父の隠しごと《第1話》
夢枕に立つ
よくそんな話を聞きませんか?
実は… 私も遥か昔に、亡くなった母が夢枕に立ったことがあります。
当時私は25歳。前の年の4月16日、母は3年2ヶ月の闘病生活の末に亡くなりました。享年63歳。その年の10月10日、父の勧めで、父の会社の社員だった方と結婚しました。その後、彼は1年間の研修のため、藤○薬品(現ア○テ○ス製薬)で留守にしていました。
そう、あれは春のゴールデンウィークの真っ最中、5月3日の午前6時頃のことでした。
連休中、ベッドで寝ていた私の体を揺さぶり、起こす声が聞こえました。
「きみこ、起きなさい。起きてお父ちゃんの所へ行きなさい!」
何度も聞こえるその声… 揺さぶられる体…
「えっ!! 誰? 家の中には私一人のはずなのに…」
私は夢の中でそんな思いと戦っていました。
しかし、その声は止むことなく、私を起こそうと呼び続けます。
「きみこ、起きなさい。起きてお父ちゃんの所へ行きなさい!」
確かに感じる、誰かの手の感触…
「誰?! …お母ちゃん?」
えーッ‼️
思わず飛び起きたけれど、誰もいない…
「やっぱり誰もいない。私ひとりだよね…。あれは一体何だったんだろう?」
そんなことを思いながら、私は起きて、2階の部屋から1階のリビングへ降りました。
当時、私は結婚を機に実家から車で2,30分の所に家を購入し、そこに住んでいました。時々、実家に父の様子を見に行っていました。実家には住み込みの家政婦さんもいたので、一応、食事や掃除・洗濯には問題なかったのですが、やはり実家で一人暮らす父のことが常に気掛かりでした。本来なら同居したかったのですが、父が私の夫である主人のことを気遣い、別居となったのです。確かに、会社で社長と部下… 家に帰れば義父と娘婿… 気の休まるところがないですもんね💦
さて、話を元に戻しましょう。
私はおもむろに電話機のボタンを押して、父に電話をしました。
最初に出たのは、家政婦のAさん…
「はい。○○です。」
「あっ…Aさん?私… お父さんいる?」
「はい。少しお待ちください。旦那様、お嬢さんです。」
父が電話口に出ました。
「もしもし… ワシや。」
「お父ちゃん、今からそっちに行こうと思ってるんだけど…」
「えっ?今から?それはあかんわ。」
「なんで?」
「今からお客さん来るねん。」
「お客さん?誰が来るの?」
「……」
「Hさん?」※Hさんは父の秘書
「いや、違う。」
「ほな誰なん?」
「……」
「まぁいいわ。分かった。それじゃあね。」
電話を切った私…
今まで隠し事などしたことがない父が、そこまで隠したい相手って誰やねん?
気になって仕方のない私… とことん追求せねば気が済まない。この目で確認しに行くか…
それからすぐに着替えて、車🚗のキーを持って玄関を出てガレージへ降りて行くと、向かいのMさんの奥さんが声をかけてきました。
「きみちゃん、おはよう。お出かけ?」
「おはようございます。お父さんの様子見てこようと思って…」
「お休みやもんね。うちの人はまた仕事やねん。また、夜にでも遊びに来てね。」
「はい。ありがとうございます!寄せていただきます。」
そんな会話をして、ガレージのシャッターをあげて車🚗のエンジンをかけました。
いざ… 実家へ
一体… 父親が隠す客とは誰なのか? 真実は間もなく明らかに…
…というわけで、本日はここまで。
また、次回をお楽しみに👋😁