「集う家」の歴史を残す!古民家「森ノ下」改修プロジェクト
こんにちは。KILTA(キルタ)雲南です。
島根県雲南市を拠点に、空間づくり・DIYをみんなで行う「DITワークショップ」を行っています。
※ DIT = Do It Together “みんなでつくる”
前回は、DITワークショップに参加したことがきっかけで、モノづくりのプロになりたいと大工兼DITインストラクターを目指している吉田聡子さんをご紹介しました。今回は、その続編として、吉田さんがご主人の祐基さんとともに立ち上げた「古民家『森ノ下』改修プロジェクト」についてご紹介します。
1.「古民家『森ノ下』改修プロジェクト」
市内加茂町にある、築100年を超える2階建ての古民家「森ノ下」。
現在、吉田祐基(ゆうき)さん、聡子(さとこ)さんご夫妻が、3人のお子さんと5人で暮らしています。
元々は祐基さんの祖父母宅でしたが、2015年に空き家になりました。
祐基さんの転勤をきっかけに、「空き家になっているならばちょうどいい」と気軽な気持ちでこの家に住むことにしましたが、実際に住み始めてみると、空き家となった5~6年間で想像以上に経年劣化が進み、生活の場とするにはギリギリの状態であることが分かりました。
改修には多額の資金が必要な一方、愛着あるこの家を取り壊したくない、とご親戚も含め随分と悩んだそうです。
その間、吉田さんご夫婦は、抜けそうな床に板を敷いたり、壊れた浴槽にビニールプールを置いて入浴したり、溢れるほどの家財道具や生活用品を片付けたりしたそう。
どうにかしなければと専門家に診てもらうと、材木は良いものが使われていることが判明し、残す選択ができることが分かりました。
梁や建具も立派なものが多く、今となってはむしろ手に入らないようなものもあるとのこと。
ご夫婦は、1階を全面工事し、居住スペースと三間続きの和室の多目的レンタルスペースをつくることを決めます。
2.「集う家」の歴史を100年先まで残したい
吉田さんご夫妻が、この家を自分たちの住まいとしてだけではなく、多目的レンタルスペースを作り、地域に開かれた場にしようとしているのには理由があります。
それは、この森ノ下が、人が集まることを前提に作られた家であり、昔は近所の人の集会や寄り合い、親族の冠婚葬祭の場としても機能してきたから。
今も蔵に眠る大量の食器が、当時のにぎわいを感じさせてくれるのだそう。
100年続いた「集う家」としての本質を守りながら、時代に合わせた新たな空間とすることで、ここを拠点に地域に貢献していきたいと考え、レンタルスペース改修費についてはクラウドファンディングを立ち上げました。
■クラウドファンディングのプロジェクトページはこちら
改修工事は中澤建設で施工し、一部の部屋の床や壁をKILTA雲南としてDITワークショップでリフォームしました。
ワークショップは、この時既に大工兼DITインストラクター見習いとして活躍し始めていた聡子さんが主導して企画。
当日は、手に汗握る作業をみなさんで体験したあと、森ノ下の畑でとれたサツマイモでホクホクの焼き芋パーティも行い、「集う家」の新たな歴史が早速スタートしていました。
実際のワークショップの様子は、こちらの記事でご紹介しています↓
■「『ともにつくる』DITワークショップとは?」はこちら
また、この改修工事で、聡子さんは大工見習いとして実際に作業に参加。
そのこともあり、完成後、ご夫婦主催で“完成お祝い会”を開催し、改修に関わった全ての人たちをご招待くださいました。
施主である吉田さんご夫婦と、設計士さん、材木屋さん、大工さん、電気屋さんなどが一堂に会すことになり、お金を払ってサービスを買うだけの関係性を超えたコミュニティが生まれていました。
かねてから、現代の建築業界では「需要者(お客様)」と「供給者(施工者)」がくっきり分かれていることに問題意識を感じていた私(中澤)ですが、KILTA雲南の取り組みを通じて、新しいあり方を見出していけるかもしれないと感じた出来事でした。
3.古民家で丁寧な暮らし
森ノ下は、自由に駆け回って遊べる広さで、親子ともにのびのびと暮らせます。
また、庭や裏山から採れた果実やご近所さんからの頂きもので、自家製の梅干しやジャム、炊き込みご飯をつくり、家族で食べたりおすそ分けしたりしているそう。
作る過程も楽しみながら、自然の恵みや人とのつながりに感謝して送る古民家での生活は、季節感溢れる丁寧な暮らしです。
家にも対しても食に対しても、手間をかけてつくり、完成後も大切にしていこうとする吉田さんご夫婦。
古き良きものを大切にして活かしたい、つながりを大切にしたい気持ちが、きっと森ノ下を地域に愛され続ける場所にしていってくれると思います!
最後までお読み下さり、ありがとうございました。
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