンパクトサイズなのに矢印キーが使いやすいのが良いです。
薄型コンパクトは、サンワサプライ SKB-SL18BKN USBスリムキーボードを昔使っていたこともあります。使い勝手は良かったのですが、時々意図せずキーが連打されることがあって(チャタリング?)、使うのをやめました。
https://ja.wikipedia.org/wiki/チャタリング
薄型コンパクトもいくつか試しましたが、ARCHISS INTRO Mini A(日本語配列)が使いやすかったですね。こちらは使っていた範囲でチャタリングは起きませんでした。
でもあまり売れなかったのか、2024年春頃に製造終了・流通在庫限りになってしまったようです(;_;)。
このサイズ感のキーボードは少ないので、愛用されている方は予備を確保されると良いかも…
ただ、いずれも最初は調子良くても数ヶ月使っているとキーの反応が悪くなったり、そこまでいかなくても動作が渋くなったり妙な音が鳴りだしたりします。使用頻度が多いぶん、へたるのも早いのかもしれません。
まあこれらは数千円の安価なキーボードなので耐久性に期待してはいけないのでしょう。安価なので頻繁に買い替えてもいいのですが、今回は久々にメカニカルキーボードに戻ってみました。
カナ刻印ありのメカニカルキーボード
普及品のメンブレンキーボードには大抵カナ刻印がありますが、メカニカルキーボードにはカナ刻印無しが多いので要注意です(;_;)。
前回も書いたように、筆者はカナ入力なので、JIS配列はもちろん、カナ刻印も必要です。
まあ、いちいち刻印を見て打っているわけではないので、カナ刻印が無くても中身がJIS配列ならカナ入力できますが、カナ刻印が無いキーボードしかラインナップしないメーカーって、カナ入力の人を排斥しているようで嫌ですよね。
筆者にとりキーボードは毎日使う重要な文具なので、嫌な思いをする製品を毎日使いたいとは思いません。
というわけで、JIS配列でカナ刻印ありが大前提となります。メンブレンなら選択肢豊富ですが、メカニカルになると選択肢が少ない…
その点、メカニカルキーボードの著名ブランドのひとつ、KeychronのJIS配列キーボードにはカナ刻印があるので安心です。
ただ、薄型コンパクトな Keychron K3 を以前に使ったことがあったんですが、なにかと多用する矢印キーの配置がとても使いにくくて、またEnterキーの右側に他のキーが並んでいる配列に慣れなくて、早々に手放した記憶があります。
また、Keychrone K8(一般的な高さのコンパクトキーボード)も使っていたことがあります。製品の完成度は高く、設置場所はコンパクト、配列も癖がなくて使いやすかったのですが、薄型に慣れた身には、背が高くて手が疲れる(^^;。
筆者は元々ノートパソコンを含む薄型キーボードを使う機会が多いので、薄型の方が使いやすいんですよね。せっかくコンパクトなキーボードを選んでいるのに、パームレストを後付けするくらいなら、最初から薄型の方がいいかな、と思いました。
K3は配列以外は使いやすかった記憶もあったので、今回もKeychronを買ってみました。
Keychrone K1 SE という機種で、配列はK8に似ていますが、薄型です。K3よりは少し幅広になりますが、矢印キーが独立しているのがポイントです。スイッチは赤軸を選びました。
他にRGBカラーで光ったり、スイッチを交換できたり(ホットスワップ)、QMK/VIAで配列変更ができたりする(プログラマブル)「Keychrone K1 Max」という機種もありますが…
筆者はそういう付加機能は不要なので、Keychrone K1 SE JIS配列 赤軸のいちばん安い機種にしました。
安いといってもヨドバシカメラで12,980円~(ポイント10%還元)。
https://www.yodobashi.com/product/100000001006717182/
しかし在庫が無くて、注文してもいつ入荷するかわからないというありさま。昨今の異常な超円安で代理店が輸入を一時停止している可能性もありますが、メーカーWebサイトを見たら「売切れ」になっていたので、注文しても入荷しなさそう…
K1 SE は2022年秋の発売からそろそろ2年経つのでモデルチェンジ待ちかもしれませんが、K1 Max は代理店在庫あり(2024年7月時点)なので、比較的安価な機種はdisconにして高い機種に誘導するステルス値上げかもしれませんね(;_;)。
そこで中古を物色して、しばらく待っていたら出物に出合えたので即購入。
まあそんな紆余曲折を経て、久々にKeychroneのロープロファイルがやってきました:)。
「変換」キーが無い!
