映画「アンデッド/ブラインド」感想
映画「アンデッド/ブラインド」を観た。
とりあえず、「思ったより悪くなかった」という印象でした。うん。嫌いじゃない。
ただ言えるのは、「邦題と日本国内ポスターはマジでクソ」。という。なんで苦情出まくるのに全く学習しないんだ広告代理店は。
ホラー作品だと思って先入観で見るとどうしようもないのですが、いやこれはほんと日本の宣伝のせいでね、中身はボーイミーツガールのダークヒューマンドラマです。
母親の恋人に性的虐待されて、撲殺されて埋められて、なぜか食人鬼として蘇った少女。
そして少女がたまたま襲った男の車の中で身を潜めていた盲目の少年。彼もまた、その男に拉致され、目をライターで焼くなど虐待をされていたようでした。ヒロインのレイプシーン、結構思い切ったなぁと思ったのですが、男の子のほうにもこういう描写があって良かったんじゃないかなと思いました。キリスト教圏じゃ洒落にならんか…。
どちらも結構現実にある境遇の持ち主なのがまた、大人の犠牲になった二人の共通点となって、あっという間に距離を縮めていきます。本能でわかるよね、そういうの。ここに違和感がないのは良かったですね。主演二人の演技、空気感がすごく良かった。
ただ、肝心のヒロインの「食人鬼」設定。
完 全 に 蛇 足 。
作中ヒロインが人間の食べ物を受け付けない描写はちょいちょいあるものの、盲目の少年を食べたがっているようなシーンも特にないんですよね。ただ初期設定のまま、「女の子がグールだったらかわいいよね」的な、キモいオタクのおっさんの妄想がチラついてる気がした。
あと全体的に、汚い!
メイクや加工か、はたまた少年小女特有のものなのか、絶妙に「風呂に入ってない雰囲気」がありますので、グロがあまりなくても、その辺が苦手な人は辛いかも。あのー、シュヴァンクマイエル的な。生々しさがあります。
オチというオチもなく、二人が幸せになったかもわからないエンディングでしたが、私はこういう起承転結のない話、個人的に好きでした。ただ二人は出会っただけ。でもこれからまた会うかもしれないし、会わないかもしれないし。想像の余地があります。
汚い「ぼくのエリ」。といえばわかりやすいでしょうか。
オススメはしづらいですが、観て損!ということはないです。