シュルレアリスム崩壊宣言

シュルレアリスムはね、堕落なんですよ
−淀川長治「ジャン=リュック・ゴダールの映画についての評論」

芸術を遊びごとだと思ってる
その心こそ、哀れなりけれ
−中原中也

どこかの評論家が、「文学は20世紀で完成した。」と言っていたそうだが、小説を書く人がいる限り、文学が完成することはない。
−太宰治

文学には、永遠に終わりがくる、つまり、文学に黄昏はないのだ。この場合の黄昏とは、自然現象のことではない。
−宮島春

      「猫舌スワロフ」

その日おれは高速を走ってた。目玉焼きの白身のピカピカ光った車体で、血管の中を通る血のスピードで前にいる車を追い越していった。そしたら、さすがに気が触れたのか、後ろからうるさいクラクションの音がガンガン響いてきた。畜生!だからおれは車から降りて、やつの身体を引きずりおろしてやった。
身なりは良いから、おそらく金持ちなんだろうな。その中年の男は何かべらべらとまくし立ててたが、そんなこと知ったこっちゃない。頭を押さえて、アチアチの鉄板コンクリートにじゅうじゅうやってやったぜ!
ぐわふわ、グーグー、べらぼろ、スーわ。
狂気が狂歌を奏でてやがる。
頭を上げてみたら、ほっぺたが真っ赤になってた。そうだ、やっぱりこいつは猫舌なんだな。すぐに火傷しちまうんだから。スワロフさん。さあ、さあ、スワロフ、立ち上がりなよ、え?なんだって?許さないぞ!だって!
こいつはダメだな、と思って、やつのポケットから財布を取り出して中身を見た。そしたら10万スーラがたっぷり入ってた。そいつを失敬して、これで許してやるよ、って言ってやった。そしたら中年はニヤリと笑ってた。なんでこいつ笑ってるんだ、ついでに車のキーも失敬した。おれは満足して、新しい車に乗り込もうとしたら、すぐ後ろからパトカーのサイレンが近づいてきた。
パトカーはおじさんの親指から、明日のつま先まで鳴ってた。太鼓が横につくと警察が降りてきたから、最後はこの金持ちに、って。
急いで、キーは魚。エンゼルフィッシュの回して逃げた。金持ちは唖然、嫣然、満身創痍の態で、くつろぎあどけた浮かんだバター。
機関車おばさん、さようなら、解けた雲の渦巻く中で、くじけた子供が遊んでる。


これからは、ネオ・ルネサンスの時代だ。
私たちは、さらなる文芸復興を目指したい。
シュルレアリスムという名の、うずまく迷路から、芸術を解放すること、また、今までの一切の血迷い事は20世紀文学において、最大の停滞期であったことを忘れてはならない。

「文学に正解はない」と豪語する皆さまがた、あなたたちは、それを言わされているだけにすぎない。
本心ではないのだ。言い訳に過ぎない。
それがそもそもの迷宮の幕開けの原因だったのだから。
なぜなら、文章を書くということは、私たちが心の中で想像したり、感動したりした、言葉では言い表せないことを、文字を使って、意識的に「一般化」することだからだ。

偽物と本物、光と影、革命と愛(太宰治)、これに寄って人間は生きている。







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