グローバル開発チームの奮闘記 - 多様性を受け入れる過程での試行錯誤
こんにちは!
マネーフォワード 福岡拠点でサーバーサイドエンジニアをしています、bondeeと申します。
クラウド債務支払開発チームのエンジニアとして働いています。
昨年このブログ記事を投稿しましたが、もう1年も経ったのかと改めて驚きました。 (年を重ねるごとに、時間があまりにも早く過ぎ去っていくことに気づかされます😅)
本論に入りますが、今年、マネーフォワードの福岡拠点の開発組織には、様々な国からのグローバルメンバー(日本語でのコミュニケーションが困難なメンバー、以下グローバルメンバーと表記します)がJoinしました。
特に私たちのチームでは、私を含めメンバーの半数以上が外国籍のメンバーで構成されています。
私たちの組織はより一層グローバル化に向かっており、多くの部分で変化が起きています。この変化の過程の中で、今年度の総括として、様々な試みと課題をまとめたいと思います。
私たちが試みたこと
初めはどのようにすべきか分からない状況でしたが、すでにグローバルメンバーが所属していたチームを参考にして、まず最も緊急の部分から様々な準備を行いました。
代表的には以下のような部分を準備し、実行しました。
オンボーディング資料作成
私たちが直面した最大の課題はオンボーディングでした。日本語の資料しかなかったため、迅速に業務環境を構築できるよう、資料を英語化しました。
最初は文書の英語翻訳で多くの問題がありましたが、オンボーディングを読むグローバルメンバーがそれを確認し修正するサイクルが生まれ、かなりの部分が改善されました。現在、オンボーディング資料は英語で整備されています。
雰囲気作り
新しいメンバーが参加する前に、様々な点を考慮しました。各国には宗教、政治、文化、社会的背景があるため、その点について事前にチームメンバーと話し合い、新しいメンバーが参加した後できるだけ不快感を感じないよう努めました。
入社するグローバルメンバーの多くは海外から日本に新たに来た人々で、日本での生活に適応する上で様々な困難を抱えています。私自身も今はある程度日本語でコミュニケーションが可能ですが、初期には多くの困難がありました。そのため、チームやグループへの適応を親しみやすくするため、雰囲気作りを心がけました。
業務の話題以外でもお互いの国の文化を紹介することなどを通じてチームの絆を深めていきました。
幸い、先に入社したグローバルメンバーが積極的に雰囲気作りをしてくれたおかげで、後から入社したグローバルメンバーにも助けになっています。この点では良い循環が生まれていると考えています。
ミーティングの改善
ミーティングも基本的に英語で行われるようになりました。最初は英語でのミーティングが本当に難しく、一言も出せず、英語話者の発言が理解できない場合も多くありました。
会議に割り当てられる時間が長すぎるという意見も多く、また英語で行われるためミーティングを簡潔にすべきだという意見もありました。
当初はテキストベースで、会議で伝えたい内容を非同期で書くスタイルを取り入れました。
逆にこのように進めると、全員の認識が合わず問題がありました。この点において適切なバランスを保つことが重要でした。ミーティングの時間を短縮しながら、どのようにすれば共通の意識を持って業務を行えるかはまだ改善の余地があります。
しかし、このような改善活動を続けた結果、現在は当初に比べてかなり改善され、私を含め英語が不得手なメンバーも口頭で少しでも話せるようになってきていると感じています。
課題
様々な準備と試行とは別に、以下のような課題も発見しました。
ハイコンテクスト&ローコンテクスト
この点が最も難しいどころでした。
私の経験では日本の方々はある程度の文脈さえあれば業務が可能である、いわゆるハイコンテクストと呼ばれる文化です。私もこのようなスタイルに長年適応していて問題ありませんでした。
しかしグローバル(正確にはローコンテクスト文化に慣れている)のメンバーは、これが非常に難しく、明確な指示と責任を求める問題がありました。
これをハイコンテクスト&ローコンテクストとして区別しているようです。
(根拠のない話だと文献もありますが、ここでは存在している前提で話しています)
またグローバルメンバーは、言語、背景理解などの問題で基本的にドメイン知識などの吸収が遅れがちです。したがって、正確なテキストで伝えられなければ、業務に困難を感じるのは避けられませんでした。