Keychroneは比較的クセのない配列ですが、ひとつだけ問題があります。「変換」キーが無い!
いや、正確には「かな」という刻印があるキーが実は変換キー (VK_CONVERT) で、「ひらがな」キー (VK_HIRAGANA) が無いんです。
ちなみにキーボード界隈の方はよくご存知でしょうが、仮想キーコードは「Keymill」という便利なフリーウェアで見ることができます。
https://kts.sakaiweb.com/keymill.html
KeychroneはMacに寄せているので、こういう配列になっていますが、JISカナ入力をしていると、不便が生じます。
正確には筆者の癖で、今は「変換」キーで IME ON、「ひらがな」キーで仮A切替にしているので、Keychronでは「かな英数」を割り当てているキーが無くなってしまったんです。
「かな英数」とは何なのか?ローマ字入力の人にはピンとこない人もいるでしょう。
カナ入力中に、一時的にいわゆる全角の英数字を入力したいときに使います。頻度は少ないものの、無いと面倒なので、代替策を模索しました。
普段Windowsを使っているのでMS-IMEというIMEを使わざるを得ないんですが、変換が偏っているきらいはあるものの(「回線」→「回戦」、「的」→「敵」、「先頭」→「戦闘」など、近頃のMicrosoftは戦争を煽っているのか!?と思うような野蛮な変換をよくしてきますね)、キーバインドは比較的自由に変更できるのが救いです。
ただし、Windows 11 の新IMEはキーバインド変更がほとんどできないので、Windowsの設定を開いて【時刻と言語 > 言語と地域 > 日本語の右側の「…」 > 言語のオプション > Microsoft IME の右側の「…」 > キーボードオプション > 全般 > 互換性の「以前のバージョンの Microsoft IME を使う」をON】にすることで、キーバインドの変更ができるようになります。
今はまだ Windows 11 にも従来互換のIMEが搭載されているのでいいですが、カスタマイズがほぼできない新IMEに強制移行されたらと不安で仕方ありません。とても使いやすかったVJE-Deltaが恋しい(;_;)
ちなみに32bit版Windowsにはあれこれ苦労しつつVJE-Deltaを入れられますが(もう売っていないので昔購入した人に限られますが)、
64bit版OSは筆者は未確認。動かないんじゃないかな…と思いましたが、
試した猛者はいるようですね!
もっとも、これも旧IMM32がまだ生きているからこそ。Windows XP SP1で登場した TSF (Text Services Framework) には対応していないので、OSでIMM32が切られてしまったら終わりでしょう(;_;)
また大胆に話が逸れましたね(^^;、話を戻します。
ちなみに、MS-IME では [Ctrl]+[L] で全角英字に変換することもできます。
例えば、「たていすかん」→[Ctrl]+[L]→「qwerty」となります。
これでもまあ何とかなります。
MacではCapsLockを仮A切替に使うことができますが、WindowsはCapsLockをOS側で制御している仕様上、IME側でCapsLockに他の機能を割り当てることができませんので、OS(Windows)側でキーマップをいじってCapsLockキーに「ひらがな」を割り当てるなどする必要があります。
結局、筆者は「Shift+変換」に「かな英数」を割り当てて使うことにしました。「ひらがな」キーがある方が便利ではありますが、言い替えると困っているのはこれくらいなので、概ね使いやすい配列のキーボードだと思います。
Altキーが嵩上げされている
Keychron K3 SE では、左右のAltキーが若干高くなっています。もとい、両脇の「かな」「Win」「fn」を低くしているのかもしれません。
Altキーはよく使うのでこうしたのでしょうが、筆者個人としてはあまり使いやすくないかな。むしろ誤打鍵の原因になっているように思います。
Altキーは元々周囲のキーより若干幅広になっているのだし、「かな」キーはMacやChromeOSではローマ字打ちの人でも IME ON に使うはずだから、日本語入力が多い人は、右Altよりも「かな」キーの方をよく使うでしょう。
