NY武者修行記 10
11日目~12日目
10月23日(水)~24日(木)朝
昨日までの日記を書いた後、ノルマ(!)をはたすべく、クラブへ出かける。
まずは渡米前から決めていたCBGB。
ここはロックで有名なお店。
本場のロックを聴こうと思っていた。
着いたのは8pm過ぎてしまっていたが、案の定押して、8:30スタート。30分ずつの対バンだったので2組見れた。
最初はお客さん少な!そんなもんかなーと思って聴いていたけど、日本人のそこそこロックより全然いい。うるさくない。
2つ目のバンドが始まったとたん、人が増える。
椅子に座っていたら埋もれてしまうので、前の方に移動して立っていた。
このバンドがすごかった!
Guが3本もあるバンド(Dr、Bass、Vo、Gu×3)。
絶対日本のバンドだったら拒絶反応が出るのに(・・失礼。)もうのりのり!ロックで踊ったの初めてでした。
叫ぶわ飛ぶわって感じで音もでっかいバンドなんだけど、頭が痛くならなかった。
PAの技術もあるんだろうな。
そう、こっちのPAはいわゆるドンシャリじゃない。
シンバルの音はほとんどひろっていなくて、日本人のPAだったら確実につまみを上げているだろうけど、そのおかげで低音もモコモコせずにはっきり聞こえるし、何よりも、大音量なのにVoが浮き出てくる。
これは音楽だわ。
しかも日本の縦ノリロック系と違って、縦に回る。やっぱりグルーヴしてるんだよなぁ。
日本のロックの人たちも留学すればいいのに。PAももっと勉強しろ!っと思うけど、根本的に日本人の耳って聞こえ方が違うらしいから仕方ないのかもね・・。だから英語とかの発音の子音が聞き取れないらしいよ。鍛えれば聞こえるようになるんだろうけど。じゃあやっぱり留学すべきだ。あ、話反れました・・・。
それが終ったのが9:45頃。
次のバンドも気になりながら、55BARに向かう。そうそう、CBGBのチャージは$8、ドリンク$6。
55BARまで歩いて行った。少し探してしまって、着いたのが10:10頃、もう始まっていた。
このバンドが怪しかった!
Dr、W.Bass、Gu、A.Sax、B.Sax、Tb、Tpという編成。たまにClに持ち替えてみたり。
演っていたのがデキシーランド?系JAZZ。あまりうまくない・・・・。
でも、後の方になってくると、このおっさん達、なにやら怪しげなことをしだす。
怪しげな曲というか、アプローチ。ある意味、現代曲っぽいような・・・・。
お客さん達もクスクス笑っている。やっぱり人間が感じることは万国共通なのか?
私もものすごくツボにはまって、おかしくてしょうがなかった。言葉でうまく説明できないのが悔しいくらい!
ここで感じたことは、NYのミュージシャンは(全員じゃないかもしれないが)『ただうまいだけ』という演奏はしないってこと。
ちょっとへたっぴーでも、なにかやらかしてくれる。楽しませてくれる。楽しんでいる。これだよな!
11pmに終わり、次の予定までまだ時間があったので、どうしようと思ったけれど、ビールもなくなったので出る。チャージ$7、ドリンク$6、チップ無し。
次のお店ZINC BARに着いたのが11:30頃。1:30スタートかと思っていたら外の看板に12:30となっていたので早めに来てよかったとほっとする。
その時、中から出てきた人が「見てけば?」って日本語で。日本人だと思っていなかったのでびっくり。「はい?」って思わず聞き返しちゃった。
聞いてみると前のステージの途中からでも入れるみたい。
やった!
しかもその人、私を"Special customer"と言ってくれて、なんとチャージ、タダ!いぇー!!
中に入ると人がいっぱいで立ち見もいてミュージシャンが全然見えない・・・。
ドアの近くで聴いていた。そしたらさっきの日本人が来て話すことが出来た。
ジュンさん、ギタリスト。NYに住んで2年以上。ZINC BARで働いている。
お店が忙しくてゆっくりは喋れなかったけど、暇を見つけては喋りにきてくれた。
ライブは見えないけど、なんだかすごいことになっている。
アフロ・キューバンJAZZ。
たしかBassがTito Puenteとやっていた人なはず。その人のバンドだった。
Dr、W.Bass、Piano、A.Sax、T.Sax、Tb。
このDrがすばらしい!!