この点に関しては、従来の進め方とは異なるアプローチが必要でした。
正確な主体を指定して、明確な内容を提示するよう努力する必要がありました。
グローバルメンバーも海外で十分なエンジニアリング経験を積んだ人々なので、この点が正確に伝えられれば成果に結びつくことに問題はありませんでした。
しかし、まだそのようなやり方に私たちは適応していないため、今後も改善していかなければならない課題だと思います。
ドメイン知識
文脈を伝える上で、単純に日本語と英語の対応関係が上手くいかない、説明が難しいものがありました。
単純にこの日本語は英語ではこれだ、と説明するのは難しくありませんが、システムのユースケースの全体的な流れの中で、なぜこのインプットがあるとこのアウトプットになるのかという因果関係を説明するのは非常に難しいと感じました。(今でも難しいです)
これは単純にプログラミングのアルゴリズムを説明するよりも数倍難しい部分でした。特に日本の法令などの特有の背景知識が必要な部分は、説明の難易度を高めています。
ドメイン知識の問題に関しては、今後も明確な英文ドキュメントの作成と、互いの領域で自習でき、質問し合え、答え合える雰囲気づくりが重要だと考えています。
業務環境
チームの雰囲気の面では相当成功していると思いますが、業務環境については未だ不足を感じています。
開発組織は英語で進められていますが、ビジネス側はまだ日本語を使用中です。通訳を活用してコミュニケーションをつないでいますが、多くのドメイン用語が飛び交う状況の中で通訳が行われたとしても、正確な理解に至るのは非常に難しいです。
この点でグローバルメンバーにも機会を与えたいと考えていますが、その機会を割り当てるのは難しいと感じました。
一つの例として、スクラム開発のスプリント過程の一つであるスプリントレビューでは、様々な利害関係者が参加しています。その中には、英語化の対象外であるビジネスメンバーも含まれているため、必然的に日本語でのプレゼンテーションを行わざるを得ない、ユーザーに近いビジネスメンバーとのフィードバックの過程で、直接的なコミットができない状況が生じることがあります。
もう一つは緊急に何かに対応する必要がある場合です。 VOC(Voice of Customer)から内容を理解し、状況を判断し、それに対する解決策を提示し、実際に解決していく部分においては、まだ少し難しい部分があると考えています。
一方で日本語話者のメンバーにとってはその分担当しないといけない問題があり、負荷に繋がれる恐れがあるので、この点は改善が必要だと考えています。
今後試みたいこと
問題点を改善していくために、私は追加で以下のことを試してみたいと思います。
ガイドライン
すべての点をガイドラインとして明確にしたいと考えています。
多くの点でミスコミュニケーションや認識の違いから問題が発生するため、できるだけ全てをガイドライン化して明確にしたいと思います。
もちろん一人で決められることではなく、チームメンバーと合意を得る過程が必要になると思います。(難航するかもしれませんが)
グローバルメンバーの好循環構造づくり
今の雰囲気を先に入ってきたグローバルメンバーが主導しているように、もう少し業務的な部分や働き方もそういう風にグローバルメンバーの中で好循環する仕組みを作りたいと思います。
そのために、私から今のメンバーにもっと多くの知識を注入できるようにリードしていきたいと思います。様々な方法でアイデアを出して、これを解決していけたらと思います。
まとめ
私は今年度、見落としていた点がありました。それは、私たちの目的はグローバル化であって英語化ではなかったということです。
単に英語のスキルを伸ばして円滑にするだけでなく、文化の違いから多くの点で配慮しなければならない部分がありました。
しかし、文化の違いは単なる違いであり、正しいか間違っているかではありません。互いを尊重する過程において、最善の方向に向かうためには、絶え間なく改善を続けていく必要があります。
チーム、小さな組織単位からどのようにすれば公正(Fairness)な方向に進めるかを来年も考えていきたいと思います。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
マネーフォワード福岡開発拠点では色々なポジションを募集していますので、興味がある方は是非!!ご応募いただければと思います。
明日はhimenoさんの記事です!お楽しみにしてください!!!