微々たるものですが、高さは他のキーと揃えておく方が使いやすかったのではと思います。
赤軸、茶軸、青軸
フルハイトメカニカルキーボードのスイッチにはドイツ・Cherry社製「MX1A」が使われていることが多いです。2024年には「MX2A」が登場し、潤滑剤を入れたりハウジングが改良されたりして静音性が向上しているそうです。基本的には互換性が保たれているようで、旧「MX1A」は製造打ち切りになったそうなので、順次置き換えられるのでしょう。
(会社としては、Cherry社は2016年にドイツ・ZF社の傘下に入っています。)
Cherry MX スイッチは「軸」の色で打鍵感(重さ、反応位置、動作音)が異なっていて、キーボードでよく使われるのは Blue(青軸)、Brown(茶軸)、Red(赤軸)。
青軸はカチャカチャ鳴るスイッチです。メカニカルっぽいからか、好きな人は好きですよね…
対して、茶軸はカチャカチャ鳴らないスイッチです。
赤軸は後発で、Cherry社では日本人が好む軽めの動作と静音性を備えたスイッチとして開発されたと聞きました。その狙いが当たったのか日本では赤軸がよく売れるようですし、今では日本に留まらず海外でも赤軸をラインアップする製品が多いようです。
さらにその後、静音で重めのBlack(黒軸)や、静音で反応が早いSilver(銀軸)なども登場しています。
なお、同じメーカーの同じ軸色でも、MX互換スイッチと後述のロープロファイルスイッチでは重さやストローク、音などが異なります。例えば同じGateronの赤軸でも、販売店店頭などで試用する際は、ロープロファイルキーボードは別物と考えて試用しましょう。
また、赤軸や茶軸でも打鍵音は鳴ります。スイッチは静かですが、主にキーキャップから鳴っています。メカニカルは構造上、打鍵音は鳴りますが、製品によっては基盤やキーキャップの設計で静音化が図られていて、同じスイッチを使っていても製品により音が異なります。音が気になる場合は、展示機がある家電量販店店頭などで打ち比べてみるのがお勧めです。
音を極力抑えたい場面では、メカニカルは諦めて静音パンタグラフ(メンブレン)製品も検討しましょう。
Cherry MX とロープロファイル
メカニカルキーボードのキースイッチ市場は、ここ10年ほどでがらっと変わりました。昔は Cherry MX 一択でしたが、特許が切れた2013年頃から互換メーカーが登場。最初はKailhが流行って、後にGateronをよく聞くようになりました。
その後は互換メーカーの隆盛目覚ましく、タイプ感の異なる軸色がめっちゃ増えましたし、潤滑も互換メーカーが先行してCherryが後追いした格好。そしてロープロファイルと呼ばれる背の低いメカニカルキースイッチ (KS-27) を投入してきたのも Gateron だったように思います。
筆者が今回購入したキーボードは Gateron のロープロファイル2.0、KS-33 が使われているようです。
KS-27 と比べると、軸重は同じですが、高さが若干増し、ストロークがわずかに深くなっています。筆者が昔使っていたK3はKS-27でしたが、今回 K1 SE のKS-33を使ってみて、特に違和感はなく、ちょうど良い重さ・高さだと感じました。でも旧KS-27に慣れている人からすると若干の違いに戸惑うかもしれません。
以降本稿では便宜上、Cherry MX(とその互換品)をフルサイズと呼びます。
フルサイズのスイッチは Cherry MX 互換が多くて、キーキャップも共通で使えることがあります。キー幅が合えば他のキーキャップに交換することもできますし、実際に交換用キーキャップを販売している専門店もあったりします。
列ごとに高さに傾斜が付けられているものもあって、ますます沼が深くなります(笑)。
ただしUS配列ではそこそこ選択肢がありますが、JIS日本語配列で交換用キーキャップが販売されている例は少ないので、JISキーボードでは基本的に純正品を使う前提で考えます。
フルサイズのスイッチは互換品が多いですが、ロープロファイルスイッチは互換性が無いので要注意。「ホットスワップ」という製品はキースイッチの交換が可能で、MX互換のフルサイズスイッチは他社との交換もできますが、ロープロファイル製品は他社のスイッチに交換することはできません。
