9 The Final 光の魂たち

クリスタルの台座の上で Mは めざめた
光の球体ガイドが近づいてくる
「おかえり 地球はどうだった?」
「すごかったよ! こっち(ワンネス)では味わえないもの すべてを体験した!」
隣の台座をみるとNがいない
「あれ?Nは?」
「Nは 地球にとどまったよ
 M キミのような 迷える子羊を 導くために」
「え?聞いてないよ 今からすぐに 転生できる?」
「もう地球には転生できないよ 人類の体験から生成される甘露は十二分に集まったもの
 みてごらん」
プラチナの液体が こんこんと湧き出る泉があった
「きれいだね」
「甘露は光を増幅させる
 もうじゅうぶん集まったから 地球に転生する必要はなくなったんだ」「Nはどうしてるの?」
「日本にいるよ 今は小学生の男の子
 基本転生する際に これまでの記憶はリセットされるけど
 今回Nは ほかの魂をサポートするために転生したから
 記憶はそのままなんだ」
「Sは?」
「やはり日本にいるよ
 彼はヒール役に徹してきたけれど
 最後の最後は 愛し愛される体験をしに 地球にのこったんだ」
「なんで みんな 日本なの?」
「人類の種を蒔いた宇宙人が集結しているんだ
 地球創生に関わった宇宙人が 自ら人間に転生し体験しに来ているんだよ」
「NとSは会えたかな?」
「Sは記憶をリセットされているから Nとすれ違っても気がつかないんじゃないかな
 Sは今世 黒髪のスッとした美人だよ」
「へぇ 今回は女性なんだね
 ところで僕は この先 どうしたらいいんだろ?」
「光の世界に還ることもできるし
 新たにはじまった5次元7次元体験プログラムに参加することもできるよ」
「5次元かぁ でも どこに行くにしても Nと一緒がいいな」
「君たちはツインソウルで 恋人 親子 兄弟 戦友と ずっと近しい関係だったね
 いったん光の世界に還って Nがもどってくるのを 待ったら?」
「そうだね そうする」
Mは そう言うと すぅっと 光の世界へ とけていった

日本の小学生に転生したNが 空を見上げている
Mは 光の世界へ還ったかな
君のような まっすぐで 繊細な 魂が 穏やかな道を 歩めるよう
僕は もう少し 地球に のこることにしたよ
でも やっぱり きみのいない 地球の青空は なんだか グレーに見えるなぁ

キミが一緒なら 無敵になれる気がしたんだ


「ナオー! 何やってんだよ おいてくぞー」
緑のランドセルを背負った ともだちが 数十メートル先から さけんでいる
「うん 今行く!」
Nはあわてて 橋を渡った
橋の途中 白いワンピースを着た黒髪の女性が 川をみて佇んでいた
背後を駆けぬけていった小学生をみて 微笑む

日本のどこかで

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