見えはしないけど、音が!
オラシオ・エルナンデスとかロビー・アミンとか、そっち系ではあるけれど、もっとわかりやすい感じ(?なんだそれ・・?)
うわー見たい!と思っていたら、ジュンさんが「前の方行かなきゃ!日本人はいつも端っこの方で・・・。」とか言われて、その辺の日本人と一緒にするなー(・・・失礼。)と思いながらも行っていいんだーと思い前へ(うん、私って日本人)。
やっぱり見えないけど近づくほど音がすごい!
そしてそのステージが終了。
大盛り上がり!!ウェイトレスさんにもう一回ステージがあることを確認し、席が空くのを待つ。
さすがにShow timeは1am以降になりそうだったので、お客さんも減り、バンドのまん前の席をゲット!
そこで少し休む。かなり眠かった。
そしてShowが始まる。
ウォッカ・マティーニを頼み(NYのマティーニはグラスがバカデカイ!それに波々ついでくる。日本の3倍くらいの量あるんじゃない?)、ライブに臨む。
!!!!!!
このドラマーの手!なんなんだ?!まるで踊るみたいに叩く。
早い!ザーってロールしていると思ったらシングル・ストロークだった!
手数はやたら多いのに、多いとは感じさせないほど聴きやすい。そしてノレる!そう、難しくない。
サウンドがすごくキレイで、デリケートなところもあり、且つパワフル!
すごい!すごすぎる!!
眠気がすっ飛んでいきました。こんなキャッチーなサウンドの影でこんな操作してたとは・・・・。
終った後、ジュンさんも「今日は大当たりだった!」って。
「ここはうまい人しか出られないんだけど、ここまですごいのは今週はもう無いかも。特にドラム!」って。誰が聴いても本当にすごかった。お客さんみんな手元見てたもんなー。
そのドラマーはたくさんのお客さんから話し掛けられていて、それが終った後、私も話し掛けた。
名前はDafnis Prieto。背小さい!こんなに小さいのにあのパワー・・・。
とってもフレンドリーで、きみもミュージシャンか?って聞いてくれたり、名前も覚えてもらった。(たぶん忘れているだろうけど・・・。)日本にも来てーって言ったら笑ってた。
いつか本当に来てほしいなぁ。みんなに見せたい!
(その後2006年に、ミシェル・カミロのトリオで来日しましたね♪ちなみにこの時のバンドはラテン・ウッドベーシストJohn Benitezのバンドでした。帰国後調べまくって、CDを買い漁りましたw2020年記入。)
このShowは今までで一番でした!ZINC BAR、もっと早くから行っておけばよかった・・・・。
帰り際、ジュンさんに別れを告げに行く。
金曜日がアフリカンの日だということを教えてくれた。来れたら来る、って言ってさよならした。
うん、その日は行ける。行こう!
「NY出てこないの?」なんて言わないでよ・・ジュンさん・・・・・。ドリンク$11。
そして2am過ぎ。Smallsに向かう。
なんだか相変わらずお客さん少なそう・・・。先週の活気はどこへ?
入るとオーナーがいて、お金を払おうとしたらOferがいた。
挨拶していたら、オーナーにミュージシャンなの?って聞かれて、Oferがそうだよーって言ってくれたらチャージを半額の$5にしてくれた!ラッキ!
中に入ると京都からきた日本人がいたり、今度日本に行くって言う人がいたりで日本語が飛び交っている。ここはいったいどこだ・・・?
Jamスタート。コンガを叩かせてもらえた。
ものすごくリラックスしていてとっても気持ちいい。4beatがこんなに楽しいなんて初めて!
ソロもドラムと交互にやった。お客さんの反応が嬉しかった!
みんなびっくりしたのか、歓声が飛んでくる!私が一番びっくりだわ・・・。
Bassがすごく反応してくれて、終った後も話し掛けてくれて嬉しかった!