もっとも、キースイッチを入れ替える使い方は少々マニアックで一般的ではないでしょうが、誤打鍵の多い場所だけ重めのスイッチを入れるとか、逆に反応を早くしたいキーだけ軽めのスイッチを入れるといったこだわりのある人もいるようです。キーボードが「文具」な人には、そういうこだわり方もあるのだと理解できるかと思います。
有線とBluetooth
Keychronの日本向け製品はどれも有線 (USB Type-C)・Bluetooth兼用になっています。本体に切替スイッチがあって、【Bluetooth/OFF/Cable】を切り替えて使います。
筆者は有線で充分なので有線専用モデルを安価に投入してほしいと思うのですが、メーカーからすれば小さな市場に安価な製品を投入したくないという思いもあるのでしょう。
有線(USB)接続すれば BIOS POST も出せますし、Bluetooth接続でも反応は良好で、使い勝手は申し分ないです。ただし有線接続で使っていると内蔵電池が劣化しそうなので、筆者はBluetoothで使うことにしました。
筆者の手元では常時スイッチON(自動スリープモード併用)・ライトほぼ消灯で1週間くらい使えていますが、[fn]+[B] キーを押すとバックライトが光って電池残量を見ることができます。
規定では10分間使わずにいると自動でバッテリー節電モードになるので、スイッチON(Bluetooth)のままで使っても差し支えありません。自動スリープに入っても何れかのキーを押せばすぐに目覚めます。自動スリープモードに入る時間は10分/20分/30分/無効(常時ON)を選択できます。
Bluetoothは最大3台を切り替えて使えます。WindowsとAndroid、MacとiPadの切り替えはスムースにいくと思いますが、Windows・Android / Mac・iPad は別途本体のハードウェアスイッチを切り替える必要があるので、WindowsとMacを併用しているような場面では手間だと思います。
また、金属机や周辺のノイズ環境などによってはBluetooth接続は不安定になる場合もあるでしょうから、その場合は有線接続で使うのが良いと思います。
Keychron K1 SE
Keychron K1 が旧モデル、K1 SE V5 が新モデルです。
「V5」というとV1~V4があるのかと思いますが、少なくとも日本では初代K1と K1 SE (V5) しかないようです(^^;。
K1 と K1 SE の違いはいくつかあって、前述のスイッチがKS-27からKS-33に替わったこと、キーキャップの色が変わったこと(初代は黒っぽい色でした、筆者は初代の方が良かったかな)、本体背面にチルトスタンドが追加されたこと。
スタンドがあることで僅かですが角度を付けられて、使いやすくなりますね。
バックライト
全スイッチにLEDが埋め込まれています。White LED モデルとRGBモデルがあって、後者の方が高め。
正直、筆者は光らなくて良いと思いますが、バックライトは明るさの調整と点灯パターンの変更、消灯もできます。
筆者は明るさ控えめで、かつ押したキー周辺だけ光る設定(押していないときは全消灯)で使っています。まったく光らなくても問題ないのですが、まあ少しくらいなら光っても構わないかなと。
各種調整はキーボード単体で行えます。例えば明るさ切替は [fn]+[F5]/[F6] で、3段階とOFFにできます。
右上に点灯パターン切替キー「💡」がありますが、これを押すと元に戻すまで延々と押し続ける必要があって面倒です(右上のキーいらないので他のキーに変更してほしい、またはせめて一時全点灯などにしてほしい)。
暗い場所では [fn]+[B] を押すと電池残量表示になって、電池残量が多いときは全点灯になるので便利です(もっとも[fn][B]キーの位置が見えないといけませんが(^^;)。
ちなみにキーキャップはABSですがダブルショットで光が透過します。
正規販路と説明書
Keychron製品は「SUPER KOPEK」(コペックジャパン)が日本での正規代理店です。製品仕様や説明書ダウンロードも代理店Webサイトで見られます。
https://kopek.jp/kopek_dev/wp-content/uploads/2022/10/K1SE-manual_JP.pdf
国内での正規販路はヨドバシカメラなどの家電量販店。Amazonでは販売元「SUPERKOPEK」が正規品です。