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脳科学から見た子育て重要事項 ~発達障害に視点を置いて~

きくよしの論文 2013年1月27日 菊池嘉雄79歳


感情的行動と理性的行動のしくみについて
1 人の感情的な行動は大脳辺縁系だいのうへんえんけい。理性的な行動は大脳新皮質だいのうしんひしつ

2 特に恐怖感や嫌悪感、不快感感、不安感、イライラ感などのマイナス感情に関係深いのは大脳辺縁系の中の扁桃体。そのような感情の記憶に関係深いのは海馬。

前頭前野ぜんとうぜんや⇄信号⇄前頭眼窩皮質ぜんとうがんかひしつ⇄信号⇄扁桃体へんとうたい

前頭前野ぜんとうぜんや
○ 前頭眼窩皮質からとどいた信号について他の脳の部位のデータと照合し どのような行動にするかを判断し前頭眼窩皮質に送り返す。
○ ワーキングメモリーといってパソコンの一時的なメモリーのような働きをするところ。
○ 前頭前野を含めた前頭葉は、脳の中でも発達が遅く10歳くらいまでに大枠 が完成するが、それ以後もだらだらと発達を続け、24、25歳くらいま 育ち続ける。
    (篠原菊紀2008年39p) 
前頭眼窩皮質ぜんとうがんかひしつ
○扁桃体で生じた感情の信号を前頭前野に送り判断を仰ぐ。
○前頭前野の判断をもとに扁桃体の感情をコントロールする。
○思春期に入って急速に発達する。(篠原菊紀2008年154p)
○2歳半から3歳までに終わり、それ以後は発達しない。(国名米欣2007年048p)
扁桃体へんとうたい
○主に恐怖、怒り、哀しみ、嫌悪感、逃走衝動などの感情が沸くところ。
○それらの感情を記憶するかしないかなどをコントロールするところ。
○事件や災害などでの恐怖体験や失恋などで、つらい想いをすると、扁桃体が萎縮したり穴が空いたりし、心の病になるが、扁桃体が元に戻ると心の 病も治る。発達障害者にも萎縮や穴が見られる。(松澤大樹) 。ということは扁桃体の発達は変化し得る。
 前頭眼窩皮質について
  網膜の裏側にある眼窩前頭皮質は、情動脳である大脳辺縁系と、知性の脳である前頭前野をつなぐ働きをしています。つまり、情動の源である大脳辺縁系の偏桃体が喚起した情動を制御し、偏桃体からの要求を抑制する働きをするのです。周囲の状況を的確に解釈し、内的及び外的経験に照らし合わせて、意思決定を行なうためには、大切な部位です。この部位の機能が低下すると、共感する力が損なわれます。
 多くの精神疾患、あるいは人格障害、発達障害は、前頭前野や帯状回、眼窩前頭皮質などの機能障害に原因がありますが、この眼窩前頭皮質の障害では、辺縁系の活動の調整、統合に支障が生じます。すなわち、抑制力の低下が起き、衝動をおさえられないといった、いわゆる強迫性を生じるのです。
    衝動的に、結果を省みずに行動する、爆発的、攻撃的行為、怒りっぽい、不適切な言動など、自制のきかない、無神経な、言動がみられる、などなど。 また、気が散りやすく、集中力が乏しく、周囲を模倣する等の特徴もあります。対人関係で問題を生じるのは、思いやりの欠如です。この部位に機能異常があると、周囲に対する思いやり、配慮が欠けてきます。相手の気持ちを読む力、同情心、感情の移入などが損なわれるのです。(BLOG自分を大切にする心理学http://nanahime.blog71.fc2.com/blog-entry-55.htmlよりコピー)