「きみの演奏はheartにloveをくれた!」って!日本語にするとクサイけど、英語だと素直に感動!
いい文化だ!
この国には、良いって言ってくれる人もいるし、悪いってはっきり言ってくれる人もいるということ、本当だったんだ。人の意見に流されない。
そして叩くたびに、私のplayも良いと思ってくれる人は必ずいた!
Smallsは私の学校です。
その後、あの黒人ドラマー(私を怒鳴った人)が叩き始めたのでちょっと聴いていた。
そしたらOferがなんで叩かないの?って言うから叩こうと思ったけど、リズムがわからない・・・・・。かまない・・・・・。
Oferに言ったら「これが本当のJAZZなんだ。」って。そうなんだ。初めて感じた。これが本当のスウィングなら、やっぱり日本人には無理。でも、他のドラマーにはついていけるんだよなぁ。他のドラマー達もまだまだってことなのかな?それともただの相性?
その時、Oferが後ろの方へ私を連れて行って、ダンスをしようと言った。
そういえば4beatって本当はダンス・ミュージックだよな。でも、4beatでダンスなんてしたことなかった。
お、踊れない・・・・。
"Dont' be shy!!"と何度も言われ、カチカチの体をほぐされるが、なかなか体が動かない。
こんなにスウィングできないんだ・・・・私。
そこにいたおばあちゃんとOferが踊って見せてくれた。
すごい・・・。
カルチャーショックってやつだよな。
私ってほんっとうに日本人だ。Oferにグイーって体よせられると、ひえーってなっちゃうもん・・・。でも、これが私の足りない所だっていうのを教えてもらった。
その時ハプニング!
さっき演奏を交替したあの黒人ドラマーが1人の男と「金払ってないだろ。」って話になって、払った払わないでもみ合いに!
殴りかかった・・・・。このドラマーやっぱりキケン・・・。
周りの人たちが止めに入ったけれどおさまらず、そのまま外へ・・・。私の目の前で起こって、凍り付いてしまった。殴り合いの喧嘩なんて中学生以来見ていない・・。
今日、この時間は女は私1人。
思わずパスポートと財布の中身を確認。無事だった。そう、ここはNY。
外では何が起きているのだろうと思いつつ、びびっていた。
そう、この日はその前にA.Saxの人が持ってきた、なんだかチョコレートみたいなものをOferが紙に巻いて吸っていたのを見てしまった。
ちょうど学校でそんな話をしたばかり。そう、あれがきっとマリファナなんだ。
深夜、NYの地下のJAZZ CLUB。
Jam Session、酒、タバコ、マリファナ、喧嘩・・・・・。すごい・・・・。
映画のワンシーンでしかありえない世界に私が居る。これが日常なのか・・・・?
日本人の中でも特に田舎モノの私には刺激が強すぎた。
その後、Oferは休憩をしたい、静かにしたいと言ったが、スペイン出身のアコーディオン弾きがいて演奏が終らない。
楽しそうだったので私も叩いちゃった。Oferは機嫌をそこね、もう止めって言って部屋に帰ってしまった。もう、子供なんだから・・・・・。
でも、今日でSmallsは最後。もう会えないと思うのでお別れを言いたかったんだけど、言えずに終ってしまった。そこにいたOferの友達によろしくと伝えてもらって帰ろうとした。
その時ぼったくりドラマー登場。またコピーCDを高く買わされそうになったけど、あわてて逃げてきた。
外に出た時、さっき喧嘩で追い出された人がまだいて、「なんでオレがこんな目に?」みたいなことを言われたけど、そそくさとsubwayに向かった。
その途中、人とすれ違うたびに緊張した。
ほんと、ここはNYなんだって・・・・。
観光では見ることが出来ないNYの裏側をちょっとだけ見たような気がする。
たった2週間でこんなに色々と見ることができたっていうことは、もっともっと奥が深いんだろうな。
ジュンさんが言っていた。「2年以上居てもまだわかんないよ、NY。」その意味が少し理解できた。
あーぁ、Oferに挨拶したかったなぁ。
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