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小説|左の窓 #4

「キレキレ電話」



車内に電話の音が鳴り響く。

「プルルルル」

「プルルルル」

「プルルルル……」

「おかけになった電話番号は現在使用されておりません」

「ピッ」

「はぁ!?……嘘だろ……不動産屋へ直接かけてんのに」

本日は土日祝日でもない。普通の平日の11時。もちろん不動産屋の営業時間も始まっている。
電話に出ない以前に、企業の電話番号が使用されていない時点で不自然である。内心焦っていた内田は、名刺入れを荒く探り出す。

「あった…」

「……あの山本さんとかいう職員の携帯の番号にもかけてみるか」

内田は山本の名刺に書かれてある、個人の電話番号にかけてみることにした。

「プルルルル」

「プルルルル」

「プルルルル……」

「出てくれ、頼むから出てくれ……」

「プルルルル」

「プルルルル」

「プルルルル……」

「プルルルル……」

「「おかけになった電話番号は現在使用されておりません」」

「営業時間内だろうが、何で出ないんだよ…」

一旦諦めて背もたれを倒し横になり、あり得ない事態に呆れてしまう。
これから社会人になろうとしている矢先、高額の請求を払わなくてはならない状態。

「しんどすぎるだろ」

「そんな金持ってないぞ、この間まで学生だったんだぜ…」

「これから住むってのに、今まで住んでない分の生活費払わないとなんて普通の不動産屋じゃないだろ」

「一度不動産屋に行ってみよう」

内田は車のエンジンをかけ、電話に出ない結城不動産屋に車を走らせる。

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