脳の発達を促進させるもの
1 身体をよく動かす。
2 脳にいい食べ物をとる。薬学士 生田哲著「食べ物を変えれば脳が変わる」より。
     脳にいい食べ物(青魚、アマニ油、シソ油、納豆等発酵食品)。
     脳によくない食べ物(マーガリン、マヨネーズ、ケーキ、クラッカー、ポ  テトチップス、フレンチフライ、チキンナゲッツ、シュークリーム、 甘い菓子、ジュース、コーラ、コーヒー、人工甘味料、アルコール、タバコ)。
3  スローカーボ  (又はローカーボ食品ともいう)がいい。
  人間の脳の活動には糖類が必要。だが、糖類には、血糖値が上がるクイックカーボと消化に時間のかかるスローカーボがある。
    クイックカーボに分類される食べ物は清涼飲料水や、菓子パンなど砂糖を大量に含んでいるものの他に、白米、白パン、うどん、そば、イモなども含まれている。
   一方、スローカーボは、全粒の穀物、野菜、豆類などの野菜や果物などに多い。
 甘い食べ物は糖分の吸収が早いので血糖値が急上昇する。そのときは活気が出るが急いで血糖値を下げようとしてインスリンが血中に放出されると、今度は血糖値が急下降する。そうすると不快感や不安感、イライラ  感、意欲の停滞等が生じる。だからゆっくり消化され、ゆっくり吸収される食べ物のほうが気分や情緒が安定し、脳の発達や身体の成長にもよい。
4  子への接し方  (篠原菊紀2008年197p221p)。
    子どもと視線を共有する(子どもの目がキラキラ輝いているときは脳が活発 に働いている。その目と視線を合わせることが扁桃体を育てることになる)。「この子はいい子だ」「この子には未来がある」というプラセボ(偽薬)こそ脳育て必須条件。

自閉症児の場合のビタミンとグルテン・カゼインについて
1  自閉症児は他の子どもと同じ種類のビタミンをすべて必要としていますが、特異的な生化学的な異常があるため、ビタミンB6やビタミンC、また特殊なタイプの葉酸やビタミンB12を高用量で必要とすることがしばしばあります。(ショー245p) 
2  自閉症においてビタミンB6サブリメント補充の利点は数多くあり、その中には睡眠の改善、集中力の増強、表現・受容言語の改善、全般的な自閉症症状の改善が含まれます。B6とそれに伴う栄養素を与えられた自閉症児に最もしばしば見られる利点は、音声、言葉、発話の使用の増加、睡眠習慣の改善、他動と易刺激性の減少、注意持続時間の改善、学習への興味関心の高まりがあります。場合によっては自己刺激、自傷行為、攻撃行動が減少したこともあります。(ショー246p)
3  ビタミンB6サブリメントを補充するときには必ず、マグネシュウムの補充も行うべきです。ただ、過剰なマグネシュウムは毒性がある、あるいは 致死的かもしれない可能性があるので、適切な用量で用いることが大変重 要です。(ショー247p)
4   グルテンとカゼインはタンパク質です。これらのタンパク質が完全に消化される前に吸収されると、不消化のタンパク質の断片が脳に入り、脳で言葉をコントロールしている部分や他の部分にあるオピエイト(opiat)受容体に付着して、脳機能を損ないます。言い換えれば、酵母菌によって消化 管に穴があき、そこから不消化物であるタンパク質が漏れだし、脳へと運ばれ問題を起こします。(ショー231p)
5  酵母菌退治にはナイスチンという抗真菌薬が有効だが、自然界にある抗真菌食品のニンニクも有効です。(ショー23p)

卵・牛乳の問題点
1 卵のタンパク質は弱った腸をすり抜けて血液の中に入りやすく、それに よってガンやアレルギー体質を作り出すのです。(森下74p)
2 牛乳のタンパク質カゼインは粒子が小さいため、腸の機能が弱っている ときは、腸壁を素通りして血液の中に入っていきます。人間の体のタン パク質とは異なるカゼインが直接に人体組織に触れることによって、アレ ルギー反応が起こります。(森下77p)

参考文献
○ 篠原菊紀しのはらきくのり著「キレない子どもの育て方 ~脳のシス テムを知れば分かる~」集英社2008年
○ 国米欣明こくまいよしあき「その子育ては科学的に間違っています」三一書房2007年
○ 田辺功たなべいさお著・松澤大樹まつざわたいじゅ談「心の病 は脳の傷」西村書店2008年
○ 生田哲いくたさとし著「食べ物を変えれば脳が変わる」PHP親書2008年
○ ウイリアム ショー著「自閉症と広汎性発達障害の生物学的治療法」コスモトゥーワン 2011年
森下敬一もりしたけいいち著「ガンは食事で治す」ベスト新書2010年


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