INTERNET GIRL

広くて深くて狭くて、息苦しい海。
それがインターネット
毎日想像出来ないほどの情報がこの海に放たれ
また同じくらいの情報が死んでいく

朝起きて、Twitterを開くのがあたしの中学1年生の頃からの日課
Twitterを開いて寝る前に海に流したものの反応を見る
3いいね。
うーん。まあ特に気にしない
嘘じゃないよ。本当に
アカウントが15個あっても全部ちゃんとあたし。
嘘のあたしももちろんいるよ。
それでも全部あたしの一部であたしの人生。
本当のあたしなんて誰も知らなくていいの
あたし自身も知らない
興味が無いもん。
彼氏にも教えないよ
あたしの全部を知って！なんて言わないし。
全部は知って欲しくないもん
ぐちゃぐちゃドロドロの感情なんて見つけて欲しくないよ
見たいところだけを見てちゃだめなの？
見せたいところだけを見せちゃだめなの？
見たくないところなんて見ちゃったらもうおしまい
見せたくないところなんて見せちゃったらもうおしまい
この海でも、現実の陸ですらも生きられなくなってしまう
どこに行っても息が出来なくて、本当にそのまま死体になるの

初めてインターネットの海に飛び込んだ時から
もう7年も経っちゃった
初めはきっとこんなに死にたくはなかったんだろうな
きっとファッションメンヘラで可哀想なあたしを見て欲しかった
今でもそれは変わらないよ。
でもファッションメンヘラからただの
クソカスキチガイメンヘラに降格しちゃったかな。
この海に飛び込む前からきっとあたしの人生は狂ってたよ
それでももう戻れないところまできちゃったのは
きっと、インターネットのせい。
インターネットの海で息をしてインターネットの海で
溺れて死んでいく。それがあたしの人生。

今まで色んな人と関わってきたよ
でもみんなそのうちいなくなる
1回死んで生まれ変わる子もいれば、海から出ていく子もいる
どんなに仲が良くて大好きだった存在も
いつかは知らない、遠い海に流されていく
あたしはかれこれもう5年も同じところで
生まれ変わりを繰り返しながら漂っている。
Twitterというインターネットの海にあたしは複数人存在
していて、たまに死んではまたすぐ生まれ変わるの。

たまにね、友達にいなくならないで。って言われるの。
ねえ。あたしはね、いなくならないんだよ
ずっとこの海にいるの
この海でしか生きられないから。
きっと陸にいるあたしの本体が死んだとしても
この海にはあたしの意思と存在記録が残されていく
そのうち海の奥底に沈んじゃったとしても、
ほかの記録が上にどんどん積み上がっていったとしても
きっと、きっとあたしはいなくならない
こんなにもこの海を愛して依存している
あたしの意思がこの海から消えていいはずがないもん
君があたしを忘れない限りあたしはずっとこの海にいるよ
みんながあたしを忘れてもあたしが海に流した意思は
半永久的に消えなくて、インターネットの歴史に刻まれていくの

きっと今書いてるこれも半永久的に残り続けるの
インターネットの海にも、これを読んでいる誰かの記憶にも。
記憶は嘘かも。誰かの記憶に残ればいいなーって思うけど
それは簡単な事じゃないよね。ちゃんとわかってるよ
誰かの記憶に残るって嬉しいけど怖いことでもあるよね
もしかしたらその人の人生を変えてしまうかもしれない。
あたしとの少しの思い出でその人の生き方に
影響が出ちゃうかもしれない。
あたしは自分の人生にすら責任を持てないから
他人の人生なんてもっと背負えないよ
でもほとんどの人がそうでしょう。
だからあなたのせいで生き方が変わったって言われても
気にしちゃだめなんだよ。
良い方向だったとしても悪い方向にだったとしても。
良い方向だったら調子に乗っちゃうでしょ。きっと。
本当に気にしちゃだめなんだよ。わかってるのかな
わかってないよね。あたしもわかんないもん
わからないものはわかんないし
わかってたとしてもわかった気になってるだけだもん
大体はね。

あーあ。何が言いたかったんだっけな。
とにかくねあたしは居なくならないから
あなたたちもいなくなって欲しくないなあ。
あたしの近くにいなくてもどこかの海で生きてて欲しいの
1人は寂しいけどあなたの傷とあたしの傷は繋がってるはず
だから1人でも孤独じゃないよ。忘れないで。

こんなにもね寄り添ったような文章書いてるけど
全部自分に言い聞かせてるだけなんだよ。
あたし、本当に1人になるのが怖いの
もしかしたら既に1人なのかもしれないけどね
それでも、もしかしたらって期待しちゃうの
馬鹿だよねー。
でもそんな馬鹿なところも人間らしくてかわいいよねきっと。

この海の潮が傷口に沁みても、あたしは傷を増やし続けるよ
みんなと繋がってたいからね。
だいすきだよ。みんなもこの海も、遠くのあなたのいる海も。
幸せになんてならないで、ずっと一緒に漂い続けてね